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かつてない密度で展観する、大竹伸朗の〈網膜〉世界

大竹伸朗展 網膜」が丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)で2025年8月1日(金)から11月24日(月・休)まで開催される。MIMOCAでの大竹の展覧会は2013年の「大竹伸朗展 ニューニュー」に続いて12年ぶりとなる。大竹は1970年代後半より作品発表を始め、ドクメンタ(ドイツ)やヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア)など重要な国際展への参加を経て、近年では東京国立近代美術館を皮切りに愛媛、富山へと巡回した大規模な個展まで、国内外での幾多の展覧会を開催してきた。その半世紀におよぶ活動を通じ、圧倒的な熱量が生み出した膨大かつ多様な作品の数々から、本展は〈網膜〉にフォーカスすることにより大竹の作品世界をさらに掘り下げる。

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大竹伸朗 《網膜/漠悸》 1989-2024年 Photo by Shimpei Yamagami

〈網膜〉シリーズは、1988年に制作の拠点を移した宇和島のアトリエで着想され、1990年代初頭まで集中的に制作されたあとも、他のシリーズへの展開を伴いながら制作が続けられてきた。網膜とはそもそも眼球の最奥にある、光を感受し視神経を介して脳に情報として伝える機能を担う薄い透明の膜だが、大竹は、廃棄された露光テスト用のポラロイド・フィルムに残された光の痕跡を大きく引き伸ばし、その表面に透明の絵具としてウレタン樹脂を塗布する絵画作品のシリーズにこの名を付けた。本展では、新作〈網膜〉12点に加えて、〈網膜〉に音と光を組み込んだ高さ約3mのレリーフ状の新作、そして1990年代初頭に制作された未発表の大型〈網膜〉をはじめとした作品群が核となり、構想時のサイズに更新した大規模インスタレーション《網膜屋/記憶濾過小屋》(2024年)、2010年代半ばから続くグワッシュの連作〈網膜景〉や油彩のシリーズ〈網膜/境〉といった、「時間」や「記憶」を介して〈網膜〉と絶えず往還し続ける作品が骨格となった、大規模展覧会となっている。

本展の見どころ

〈網膜〉シリーズに注目した展示
〈網膜〉シリーズの最新作12点、未発表作品を一挙公開
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大竹伸朗《 網膜屋/記憶濾過小屋》 2014年( ヨコハマトリエンナーレ2014での展示風景)Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo / Photo by Kei Okano

1991年の開館以来、MIMOCAの歴史において最大規模と密度の高い展覧会
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「大竹伸朗展 ニューニュー」での展示風景(2013年、MIMOCA) Photo by Masahito Yamamoto

大竹伸朗

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大竹伸朗 Photo by Shimpei Yamagami

1955年東京都生まれ。主な個展に東京国立近代美術館/愛媛県美術館/富山県美術館(2022-23)、熊本市現代美術館/水戸芸術館現代美術ギャラリー(2019)、パラソルユニット現代美術財団(2014)、高松市美術館(2013)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(2013)、アートソンジェセンター(2012)、広島市現代美術館/福岡市美術館 (2007)、東京都現代美術館 (2006) など。また国立国際美術館(2018)、ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート(2016)、バービカン・センター2016) などの企画展に出展。ハワイ・トリエンナーレ(2022)、アジア・パシフィック・トリエンナーレ(2018)、横浜トリエンナーレ(2014)、ヴェネチア・ビエンナーレ(2013)、ドクメンタ(2012)、光州ビエンナーレ(2010)、瀬戸内国際芸術祭(2010、13、16、19、22) など多数の国際展に参加。また「アゲインスト・ネイチャー」(1989)、「キャビネット・オブ・サインズ」(1991)など歴史的に重要な展覧会にも多く参加している。なお香川県内では、直島、豊島、女木島(女木島は瀬戸内国際芸術祭会期中のみ)で作品を公開している。

「大竹伸朗展 網膜」開催概要

会期2025年8月1日(金)~11月24日(月・休)
時間10:00~18:00(入館は17:30まで)
会場丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
休館日月曜日(ただし8月11日、8月12日、9月15日、10月13日、11月3日は開館)9月16 日(火)、10月14日(火)、11月4日(火)
URLhttps://tinyurl.com/m76u2992