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アートコレクター 奥山純一氏のコレクションがAACA賞芦原義信賞(新人賞)受賞建築作品に一堂に展示

アートコレクターである奥山純一のコレクション展が、建築家・陶芸家の奈良祐希設計の処女作であり、2023年4月に竣工した「Node Kanazawa」内のギャラリーで開催される。「Node Kanazawa」は、石川県の金沢市問屋町に所在し、注文住宅や商業施設の設計、施工、販売などを手掛ける株式会社家元の本社機能を備えている。1階にカフェレストランやギャラリーも入居する複合施設として設計された。第33回AACA賞公開審査会にて、奈良祐希が史上最年少でAACA賞芦原義信賞(新人賞)を受賞した建築作品。

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OKUYAMA COLLECTION展によせて

私的なアートコレクションは、パンデミックの最中、ニューヨークはメトロポリタン美術館にて、あるシルクスクリーンの作品を購入したことがきっかけとなった。その後、ボストンで、イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館に出会った。それは、イザベラという1人のコレクターが、生涯をかけて作り上げたコレクションが、実際の居住空間をそのままに残されているものだった。これは一つの大きなアートで、イザベラ氏にしか表現できないものだったはずだ。 私は「Life itself is an art(人生そのものは芸術だ)」という言葉が大好きだ。人は自分という芸術作品を、一生かけて作り上げていく。ということは、誰もが表現者だということ。自分を表現するのは簡単に見えて、実はかなり勇気のいることだったりする。アートと共に暮ら し向き合うことで、自分の奥にある感性が刺激され、溢れ出し、それは生きるエネルギーに変わっていくように感じている。私は同じ時代を生きるアーティストの作品を中心に収集しているが、今回の展示会では、三島喜美代さん、平子雄一さん、奈良祐希さんをはじめとした作品をセレクトした。どのアーティストも、過去と未来をつなぐ”今”に挑戦するアーティストだと認識している。とはいえ、作品を通して受け取るメッセージは、個々で異なるだろう。これらの背景を踏まえて、展示を楽しんでいただければ幸いだ。今回の展示会はNode Kanazawaでの開催。Node Kanazawaの設計は、陶芸家であり建築家でもある奈良祐希さん。壁は、左官仕上げになっており、県内を流れる手取川の砂利や大樋土の陶土を混ぜ込んだもの。地域に根差し、素材を大切にする陶芸家 奈良さんだからこそ成せた技である。建築としてのアートもまた楽しんでいただけると思う。このような素敵なスペースで展示会を開催でき大変光栄である。

奥山純一

Node Kanazawa

「緑化」や「自然風」といった自然エネルギーを積極的に活用しながら、「日陰」によるヒートアイランド現象の緩和を企図した「緑のミチ」 を建築内に設けている。建物を貫通するこの緑道はパブリックスペースとして地域社会に貢献し、オアシスとしての役割も担う。正対する「街のミチ」は都市街路の延長として機能し、「ミチ」の交差点(Node)が建築中心部に配置され多様なコミュニティの創出に寄与する。 地域に古くから伝わる武家屋敷の土塀を連想させるスケールアウトした土壁ファサード、 問屋町の周辺建物内外で多用されている「キャンチレバー」や「渡り廊下」を改めて解釈し直し形態に反映、石川県産である「戸室石」「能登ヒバ」「大樋土」などの自然素材をふんだんに活用して、親近感のある地域の賑わい創出と古来から伝わる街並みや歴史、記憶の現代への継承を意図している。 本格的な建築作品としては奈良祐希の処女作となった 「Node Kanazawa」だが、350 年以上続く茶陶の後継者である自身の出自や、地元金沢の文化や産物が違和感なく建築のフォーマットへと落とし込まれており、すでにシグネチャースタイルと呼べるような、オリジナリティあふれる建築。

奥山純一

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1984年岐阜県大垣市出身。ヴィスト株式会社会長、株式会社KXホールディングス取締役兼CCO(Chief Creative Officer)。静岡大学教育学部を卒業後、外資系人材総合サービス会社に入社し、金沢支社に配属となる。営業時代に企業から障害者雇用について相談をされるものの力になれずに悔しい思いをした経験する。さらに、自身の母親が難病をきっかけに精神疾患を患い、社会とのつながりが断絶していく姿に違和感を覚え、起業を決意。 2012年ヴィスト株式会社を設立。社会とのつながりに障がいを感じる人を対象に就労支援事業を開始。複数の事業を石川県・富山県・神奈川県に20拠点以上を展開。2022年、創業から10年の節目でヴィスト株式会社を投資ファンドに株式譲渡し、会長に就任。その後、持株会社であるKXホールディングスの取締役兼CCO(Chief Creative Officer)に就任。一方、2023年からは、エンジェル投資家として活動を開始。1年で10社以上の投資実績をもつ。

奈良祐希

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1989年金沢市生まれ。茶陶の名窯「大樋焼」の次期12代目当主。東京藝術大学で建築、多治見市陶磁器意匠研究所で陶芸を学び、東京藝術大学大学院を首席修了後に北川原温のもとで学んだのちに独立。2021年「EARTHEN」を設立。

展示作家紹介

三島喜美代

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昭和7年、大阪市生まれ。昭和26年、大阪市立扇町高校卒業。昭和49年、ファエンツァ国際陶芸展金賞。61年から1年間、ロックフェラー財団奨学金でニューヨークに留学。帰国後も精力的に活動を続け、作品は大英博物館など世界的な美術館・博物館にも収蔵されている。

平子雄一

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1982年岡山県生まれ、東京を拠点に活動。2006年にイギリスのウィンブルドン・カレッジ・オブ・アートの絵画専攻を卒業する。植物や自然と人間の共存について、また、その関係性の中で浮上する曖昧さや疑問をテーマに 制作を行う。観葉植物や街路樹、公園に植えられた植物など、人によってコントロールされ た植物を「自然」と定義することへの違和感をきっかけに、現代社会における自然と人間との境界線を、作品制作を通して追求している。

奈良祐希

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1989年金沢市生まれ。十一代 大樋長左衛門の長男として生まれる。2016年多治見市陶磁器意匠研究所卒業、2017年東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻首席卒業。陶芸の分野では、2018年にパリで大規模な個展を開催。SOFA(アメリカ)、Design Miami(スイス)、TEFAF(オランダ)など国内外多数のアートフェアに招待出品。作品は、根津美術館、金沢21世紀美術館、大林コレクションなどに収蔵されている。

名和晃平

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1975年生まれ、京都を拠点に活動。2009年「Sandwich」創設。感覚に接続するインターフェイスとして、彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸として、2002年に情報化時代を象徴する「PixCell」を発表。生命と宇宙、感性とテクノロジーの関係をテーマに、泡そのものが巨大なボリュームに成長する「Foam」など、彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知覚体験を生み出してきた。近年では、アートパビリオン「洸庭」など、建築のプロジェクトも手がける。

舘鼻則孝

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1985年東京生まれ。 歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。 シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で、幼少期から手でものをつくることを覚える。2010年に東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻を卒業。遊女に関する文化研究とともに、友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。ニューヨーク、パリ、ベルギーなど世界各地で作品を発表。 また2016年3月にパリのカルティエ現代美術財団で文楽公演を開催するなど、幅広い活動を展開している。作品はメトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館などに収蔵されている。

熊野海

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1983年福井県生まれ、神奈川県在住。2007年東京藝術大学美術学部工芸科陶芸専攻卒業。2014年ベルリン芸術大学 Guest Student。2013年第16回岡本太郎現代芸術賞展入選。2014年吉野石膏美術財団在外研修員(ドイツ・ベルリン)。

「OKUYAMA COLLECTION 展」開催概要

会期2023年12月1日~2024年3月30日
時間11:30〜17:00
定休日毎週火曜日
会場Node Kanazawa