自然界のアルゴリズムから創る新たなグラフィック表現への挑戦
デザイナー深地宏昌とプログラマー・アルゴリズミックデザイナーの堀川淳一郎によるコラボレーション展示「NATURE / CODE / DRAWING」が渋谷ヒカリエ8 / CUBE1, 2, 3にて、2022年7月9日から7月19日まで開催される。水の波紋や地面のひび割れ、木々の年輪や山脈の連なりなど自然が生み出す美しい形状や現象は一見複雑で再現性のないように見えるが、その仕組みをよく観察すると何かしらの規則性があり実はシンプルなルールの組み合わせであることが多くある。
そしてそれらを数理的に読み解くことで、プログラミングによって人工的に再現することが可能となる。本展示では自然界のあらゆる形を意図的に再現し、グラフィックとタイポグラフィに落とし込む新しい表現領域に挑戦。堀川が開発した「自然アルゴリズムによる3次元プログラム」で創り出した自然現象を深地の「Plotter Drawing(プロッタードローイング)」で物質的な強さと重さのあるフィジカルの世界へ変換。デジタルとリアルの間に生じる偶発的な美しさを集積した作品群を発表する。
自然物の再現にはアルゴリズミック・デザインの手法を用い、自然物の有機的な形状をアルゴリズムと呼ばれる数理的な手順を利用することであらゆる形や現象を創り出している。また、数値を可変させたり新たなルールを追加することでそのアウトプットはアルゴリズムの制御下でありながら、有機性を持ち、ときに生物の成長のような思わぬ形を描く。自然界のロジックとカオス、デジタルとフィジカル、そして機械と人間。異なる専門領域を横断した二人の表現。これらは必ずしも正反対の存在ではなく、共生的で交差し合うものだと言うことを示唆している。膨大な種類の自然アルゴリズムのリサーチと、ドローイングの実験の積み重ねを融合したコラボレーションを実感することができる。
Plotter Drawing(プロッタードローイング)とは
プロッター(ベクターデータを変換・出力する機器)でデジタルデータを物理的な動きに変換し、鉛筆、ボールペン、筆ペン等のアナログな筆材でドローイングをおこなう技法。デジタルでしか実現しえない緻密な線情報が筆材によって物理的に描かれると、摩擦や重力、湿度や気圧などの物理的要因が作用して滲みや擦れなどの「偶発的表現」が生まれる。PlotterDrawingは、そのようなデジタルとリアルの境界に生じる偶発的表現を意図的に創り出す表現手法。
アーティストプロフィール
深地 宏昌(ふかじ ひろまさ)
デザイナー。1990年大阪府生まれ。京都工芸繊維大学大学院デザイン学専攻修了。プロッター(ベクターデータを変換・出力する機器)を用いて、デジタルとリアルの境界に生じる偶発的表現をつくり出す手法「Plotter Drawing(プロッタードローイング)」を軸に、新しいグラフィック表現の研究を行う。カンヌライオンズ、ザ・ワン・ショー、ニューヨークTDCアワード、D&ADアワードなど受賞多数。
堀川 淳一郎(ほりかわ じゅんいちろう)
プログラマー / アルゴリズミックデザイナー。1984年東京生まれ。Columbia University GSAPP AAD修了。アルゴリズムを利用した様々な形態の生成・研究を幾何学や自然の生態をヒントに三次元グラフィクスプログラミングを媒介に長年行っている。現在Youtube上で定期的にアルゴリズミックデザインに関するチュートリアルライブ配信や動画を上げている。ザ・ワン・ショーや文化庁メディア芸術祭などで受賞。著書に『Parametric Design with Grasshopper』と『Algorithmic Design with Houdini』がある。
「NATURE / CODE / DRAWING」開催概要
会期 | 2022年7月 9日(土)から7月19日(火)まで |
時間 | 11:00~20:00(最終日は18:00まで) |
場所 | 渋谷ヒカリエCUBE 1, 2, 3 |
料金 | 無料 |