ベルギー・ブリュッセルにあるカナル・ポンピドゥーセンター(KANAL - Centre Pompidou)
今回ご紹介している美術館はブリュッセルにあるポンピドゥーセンター。前編に引き続き、美術館の内部を引き続き探検していきましょう。それでは、再びスタート!
広いフロアの様子。 NYのPark Avenue ArmoryやベルリンのHamburger Bahnhof のような自由な空間の使い方ができそうな雰囲気があります。
誰もいないと、本当に倉庫や、駐車場に迷い込んだ気分に…。
さて、広い館内を進んでたどり着いたのはここ、少し狭く薄暗い部屋..。
おそらく元々は、工場の作業員の洗面所のような場所。現在は水の止められた水道がずらっと並んでいます。奥ではテレビに移された映像作品が不気味な閃光を放っています…。
まだ昼間なのですが、まるでホラー映画のワンシーンのよう…。一人だとちょっと怖いかも。
探検気分が高まりますね。
映像作品のエリア。
広々としたフロア。
使用されていないフロア。窓際に見えるのは外側に貼られたステッカーでしょうか。
時間を過ごすにつれて「この美術館とそっくり同じ建物を新しく建てたとしても、この奇妙な空気感は出ないのだろうな」とふっと思いました。全く同じ図面と材料で製作し、エイジング加工を施したとしても、やはりそれは映画のセットやテーマパークのようなものになってしまうと思います。
リアリティのある場所だからこそ出る空気感、現代アートとの相性…。新しい試みが出来そうな可能性を秘めていると感じました。
車のスロープを緩やかに歩く
それぞれのフロアが緩やかなスロープでつながっているのも特徴的な部分だと思います。ゆっくり坂をのぼっていくと、いつの間にか次のフロアにいる。という面白い感覚。
各フロアがスロープで繋がる美術館はあまりないですが、有名なところで言えばNYのグッゲンハイム美術館あたりでしょうか。ただし、KANALは同じ坂道でもさすがは車道…距離感が…。
もともと車専用の広いスロープなので、徒歩でトコトコと移動しても、なかなか進みません…アキレス腱のトレーニングになりそうです。広い…。
展示室
終盤で、たどりついた展示室。ここに関しては、きっちり展示室が作り込まれています。
この時はルイジ·コラーニ(Luigi Colani 、1928年8月2日 - 2019年9月16日)の作品群が赤と白をテーマに並べられていました。
ルイジ·コラーニは1970-1980 年代を代表する、ベルリン出身のプロダクトデザイナーです。自然物をモチーフにした曲線のラインが特徴的ですよね。
偶然にも、車体の左側に日本語の筆字でコラーニ·デザインという書き込みを発見!
恐らくプロトタイプかなと思うのですが、珍しい…。
コラーニは、他にも小さな文房具からピアノのデザインまで、実に様々な作品を残しています。
どこかで目にする機会は多いと思うので、もしも見つけたら手にとってみてください。
さらに続く展示室では、こんな昔のMacも。カラフルで可愛らしい。
名作の椅子を雑多に並べてあるこじんまりとした展示コーナー。
資料館のような雰囲気。
美術館カフェ
さて、坂道を登ったり降りたり散策を繰り返し、ようやく入り口付近へ戻ってきました。
何やら暖かな光が…。
どうやらキッチンカーとカフェのようです。
標識のせいか屋外に見えますが、まだ館内です。
カフェ入り口とインテリア。
柔らかなソファや絨毯が置かれており、寛げる雰囲気。
モダンなラグを使わずに、あえてオールドスタイルな柄物の絨毯を敷いているのも面白いです。
本日の探検は無事終了です。
美術館の周辺
最後に少し美術館周辺の様子などを紹介して終わろうかなと思います。カナル美術館内は現代的な雰囲気が強かったのですが、一体、どんな街にある美術館なのでしょうか。美術館の存在を再認識するという意味で、ブリュッセルの街全体や建築を簡単に紹介できればなと思います。
まず最初に言えるのがブリュッセルの街並みは基本的には歴史的な重厚感のある建物が多いこと。
主にこのような石畳が続きます。
シトロエンの工場が建設された1930年代…。この街であのガレージが如何に斬新なスタイルだったのか、想像出来ますよね。
古い街並みのブリュッセルですが、突然ポップなペイントやグラフィティも現在は見られます。
こちらはベルギーを代表する有名な本、タンタンシリーズの登場人物達。
タンタンは漫画と絵本の中間のようなスタイルですが、ブリュッセルの漫画センターにも作品が展示されています。ヴィクトール·オルタ(Victor Horta、1861年1月6日 - 1947年9月9日)というベルギーを代表する建築家が設計した漫画センターの建物自体も面白いので、建築廻りとしてもおすすめです。
広場の蚤の市。
ギャルリー·サンチュベール(Galeries St-Hubert)はヨーロッパ最古のアーケードの一つ。ガラスのアーチ天井長く続きます。この名所を通り抜け…。
あまりにも有名な広場へたどり着きました。
ヴィクトール・ユーゴー(仏: Victor-Marie Hugo、1802年2月26日 - 1885年5月22日)が“世界で最も美しい広場と称したグラン·プラス(Grand-Plece)です。
広場の市庁舎は1400年代に建てられました。
過去と未来の風景
この風景を見ていると、先ほどまでいたポンピドゥーKANALが、全く別な時代に作られた新しい場所だったのだなあと改めて実感してしまいます。1400年代に作られたものと1900年代に作られたものを同じ日に目にする面白さ。
昔のことや最近の事を交互に考えると、如何に日常の出来事が、僅かな一瞬でしかないことに気づかされます。
ポンピドゥーセンターが持つ全ての作品は全て1905年以降のものから現在のものなのですが、例えばこの1400年代にこの建物を建てた人達が、もしも現在のカナル・ポンピドゥーへ遊びに行ったら…。きっと新しい素材や表現に驚愕することでしょう。
そんなことを想像しつつ、今からその500 年後の世界を想像してみましょう。一体どんな作品群が、未来の美術館に並んでいるのでしょうか。きっと私たちが想像も出来ないような新しい表現や素材が使われているのかと、ワクワクしてしまいますね。
ポンピドゥーのブランチ、カナルの雰囲気、お伝えできたでしょうか。
カナル・ポンピドゥーセンター(KANAL-Center Pompidou)、2024年の完成と公開が楽しみです。