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ブランド価値によるグローバル・ブランドランキング

世界最大のブランディング会社インターブランド(Interbrand)は、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2019」を昨年発表した。ブランドランキングは、グローバルに事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金銭的価値に換算してランキング化したもの。なお、インターブランドのブランド価値評価はISOによって、ブランドの金銭的価値測定における世界で初となる「世界標準」手法として認められている。

20回目を迎える2019年のブランドランキングでは、AppleとGoogleが7年連続で1位、2位となり、Amazonが3位となった。Appleのブランド価値は前年比+9%の2,342億ドル、Googleは同+8%の1,677億ドル、Amazonは同+24%の1,253億ドルとなった。その他では、8年ぶりにDisney(10位、444億ドル)がTop10入りし、Uber(87位、57億ドル)とLinkedIn(98位、48億ドル)が初めてBest Global Brandsにランクイン、Dellが6年ぶりに63位(90億ドル)にランクインした。

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最も成長率の高い5ブランドはMasterCard(前年比+25%)、Salesforce(+24%)、Amazon(+24%)、Gucci(+23%)、Starbucks(+23%)となった。業種では、テクノロジー・エレクトロニクス(16ブランド)、自動車関連(15ブランド)、小売・ラグジュアリー(15ブランド)、金融関連(12ブランド)が半数以上を占める。Top100ブランドのうち、28ブランドが2桁%の成長を遂げ、Top100ブランドの合計価値は2兆1,309億ドルに達し、前年比5.7%増となっている。

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インターブランド社CEOのチャールズ・トリヴェイルは、「この20年間で消費者は劇的に変化した。消費の選択肢が多くなり、以前よりブランドへのロイヤリティが薄くなった消費者は、提供価値の即時性や豊富さ、親密性を求めはじめ、消費者はこれまでないほどの情報力を持ち、相互に繋がり、要求はさらに高まっている。かつてのブランド構築は、ブランドポジションを定義することであった。だが、今日の加速するマーケットにおいては、消費者が期待するものはブランドの静的なポジショニングでは飽き足らない。ブランドがビジネスそのものとなり、ブランドの発信、行動がビジネスの信頼に繋がる。消費者の期待がビジネスよりも早く変化し続ける世界では、ブランドは競争環境を変えるくらいの大胆な変革『アイコニック・ムーブス(Iconic Moves)』を行わなければならず、それが結果的に並外れたビジネス結果を生み出す」のだと語る。

Best Global Brands 2019のブランド価値評価手法

インターブランドのブランド価値評価手法は、①財務力、②ブランドが購買意思決定に与える影響力、③ブランドによる将来収益の確かさ、という三つの観点からみたブランド価値の評価である。証券アナリストが事業の価値を分析及び評価するのと同様、「将来どれくらい収益を上げると予想されるか」という観点に基づいて、ブランドの価値を分析、評価する。インターブランドの評価手法はブランドの金銭的価値測定の世界標準として、国際標準化機構(ISO)からISO10668の認定されている。

① 財務分析 - 企業が生み出す利益の将来予測を行う

ブランドの事業を特定し、事業の現在の売上高および将来の売上高予測を算出する。そして、売上高から営業費用、税金、投下資本に応じた資本コストを差し引き、現在から将来にわたる経済的利益を推計する。財務分析は、一般に公開されている企業情報およびアナリストによる将来予測値に基づく。

② ブランドの役割分析 - 利益のうち、ブランドの貢献分を抽出する

財務分析で算出された将来の経済的利益のうち、ブランドによってもたらされた利益を抽出するために、ブランドが顧客の購買意思決定にどの程度影響を与えているかを分析する。 ブランドの役割分析評価においては、ブランドが消費者の購買動向に果たす役割について、インターブランドが過去20年以上にわたり実施した10,000を超えるブランド価値評価実績のデータベースを活用し、業界別にベンチマーク分析を行う。そして業界ベンチマークを基にして、インターブランドの調査、分析により個別ブランドの“ブランドの貢献分”の金銭的価値を算出する。

③ ブランド強度分析 - ブランドによる利益の将来の確実性を評価する

ブランド強度分析は、マーケットでのロイヤリティ、消費者の継続購入や囲い込みといったクライアントのニーズを喚起する力を測り、ブランドによる利益を割り引いて現在価値に換算する。 ブランド強度分析評価は、ブランドのリスクを判断する体系的な手法であり、ブランドの活力を測るブランド強度評価モデルである10の項目から評価され、0から100までのスコアで評価される。10項目の評価は同業種の他のブランドと比較して行われ、上位ブランドについては他業種の世界レベルのブランドと比較して行われる。

ブランド強度評価モデル10項目

社内要素(Internal Factors) 

  • 概念明瞭度(Clarity)
  • 関与浸透度(Commitment)
  • 統治管理度(Governance) 
  • 変化対応度(Responsiveness)

社外要素(External Factors)

  • 信頼確実度(Authenticity)
  • 体験一貫度(Consistency)
  • 要求充足度(Relevance)
  • 存在影響度(Presence)
  • 差別特有度(Differentiation)
  • 共感共創度(Engagement)

インターブランド(Interbrand)について

インターブランドは1974年にロンドンで設立された世界最大のブランディング会社であり、現在の本拠はニューヨーク。インターブランドはブランドを「Living business asset(変化するビジネス資産)」と定義し、組織が明確な戦略を持ち、優れたクライアント体験を提供する場合、成長がもたらされると考える。インターブランドは世界14カ国18オフィスを拠点とし、戦略、クリエイティブ、テクノロジーの組み合わせたサービスの提供により、クライアントのブランドとビジネスの成長をサポートする。