高さ40m横22mの大型壁画
山口歴の新作壁画「OUT OF BOUNDS」が天王洲の寺田倉庫で公開された。高さ40m横22mの大型壁画で、北斎「龍図」をモチーフに天王洲運河沿いの寺田倉庫T33ビル壁面に制作された。2024年1月から3月31日(日)まで開催されていたTENNOZ ART FESTIVAL 2024のなかでの取り組みで、本フェスティバルで公開された壁画としては22作品目となる。黒・白・青・水色の4色によって描かれたブラシストロークが壁面を縦横無尽に飛翔するダイナミックな作品は、天王洲の玄関口でもある「ふれあい橋」横からも眺めることができ、「水辺とアートの街、天王洲」の新たな魅力として加わった。
学生時代より「東京」という街が持つエネルギー、ストリートカルチャーに強く影響を受け、東京での壁画制作はいつか挑戦したいと考えていた山口歴。約一カ月の期間、天王洲の街の人や風、音などを感じながら公開制作された本作には、山口が作品制作において根幹としているテーマの1つである「越境性」が表現されている。
本作は私の制作活動の根幹を成すテーマの一つである越境性を表現しています。私が生まれ育ち青春時代を過ごした1990年代、2000年代の東京には、サブカルチャーやストリートカルチャーが渾然一体となって新しいエネルギーが醸成されるような不思議な雰囲気があり、私はその街のChaoticな魅力に大いに影響を受けました。 本作では、ブラシストロークがビルの壁面を龍のように縦横無尽に飛翔する姿をイメージしながら、既成概念の超越を表現しました。 構図は葛飾北斎の「龍図」をモチーフにしながら、私なりの解釈を加えて作品に落とし込みました。 天王洲に訪れ、私の作品をご覧になった方々が、枠に囚われない自由な気分を一瞬でも感じ取ってくれたら嬉しいです。
山口歴
山口歴 プロフィール
1984年生まれ、東京都渋谷区出身。2007年に渡米し現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動している現代アーティスト。絵画表現における基本的要素「筆跡/ブラシストローク」の持つ可能性を追究した様々な作品群を展開。代表的作品群"OUT OF BOUNDS"では「固定概念・ルール・国境・境界線の越境、絵画の拡張」というコンセプトのもと、筆跡範囲を制限してしまうキャンバスの使用を止め、筆跡の形状自体をそのまま実体化する独自の手法によって、ダイナミックで立体的な作品を制作し続けている。90年代から2000年代初頭の東京ストリートカルチャーの変遷を経験して育ち、渡米後は、ALIFE、BILLIONAIRE BOYS CLUB、FTC、NIKE等アメリカのストリートカルチャーを代表するブランドの他、ISSEI MIYAKE MEN、LEVI’S、OAKLEY、UNIQLOといった企業とのコラボレーションも行なっている。
TENNOZ ART FESTIVAL
TENNOZ ART FESTIVALは、“アートの島=天王洲アイル”を舞台に、2019年から継続して運河沿い建築物や駅通路への大型壁面アートの制作や、公開空地への立体アートの設置を行うプロジェクト。近年、倉庫を利活用したミュージアムやアートギャラリーが集積するアートシティとしても注目を集めている。エリアマップはこちらから閲覧できる。また天王洲の観光地化の新たな取り組みとして、これらの壁画をめぐるアートツアーも開催されている。
過去の参加アーティスト一覧
淺井裕介 / ARYZ、Kenta Cobayashi / DIEGO / 松下徹 / Rafael Sliks / Lucas Dupuy / 日比淳史 / Keeenue / 吉野もも / Stachu Szumski / 市田小百合 / 清水はるみ / KINJO / COIN PARKING DELIVERY / 加藤智大 / 山田美優 / 日比谷泰一郎 / 佐藤周作 / チームがんばりくん(奥田琴乃、岡美咲) / 松崎大輔 / 門秀彦 / 江藤雄造 / 宇宙船地球号(加集陽、市川凛) / MISO (木下未琴、津田宙) / フカザワ ユリコ