「静寂」をテーマに日本の伝統的美意識と現代のテクノロジーを結ぶ
サウンドアーティスト國本怜の個展「静雨」がデザインスタジオIN FOCUSが運営するクリエイティブスタジオCONTRASTにおいて2022年6月11日(土)から6月26日(日)まで開催される。國本は「静寂」をテーマに日本の伝統的美意識と現代のテクノロジーを結びつけ、サウンド制作やエンジニアリング、彫刻、空間設計など様々な領域を横断し、新しい音響体験を表現。
日本では5年ぶりの個展となる本展では、初の試みとなる音響絵画作品「AME」などの新作を含む自身最大規模の展示となる。本展示のテーマである「静雨」は梅雨という日本独特の四季のうつろいに着目し、雨がもたらす静寂と精神性を再解釈。
東アジアに位置する日本では6月に梅雨と呼ばれる雨季に入る。無数の水滴音の集合である雨音は可聴周波数帯域を占領し、異なる他の音によって音が遮蔽されるマスキング効果によって、雨音は喧騒を掻き消し静寂をもたらす。地中に染み入った雨水は水滴音を響かせ、静寂を立ち上らせる。やがて海水は流れ去り、空気に溶け、次の雨へと接続する。静寂をもたらす雨音、静寂を映す鏡となる水滴音、それらをつなぐ水の循環を構成することで内省的空間を構築することを試みる。地上と地下の2フロアにわたる空間を利用したインスタレーションを通して、まだ見ぬ音響体験へと誘う。
國本怜 (Ray Kunimoto)
1991年NY出身、東京育ち。慶應義塾大学文学部美学美術史専攻卒業。2017年よりNY在住の後、2021年に帰国。日本、アラブ首長国連邦、台湾、アメリカをはじめとし世界各地でサウンドインスタレーション作品の発表、ライブパフォーマンスを行なっている。