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スケッチの話

こんにちは、香港でインテリアデザイナーをやっている齋藤新と申します。デザインについての話という事で、色々と悩んだのですが、私が日ごろから心がけている事について書かせて頂こうと思います。

皆さんはコンセプトを考えるときどのように着想して、膨らませていくでしょうか?既存作品からデザインの方向性を検討していったり、利用する過程をデザインに落としたりと、進めやすい方法でアイデアを煮詰めていくと思います。私の場合はコンセプトを一枚のスケッチにまとめることを意識しています。もちろん、それは時々で変わるのですが、簡単なダイアグラムだったり、世界観を伴っていたりと、一枚にまとめる事で一元的だったアイデアが整理でき、ごちゃごちゃ描いていく中で一つの世界が生れる様に感じるからです。

デザインとは一つのストーリーだと思います。建物には勿論機能がありますから、目的を持たずに使用される事はありません。よく「目的も無くブラッと立ち寄る」という表現がありますが、時間をつぶせそうだったり、涼みに来たりと曖昧ながらも時間を消費すると言う意味を持っていると思います。特に商業施設の様な、万人に開かれた施設は空間が空虚になりがちでデッドスペースが出来ることもしばしばです。とある建築家はそのような建築設備とインフラストラクチャー無しには存在できない連続空間をジャンクスペースと呼称し、問題提起を行っています。一昔前までは権威の象徴足り得た建築物も、今やエレベーターやエスカレーターなどの機械設備、エアコンなどの空調設備によって快適な環境が保たれるようになりました。外部との関わり合いを絶ち、均質化されたパッケージになった事で、大きさや装飾だけでなく空間の質というものが非常に重要になっていると感じています。それ故、昨今外部環境との関わりや、コミュニティーの創出と言った、デザインを超えた目に見えない事を重要視しているのだと思います。

ですので、私は先ず大型商業施設を計画する際、如何にストーリーの無い空間を作り出さない検討から始める事を心掛けています。そのための整理手段がスケッチなのです。
恥ずかしながら、私自身自分のスケッチがお世辞にも上手とは思いませんが、スケッチで伝えることで、より分かりやすく伝えることができるのではないかと感じています、クライアントのみならず、デザイン作業を共有するチームメンバーたちともコンセプトの意味をシェアしやすいと思います。

例えば、下のスケッチをご覧ください。中華人民共和国広東省の佛山市で計画した、ショッピングモールでのコンセプト提案スケッチです。このプロジェクトでは、アートをキーワードにした街を作るというコンセプトで描きました。モールをゾーンで分け、それぞれ、駅と学校というテーマでデザインするにあたりそれぞれのキーワードを書き込んでいます。また、敷地周囲に川が流れていたのでそういった情報も一部取り入れながら、まとめました。キーワードとなるモチーフを書き込むことで、実際のデザインでどう表現するか考えるきっかけになります。例えば駅のテーマでは線路をどう環境デザインとして表現するかとか、アートピースとどう絡めていこうかといった具合です。先ほども書いたとおり、ショッピングモールというのは環境が一様になりがちなので、こうしたスケッチにキーワードを散りばめることで、ストーリーに繋がっています。

次のスケッチをご覧ください。このプロジェクトは、同じく中華人民共和国広東省深セン市に計画された、IT企業の本社ビルでのコンセプトスケッチです。

この時は、「知者落水 仁者楽山」という孔子の論語の一節から考えました。深セン(センは土偏に川)は中国内でも一大のIT先進地域で、テンセントやシャオミといった今では世界的に有名な企業の本社が並ぶ地域となりました。このプロジェクトは、同じくIT企業の本社ビルのインテリアデザインを依頼された時の物です。高学歴の若い社員が多く、普通のオフィスではない洗練さを求めていらしたので、故事を用い、ビルを山に例え、仕事を水に置き換えて、流れをテーマにデザインコンセプトを考えました。本社とのことで、クライアントを呼べるVIPラウンジ等、多岐に渡る機能が求められました。それぞれを異なる流れとして表現する事で、一体的なデザインが実現できるのではないかと考えました。それをスケッチに表現する事で、一枚でストーリーを感じさせる事が出来たのではないかと思います。

このように、スケッチでまとめていくことで、目指すべきゴールを自分に、そしてチームメンバーにも、さらにはクライアントへも共有できると考えています。デザインという一見分かりにくいサービスを分かりやすく整理し提案する事は、デザインに従事する者としては常に意識すべき命題だと思います。勿論この例に当てはまらないことも多く、デザインキーワードをいくつか並べたり、より身体感覚的な提案をしたりと臨機応変に検討を行っています。そんななかでもやはり手を動かしてスケッチし、違う側面からコンセプトを考えることにより多面的で面白い提案ができるのだと思います。フリーハンドの線と線の間の余白から何かが産まれる余地があるようなそんな提案をこれからも挑戦していきたいと思います。

このように、スケッチでまとめていくことで、目指すべきゴールを自分に、そしてチームメンバーにも、さらにはクライアントへも共有できると考えています。デザインという一見分かりにくいサービスを分かりやすく整理し提案する事は、デザインに従事する者としては常に意識すべき命題だと思います。勿論この例に当てはまらないことも多く、デザインキーワードをいくつか並べたり、より身体感覚的な提案をしたりと臨機応変に検討を行っています。そんななかでもやはり手を動かしてスケッチし、違う側面からコンセプトを考えることにより多面的で面白い提案ができるのだと思います。フリーハンドの線と線の間の余白から何かが産まれる余地があるようなそんな提案をこれからも挑戦していきたいと思います。


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