アーティスト 田村友一郎が「N」をテーマにしたインスタレーションを展開
六本木のアートギャラリー KOTARO NUKAGAにて、アーティスト 田村友一郎による個展「N」が2022年9月10日から11月6日まで開催されている。Nを起点にした2つの並行世界を描いたインスタレーションが展示され、ギャラリーに広がる表裏一体の独特の世界観を体感することができる。
展示内容の説明
本展はアナログレコードを境に、アルファベット「N」を起点にした2つの並⾏世界からなる。A⾯は⼟星の第6衛星にして最⼤の衛星「タイタン」の世界。「タイタン」の⼤気の⼤部分は「窒素=N」で構成されている。窒素が充満する乾き切ったタイタンは⻩⾊を基調とした「N」の世界と⾔える。「N=エヌ」をレコードのB⾯のようにひっくり返して読むと「=ヌエ」となる。夜に⿃の漢字で⽰される「鵺(ぬえ)」は、『平家物語』などに登場するサルの顔、タヌキの胴体、トラの⼿⾜、尾がヘビという夜な夜な都を騒がせた物の怪である。⻘⾊を基調としたもうひとつの世界は私たちが寝静まった夜に訪れる裏⾯の世界なのだ。
N=エヌの世界
Nを冠するニューバランス:タイタンに降り⽴つ探査機ホイヘンスの軌跡が、Nを冠するニューバランスのスニーカーで⽰される。靴紐には天⽂学者ホイヘンスがタイタンを発⾒した際のアナグラム、インソールにはホイヘンスの直筆サインが配されている。
「SEE ME IN HERE」:液化窒素容器(N)にホイヘンスによる直筆のアナグラムを、⽥村の⼿によってさらに並べ替えられたテキスト「SEE ME IN HERE」が容器にステンシルされている。
Nの裏=ヌエの世界
B⾯「Nの裏=ヌエ」の世界。鵺(ぬえ)という妖怪にまつわるストーリーが展開される。
「ヌエのシール」:物の怪であるヌエ(鵺)のシール。ヌエは、『平家物語』などに登場するサルの顔、タヌキの胴体、トラの⼿⾜、尾がヘビという夜な夜な都を騒がせた物の怪。かの有名なシールの体裁をとったそれは、バラバラに切断されヌエの正体を図⽰する。「勅書」:薄い⾦属板にレシートがシルクスクリーンで刷られている。レシートはホテルオークラ京都のラウンジでの⾷事の会計のもので、作家である⽥村とギャラリーオーナーの額賀の実際の打合せでのレシート。⽇付を確認すれば1155年となっており、時代は平安末期である。物の怪である鵺(ぬえ)を討ったのは近衛天皇の命を受けた武⼠、源頼政とされている。つまり、このレシートは⽥村が近衛天皇ことNの勅命を受けたことを証明する勅書である。レシートの担当の欄は永らく近衛天皇の摂政を務めた藤原忠通の苗字が印字されている。
展覧会「N」の楽しみ方:番外編
- 写真と動画撮影が可能な展覧会となっており、自由に撮影することができる。
- オリジナルステッカーを数量限定で販売
- AWT×田村友一郎 オリジナルカクテル「N」の提供:アートウィーク東京会期中の4⽇間限定で南⻘⼭にオープンする建築家・萬代基介が設計した特別な空間、AWT BARでは、⽥村友⼀郎とコラボレーションしたカクテル「N」が提供される。
⽥村友⼀郎 プロフィール
1977年富⼭県⽣まれ、京都府在住。既存のイメージやオブジェクトを起点にした作品を⼿掛ける。作品は、写真、映像、インスタレーション、パフォーマンス、舞台まで多彩なメディアを横断し、⼟地固有の歴史的主題から⾝近な⼤衆的主題まで幅広い着想源から、現実と虚構を交差させつつ多層的な物語を構築する。それによりオリジナルの歴史や記憶には、新たな解釈が付与され、作品は時空を超えて現代的な意味が問われることになる。作品体系として、その多くがコミッションワークであり、近年では美術館のコレクションなども対象の事物として扱う。
⽥村友⼀郎「N」開催概要
会期 | 2022年9月10日 ‒ 11月6日 |
会場 | KOTARO NUKAGA 六本⽊ |
時間 | 11:00 ‒ 18:00 |
休館日 | ⽇、⽉、祝(11⽉3⽇、6⽇は開廊) |
特設サイト | https://bit.ly/3TDuZBk |