Sorry, this entry is only available in Japanese. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language.

物質同士の応答から生まれる「始まりの実験」シリーズを展示

地村洋平による個展「それはまた、次の名前の前にいる」が、2026年6月6日から7月18日まで、東京・六本木のKOTARO NUKAGAで開催される。本展では、ガラス内部に錫を封じ込めた造形作品《始まりの実験》シリーズに加え、ギャラリー空間全体を透明なビニールで覆うインスタレーション作品を発表する。adf-web-magazine-meb-yohei-chimura-20

1984年千葉県生まれの地村洋平は、富山ガラス造形研究所を経て東京藝術大学大学院博士後期課程を修了。伝統的な金属鋳造とガラス造形を横断しながら、素材が変容する瞬間に着目した制作を続けてきた。現在は東京藝術大学美術学部ガラス造形研究室准教授を務める。本展の中心となる《始まりの実験》シリーズは、物質に名前が与えられる以前の“始まり”の状態を問い直す試みである。透明なガラス内部に封じ込められた錫は、溶融と冷却の過程で重力や遠心力、熱応力など複数の力に反応しながら予測不能な軌跡を描く。

地村にとって制作とは、素材を支配することではなく、素材に応答する行為に近い。ガラスと錫、熱と時間、それぞれの物質が出会う条件を整え、その変化を受け入れながら造形が立ち上がる瞬間を待つ。会場では、透明なビニールによって覆われた空間インスタレーションも展開。熱によって変形した膜状の素材が建築空間にもうひとつの皮膚を与え、展示空間全体を包み込む。ガラス作品とインスタレーションが共存することで、素材に刻まれた時間や力の痕跡が空間全体へ拡張されていく。

地村はガラスを「優秀なハードディスク」と捉えている。透明な物質内部には、溶融、変形、冷却といった制作過程そのものが記録されている。作品に散在する銀色の錫の粒は、重力や遠心力がせめぎ合った痕跡であり、素材が経験した力と時間の記録でもある。本展には、熱を失った物質に触れるときの静かな“寂しさ”も通底している。灼熱の中で生成された構造が、冷却によって沈黙した姿へ変わる。その時間の厚みを前に、人間が応答しきれない感覚そのものが、作品空間に漂う。adf-web-magazine-meb-yohei-chimura-8adf-web-magazine-meb-yohei-chimura-9adf-web-magazine-meb-yohei-chimura-10

地村洋平 プロフィール

1984年千葉県生まれ。富山ガラス造形研究所修了後、東京藝術大学大学院博士後期課程修了。金属鋳造とガラス造形を横断しながら、素材の変容と物質性をテーマに制作を行う。金沢21世紀美術館、富山市ガラス美術館などで作品を発表。2025年より東京藝術大学美術学部ガラス造形研究室准教授。adf-web-magazine-meb-yohei-chimura-19

KOTARO NUKAGA

KOTARO NUKAGAは東京・六本木と天王洲を拠点に活動する現代アートギャラリー。国内外のアーティストによる展覧会を通して、現代美術における新たな表現や実践を紹介している。

「それはまた、次の名前の前にいる」開催概要

会期2026年6月6日から7月18日まで
時間11:30〜18:00(火〜土)
会場KOTARO NUKAGA
URLhttps://tinyurl.com/hnyepaby