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資生堂ギャラリーは資生堂100周年を記念し、ベルリンを拠点に活動するアーティスト・デュオのジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ (Jay CHUNG&Q Takeki MAEDA) を招き、彼らのセレクションによる「Surface and Custom」展を2019年10月18日から12月22日まで開催している。

資生堂は1872年に東京銀座で創業。創業者の福原有信が日本の近代化にあたり、西洋の知見のもとに日本初の西洋調剤薬局 資生堂を開業したのが始まり。福原有信の三男、福原信三は1908年にアメリカに渡り薬学を学んだ後、1913年にはヨーロッパに渡り、パリではアメリカ時代からの友人の画家 川島理一郎の紹介で、藤田嗣治ら多くの芸術家に出会う。信三が欧米で得た新しいアートの知見がその後の資生堂の美意識に大きな影響を与える。

1919年に福原信三が設立した資生堂ギャラリーは現存する日本最古の画廊と言われる。ギャラリー設立当初から、新進のアーティストたちに発表の場を提供することで彼らを支援。最初の展示会は川島理一郎の個展。フランスに戻った川島から送られてくるパリの情報や品々は、当時の日本では貴重な西洋文化のソースとして、1924年に資生堂が消費者向け機関紙として創刊した『資生堂月報』に「巴里通信」として洒脱なイラストとともに掲載された。『資生堂月報』は1933年創刊の『資生堂グラフ』、1937年創刊の『花椿』に引き継がれ、最先端の欧米のトレンド、文化教養読物、ファッション・美容情報などを提供して来た。

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ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ (Jay Chung & Q Takeki Maeda)《Moulting》2019 資生堂包装紙、矢部季、1924年

ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダは、2002年の結成以来、主にヨーロッパやアメリカで作品を発表してきた。日本では、2018年国立国際美術館開館40周年記念「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」展、第10回恵比寿映像祭「インヴィジブル」などで、美術史や批評に言及した作品を発表するなどして注目を集める気鋭のアーティスト。ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダは、2019年4月にドイツのケルン・クンストフェラインで行われた個展「The Auratic Narrative」で資生堂のビジュアル・イメージを再構成したスライドショー「Moulting」を発表。日本が近代化する過程において西欧美学が果たした役割に興味を持った彼らは、資生堂がその先駆的存在として、西欧のモダンアートを積極的に取り入れていた事に着目し、資生堂の広告や前出の印刷物の中からモダンアートやファッション、ディスプレイシステム、都市の生活様式、社会的観念などのテーマに沿ってイメージを抜き出したビジュアル・ポエトリーを制作した。

本展は「Moulting」で扱われるテーマをもとに、ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダが選んだ五名のアーティスト、サーラ・ドゥラート、ピエール・ルギヨン、クララ・リーデン、カリッサ・ロドリゲス、竹岡雄二による作品で構成される。西欧文化を取り込み日本の美と融合させることで独自性を築いた資生堂のビジュアル・イメージの変遷と歴史や既成概念を問い直しながら、自身の作品へと昇華させていく現代美術の作家たちによる作品を楽しめる内容となっている。

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サラ・ドゥラート (Sara Deraedt)《AEG》2018 Courtesy of the artist and ESSEX STREET New York

サーラ・ドゥラート (Sara Deraedt) は、目の前で起こっている展示会という状況に関心を持ち、観客をありのままに存在する作品に直面させることを意図する。本展でドゥラートはこれまで発表されていない作品を展示。

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ピエール・ルギヨン (Pierre Leguillon)《Mérida》 2018 Photo by Aurélien Mole, courtesy Fondation d’entreprise Ricard, Paris

「The Museum of Mistakes (間違い美術館)」を自ら設立し、運営するピエール・ルギヨン (Pierre Leguillon) は、アートがどの様に社会に受け入れられるか、そのシステム自体を私たちに再考することを問いかける。彼の作品には布が頻繁に起用され、ルギヨン自身が幅広い絣のコレクションを所有する。本展でルギヨンは、福岡県八女市の絣職人である下川強臓と共同制作したペインティング「Merida (Painting for Sale, by the Meter)」を展示し、会期中に販売する。

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クララ・リーデン (Klara Lidén)《Untitled (jug chandelier)》2018

クララ・リーデン (Klara Liden) は、都市のインフラストラクチャーと社会構造を一つの道具とし、そのフレームの中で彼女自身の身体やその存在を発動させる。彫刻やインスタレーション、自発的でパフォーマティヴな介入において、街が提供するもの、例えば、公共のゴミ箱やATM、標識、フェンスなど様々な素材を利用。本展のために、リーデンは東京で滞在制作し、新作を発表。

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カリッサ・ロドリゲス (Carissa Rodrigues)《The Maid》2018 video still. 4K video with sound. 12:22 minutes. Courtesy of the artist

カリッサ・ロドリゲス (Carissa Rodriguez) は、自身を他の分野からアートにやって来たアートへの不法侵入者だと定義する。彼女はアート活動を職業として認識し、いつでも次の世界に行くことができるように、彼女自身の内的、外的、意識的、無意識的な状態を統合しており、作品や展覧会はその企てのための証左と考えています。本展では、2018年にロドリゲスがニューヨークのスカルプチャーセンターの個展で発表した映像作品「The Maid」を展示する。

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竹岡雄二《七つの台座》2011 サイズ可変 52x52x16cm 金メッキを施した真鍮 Achim Kukuklies, Düsseldorf

竹岡雄二は、1970年代に「もの」を現象として考察することから始め、試行錯誤の末、台座そのものを作品とする「台座彫刻」という形式に至りました。また作品と共にある空間に意識を向けた「空間の呈示」、さらには「空間ディスポジション(転移・転換)」という概念でアートを実践し続けている。本展では1986年に竹岡がデュッセルドルフのコンラッドフィシャー・ギャラリーの初個展で発表したドローイングを展示する。

イベント概要

展示名Surface and Custom
会期2019年10月18日(金)~12月22日(日)
会場資生堂ギャラリー 入場無料
開館時間平日 11:00~19:00 日・祝 11:00~18:00 毎週月曜休 (月曜日が祝日にあたる場合も休館)
住所資生堂ギャラリー 入場無料
〒104-0061 東京都中央区銀座 8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下 1階
入場料無料