Q4pSblF-W1Q

Sorry, this entry is only available in Japanese. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language.

オークラ東京が2019年9月にリニュアールオープン

ホテルオークラ東京」本館が4年の歳月を経て、「オークラ東京」として2019年9月にリニューアルオープンした。「オークラ東京」は「オークラ ヘリテージ」及び「オークラ プレステージ」の2つのブランドを一体で運営する「Two Brand One Operation」のホテルとなる。「オークラ東京」は17階建ての「オークラ ヘリテージウィング」と41階建ての「オークラ プレステージタワー」の2棟からなる。この2つのブランドを運営する特別なホテルとしての位置づけを明確にするために、新本館のホテル名称を「ホテルオークラ東京」から 「オークラ東京」という名称に改めた。

adfwebmagazine_the_okura_tokyo_exterior

「ホテルオークラ東京」は1962年に”海外の模倣ではなく世界に通じる日本独自のホテルの創造”を目指し開業。今回の「オークラ東京」の開発コンセプトは”伝統と革新”。旧本館に息づいていた”日本の伝統美”を継承しつつ、最新の設備・機能に刷新した。またホテルオークラグループが今まで大切にしてきた”Simplicity&Elegance(清楚にして優雅、華美過ぎない洗練された上質さ)”をデザインコンセプトとする。

「オークラ東京」の建築設計は、大成建設株式会社設計本部を設計統括とした6社による共同設計。その中でホテルオークラが培ってきた日本の伝統美の継承、そして次世代への橋渡しという観点から、「ホテルオークラ東京」旧本館ロビーを設計した谷口吉郎の息子である谷口吉生が、2つのホテルロビー、日本の趣を表現する日本料理「山里」などの料飲施設、オークラスクエア等を設計した。

adfwebmagazine_the_okura_tokyo_5

谷口吉生の設計による「オークラ プレステージタワー」のロビーには、旧本館ロビーを精緻に復元し、旧本館に息づいていた日本の伝統美を継承している。オークラを象徴する照明器具「オークラ・ランターン」や、満開の梅の花のように見立てた「梅小鉢のテーブルと椅子」、六大陸各都市の時を刻む「世界時計」、そして「行燈」などが再配置されている。また、色絵磁器の人間国宝 富本憲吉がデザインし、西陣の純絹のつづら錦に仕上げた「四弁花紋様の装飾」や「麻の葉紋の木組み格子」などについては、旧本館仕様そのままに製作している。これは旧本館ロビーを復元するに際し、かつての空間構成や照度・音響などを様々な角度から調査・検証することにより、その空気感までを含めて継承したものだ。

「オークラ プレステージタワー」のロビーに再現するにあたり、本館閉館後、調査をすると麻の葉の一枚ずつ、その葉の輪郭より葉脈がわずかに3㎜低く組まれていることが発覚した。これにより、基本となる三つ組手と、組み入れる組子の高さの差が凹凸となって立体感が生まれていた。組子の世界では通常は行わない加工であるが、オークラの場合、ロビーの高い場所に設置されたため、見上げることを想定して計算されたものだと推測される。

また一般的な組子は、基本となる「三つ組手(みつくで)*」が縦であるが、オークラロビーは横に使われている。これは外光の取り入れ方の工夫を施していたのではないかと考えられる。日本建築の「軒」の考え方と同様に、直射日光ではなく、地面に反射した光を取り入れ、空間を照らす役目を組子が担っていると思われる。それと同時に、高い吹抜け天井に太い角柱が並び、木質をいかした直線の構成となっていた周囲の印象を阻害しないよう考慮されていたと考えられる。

adfwebmagazine_the_okura_tokyo_kumite

adfwebmagazine_the_okura_tokyo_kumiko

美術組子 作業風景 - 株式会社佐田建美

宴会場は様々な目的で使われ大人数が一堂に会する場であることから、強い個性をもたせないのが一般的である。しかし「オークラ東京」で最も広い「平安の間」は一線を画す形となる。「大倉集古館」のコレクションのひとつとしてホテルの創業者である大倉喜七郎が蒐集した国宝「古今和歌集序」の唐紙が壁面装飾のモチーフとなっているからである。

adfwebmagazine_the_okura_tokyo_heiannoma

adfwebmagazine_the_okura_tokyo_heiannoma2

「古今和歌集序」の原本は、1000年以上の時の経過を感じさせないような華麗な唐紙が最大の特徴である。巻子本特有の風合いを表現するために、使用する紙は、和紙産地の中でも長い歴史と最高の品質と技術を誇る福井県越前市の手漉き和紙を採用。和紙は、三大原料である雁皮(がんぴ)、三椏(みつまた)、楮(こうぞ)のうち、光沢が美しい三椏と、繊維が長く強靱な楮を合わせて漉いた紙を選定した。

「オークラ東京」は日本の美を継承するホテルとしての独立性を確保するとともに、国内外の賓客の迎賓館ともなるホテルとして再びスタートさせた。

adfwebmagazine_the_okura_tokyo_10

adfwebmagazine_the_okura_tokyo_7

adfwebmagazine_the_okura_tokyo_12

建築家 谷口吉生について

1937年東京生まれ。ハーバード大学で建築を学び、丹下健三のもとで経験を積む。谷口吉生が手がけた主な作品には「東京都葛西臨海水族園」、「東京国立博物館法隆寺宝物館」、「ニューヨーク近代美術館」、「京都国立博物館平成知新館」、「GINZA SIX」などがある。また父である建築家 谷口吉郎の生誕地、金沢の住居跡地に建築博物館プロジェクト「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」を2019年に完成させた。

オークラ東京概要

ホテル名オークラ東京 (The Okura Tokyo)
設計大成建設・谷口建築設計研究所・観光企画設計・日本設計・森村設計・NTTファシリティーズJV
延床面積約180,000㎡
客室数508室
レストラン・バーレストラン5店舗、バー3店舗
宴会場19室
住所〒105-0001
東京都港区虎ノ門2-10-4
アクセス:東京都メトロ日比谷線・神谷町駅、南北線・六本木一丁目駅 ※いずれも徒歩10分以内