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期間限定公開の「風の教会」にちなんだ新作

現代アートの芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」が神戸・六甲山上を舞台に2024年8月24日(土)から11月24日(日)まで開催される。本芸術祭において、アーティスト・宮永愛子が安藤忠雄設計の「風の教会」で新作を発表する。宮永は土地やものにまつわる歴史やそこに流れる時間を紐解き、極めて丁寧で繊細な手法を用いてその場の環境も含めて作品を展開するが、本新作も神戸でのリサーチにより生まれたものとなる。

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安藤設計の「風の教会」は竣工1986年。阪神電気鉄道株式会社が六甲山開発の一環で建設した六甲オリエンタルホテルの敷地内に建てられた。正式名称は六甲の教会だが風の教会という愛称で親しまれ、水の教会(北海道)、光の教会(大阪)とともに安藤忠雄の教会三部作と言われている。2007年の六甲オリエンタルホテル閉業に伴い、教会も閉鎖された。2017年にホテルは解体され、現在は教会のみが残っている。通常は非公開であり、「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」開催期間の限定公開となる。

新作「辻の音(つじのおと)」

かつては老舗ホテルのチャペルウエディングの会場として様々な家族のハレの日を見守ってきた風の教会だが、今は時が止まったかのような静寂とともにある。宮永はこの教会に流れる時間を注意深く観察し、教会の建つ六甲山上から見渡せる景色の中で暮らす人々や場所、ことをリサーチした。例えば、レゴブロックのような人工島や、その埋め立て地に山の土を運んだベルトコンベアの道、かつて貿易港だったこの地での人々の営み、土地や人々の心に残る震災の記憶などを対象とした。

宮永は今の神戸を形づくったこれらの痕跡を地図には載らない道になぞらえ、風の教会をそれらの道が交差する場所、“辻”に重ねて考察。リサーチで集められた古今の事象は断片として教会に丁寧にささやかに配置されている。それらの要素を大切に拾い集め紐解く中で、鑑賞者は自身の生活の拠点から、静かに、かつ、無限大に思考を広げてゆくことができる。

宮永愛子

1974年京都府京都市出身、同地在住。2008年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。日用品をナフタリンでかたどったオブジェや、塩や葉脈、陶器の貫入音を使ったインスタレーションなど、気配の痕跡を用いて時間を視覚化し、「変わりながらも存在し続ける世界」を表現した作品で注目を集める。主な近年の展覧会に、個展「宮永愛子 詩を包む」(富山市ガラス美術館、2023)、個展「宮永愛子-海をよむ」(ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM、京都、2023)、「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」(森美術館、東京、2023)等。第70回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞(2020)。

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「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」開催概要

会期2024年8月24日(土)~11月24日(日)
会場ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園、トレイルエリア、風の教会エリア、六甲ガーデンテラスエリア、六甲ケーブル(六甲ケーブル下駅・山上駅・天覧台)、六甲有馬ロープウェー六甲山頂駅、兵庫県立六甲山ビジターセンター(記念碑台)、六甲山サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)
URLhttps://rokkomeetsart.jp/