宇宙と小さな星の存在を想い描く新作を発表
銀座 蔦屋書店は、アーティスト渡邊涼太の個展「星屑が目に刺さる」を2022年12⽉27⽇(火)から2023年1⽉20⽇(金)まで店内アートウォールにて開催、新作6点を展示する。渡邊涼太はカッターや自作の道具を使用して、絵具を壊し、盛る、その反復で絵画を制作してきたアーティスト。その行為は、リアルに存在するものとしないものが、混然と認知されずに存在している現代に生きる我々の感覚そのものを描き出す試みでもある。
かつては、具象的で描写的な絵画を志向していたが、自分が捉えようとしているリアルは固定されたものではなく、むしろ定まっていないものなのではないかと気づく。例えば、デジタルカメラで人を映した画像においても、実際は現実の存在が一旦デジタル上に粒子として破壊され、リアルに一番近い形に組み上がることで成立している。この感覚は1998年に生まれた世代が多感な時期に体験し続けた、不景気、天災、未知のウイルス、戦争などといった、数年おきの価値観の大きな変動から来ている。渡邊の作品は想像のできないことにさらされ続けたひとりの人間が不可抗力の現実に向き合ってきた、その軌跡とも言える。
そして本展で渡邊は新しい試みに挑む。新作「STELLA」は、中央のひび割れて厚く塗り固められた部分の激しい熱を思わせる赤と、それを封じるようにかけられた銀の檻で構成されており、今までの渡邊の作品では見られなかった制作方法で様々なテクスチャーが共存している。渡邊がステートメントの中で、“はるか遠い闇で爆発が起き、散らばった様々な星屑たち、その砂つぶより小さな存在はそれでも強い光を放つ”と語るように、困難な状況の中、不確かな現実を前に散り散りになりながらも輝こうとする人たちの姿と重なる。
はるか遠い闇で爆発が起き、様々な星屑たちが散らばり、分解と再構成を繰り返しその循環の中でこの星もできた。宇宙の中ではとても小さな点だ。
その星で生まれたデータという世界の膨張は凄まじく、宇宙の星々たちを編集し飲み込み混じり合っていった。
そしてその2つの途方もない宇宙の端は今も尚、膨張し続け、私たちは星屑のようにその中を浮遊し続けている。
自分が存在しているこの星も大きく綺麗なあの星もどんどん遠くに離れていき、どこか遠い星屑となり、名前すら忘れてしまうかもしれない。砂つぶより小さい存在がより圧縮し、強く光り、あなたの眼に刺さっていたい渡邊涼太
渡邊涼太 / Watanabe Ryota
1998年埼玉県生まれ。2021年東北芸術工科大学芸術学部美術科卒業。2022年東京芸術大学大学院第六研究室在籍。近年のおもな展覧会として、2021「HORIZON」(ロイドワークスギャラリー、東京)2022「1998」(GALLERY ROOM・A、東京)、2022 One Art Taipei 2022 藝術台北(The Sherwood Taipei)、2021「⻤頭健吾(京都芸術⼤学) × 薄久保⾹(東京藝術⼤学)推薦作家展」(渋⾕⻄武オルタナティブスペース)、2021「One FACE展」(ロイドワークスギャラリー、東京)、2020「heso」展 (古民家heso、山形)などがある。また、受賞歴は2022 One Art Taipei「TOP 10十大亮點作品」、2021 WATOWA ART AWARD 2021 「小橋賢児賞」、2018六花亭主催・中村内美術村企画公募「二十歳の輪郭」最優秀賞2016第66回埼玉県美術展覧会産経新聞社賞など。
渡邊涼太個展「星屑が目に刺さる」開催概要
会期 | 2022年12月27日(火)から2023年1月20日(金)まで |
会場 | 銀座 蔦屋書店アートウォールギャラリー |
料金 | 無料 |