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アートバーゼルマイアミ2021目前。アート市場におけるジェンダー格差にNFTは変化をもたらせるのか

この世に残した多くの傑作が高く評価されている、メキシコの現代画家フリーダ・カーロ。しかし、Artpirceの2021年11月の月間オークション売上高では、彼女は17人の男性アーティストたちに次ぐ18位に過ぎなかった。一方、1985年以降に生まれた世代のアーティストの間では完全に逆転の現象が起きている。8つのトップセラーシグネチャーはすべて若手の女性たちが占めているのだ。ジェンダーの平等という問題において、NFT市場で何が起こっているのだろうか。

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Frida Kahlo Self Portrait, Copyright 1987-2021 thierry Ehrmann

Artmarket.comおよびそのArtprice部門のCEO兼創設者のThierry Ehrmannは、次のように語る。「NFT市場の創設は、ジェンダーの平等をある意味において実現する機会となるに違いありません。アートバーセルマイアミビーチが示しているとおり、現在、この業界全体でテクノロジーの革命が起こっています。今年は、テゾス (「急速に成長しているNFTアーティストのコミュニティのひとつ」) に門戸が開かれ、スコープマイアミでは、非代替性トークン形式でVIPへの招待状が発行されました」。

NFTが初めてウェブに登場してから数年しか経過しておらず、非代替性デジタルトークンが一般に知られるようになったのもわずか数ヶ月前だった。しかし、既に「この新しい世界においても女性の存在感が薄い」と話をする人たちがいる。そうしたなか、この不均衡を是正する幾つかのプロジェクトが始動しており、その手始めとなるのがWorld of Womenという女性だけのPFP(プロフィール写真)のコレクションだ。これは、NFTの空間に多様性や一体感をもたらすために作られたもので、アート界のコレクターズアイテムと一点もののギャップを埋める架け橋になるだろう。

伝統あるアート市場において、長年にわたりジェンダーの平等についての問題があったことを考えると、デジタルの世界において、男性優位の状況に対する懸念が生じるのも至極当然のことのように思われる。ニューヨークでの11月のサザビーズプレステージは、サザビーズのマックロウコレクションとクリスティーズのプレステージセールにより牽引されたが、今回も、Warhol、Van Gogh、Picasso、Monet、Twombly、Rothko、Giacometti、Richterなどの作品が優位を占めていた。

今年の11月のオークションにおいて女性アーティストではトップの売り上げだったフリーダ・カーロは、順位としては17人の男性アーティストに次ぐ18位だった。Ken Bromley Art Suppliesが2020年に発表した調査では、フリーダは、Googleで最も検索されたアーティストのひとりで、レオナルド・ダ・ヴィンチに次ぐ2位にランクインしている。

フリーダが描いた重要な絵画のひとつ「Diego y yo(1949年)」は、美術館には所蔵されていない。2021年11月6日、サザビーズで3,400万ドルで落札されたが、これは1990年の値の22倍に相当する。フリーダにとっては実に素晴らしい成果となったが、これは2021年11月の有名なオークションで1億6500万ドルで落札されたアンディ・ウォーホルのシグネチャーにはまだまだ及ばない。

オークションの女性アーティストトップ10(2021年11月)

グローバルランキング(オークション売上高)

18位 – Frida KAHLO (1907年~1954年): 34,883,000ドル 

28位 – Agnes MARTIN (1912年~2004年): 21,765,500ドル 

30位 – Cecily BROWN (1969年~): 20,706,150ドル 

32位 – Joan Mitchell (1926年~1992年): 20,053,500ドル

41位 – Georgia O'KEEFFE (1887年~1986年): 14,561,300ドル 

52位 – Yayoi KUSAMA (1929年~): 9,198,600ドル

53位 – Lee BONTECOU (1931年~): 9,176,500ドル

58位 – Helen FRANKENTHALER (1928年~2011年): 8,177,100ドル

59位 – Cindy SHERMAN (1954年~): 8,162,100ドル

62位 – Tamara De Lempicka (1898年~1980年):  7,896,300ドル

しかし、1985年以降に生まれた世代においては、逆の現象が起きている。過去10年にわたり、40歳以下の女性アーティストは、確固たる地位をオークション市場で築いてきている。2013年から2014年にかけて、コレクターたちはポーラクーパーギャラリーに代表されるTauba Auerbach(1981年)の作品に夢中になった。こうしたトレンドは徐々に強くなり、1985年以降に生まれたアーティストの落札額(2021年11月)では、女性の画家がかなりの部分を占めている。

1985年以降に生まれたアーティストトップ10(2021年11月)

グローバルランキング(オークション売上高)上位8人は全て女性。

1位 – Avery SINGER (1987年~): 4,638,900ドル 

2位 – Toyin Ojih ODUTOLA (1985年~): 2,235,900ドル 

3位 – Flora YUKHNOVICH (1990年~): 1,951,100ドル 

4位 – Jadé FADOJUTIMI (1993年~): 1,053,400ドル 

5位 – Christina QUARLES (1985年~): 948,000ドル 

6位 – Jordan CASTEEL (1989年~): 806,500ドル 

7位 – Issy WOOD (1993年~): 768,750ドル 

8位 – Allison ZUCKERMAN (1990年~): 636,600ドル 

9位 – Ismail ISSHAQ (1989年~): 589,300ドル 

10位 – Oscar MURILLO (1986年~): 432,900ドル