循環型社会を導くデザインの潮流をリアルとオンラインで発信
台湾は、社会的イノベーションを実現するための重要なファクターとして「デザイン」を位置付け、人々の暮らしや教育、産業、農業など、さまざまな領域に優れたデザインが関わることで、社会全体を発展させようと考えている。2020年に発足した台湾デザイン研究院は、このミッションを実現するための政府系機関。この秋、循環型社会へとつながる台湾デザインの潮流を日本にも広く知ってもらうキャンペーンをスタートする。
キャンペーンでは「社会を循環させる台湾のデザイン」というテーマを掲げ、サーキュラーエコノミーの考え方に基づき、暮らしに取り入れられているプロダクトやソリューションをアピール。デザインの力が生み出す循環型社会のメリットを伝えていく。キャンペーンの一環として、2022年10月12日からは台湾デザインポップアップストア「日日台湾」(渋谷ロフト)、2022年10月21日からはデザイン展「DESIGNART TOKYO 2022」への出展(ワールド北青山ビル)を実施。さらには、東京・港区に拠点を置くSHIBAURA HOUSEと協働し、オンライントークイベント「台湾-日本デザイナーズ・サークル」も開催する予定。自然環境と調和する台湾らしいデザインの魅力が紹介される。
◎DESIGNART TOKYO 2022 「the SP!RAL」社会を循環させる台湾のデザイン
2022年10月21日より開始する東京・表参道エリアを中心に開催されるデザインとアートをつなげるイベント「DESIGNART TOKYO」に、台湾からは7組の作品が展示。今回は「the SP!RAL」と題して、サステナブルなものづくりを目指し、実践する台湾デザインを一堂に集めた特別企画となる。World Design Impact Prizeを受賞した作品もラインナップされ、台湾におけるデザインの潮流や社会の動きを観ることができる。
W Glass Project x Hsiang Han Design | CRYSTN
「CRYSTN」は、結晶クラスターの成長過程からインスピレーションを受けて制作。回収ガラスを素材に、マウスブローのガラス型を使用して結晶の形状を作り出し、後加工でさまざまな高さにカットすることで、結晶クラスターの形を表現している。
The Young Square | Honeycomb Paper Sofa
「Honeycomb Paper Sofa」は、ハニカム構造を利用し、エッジから引くことで、簡単に長さを変えることができる家具。使う人のリズムによって空間に異なる表情をもたらし、時に空間を満たし、時に余白を楽しむ。時に静かに、時に賑やかに、空間と家具の対話を豊かな視覚的変化に映し出す。
Essence Design & Craft | 竹が織りなす暮らしのフォルム
Essence Design & Craftからは、伝統的な竹細工の技術を、現代の生活スタイルに合わせてアレンジした作品。台湾や東南アジアの島々の素材を使い、文化と工芸を織り交ぜたデザインは、アジアならではと言える日常生活のストーリーをつないでいる。
Miniwiz Co., Ltd. | Upcycling Multi-functional Container created from TRASHPRESSO
Miniwiz Co., Ltd.は、世界初のオフグリッド型廃棄物リサイクルシステム「TRASHPRESSO」を利用し、さまざまなリサイクル素材や産業廃棄物から作られたユニークな形の作品。自然界で最も一般的な六角形の形状をベースに、マンダラの花の6枚の花びらの概念を取り入れ、全体の構造をシンメトリーにバランスさせたもの。置き方によって、フラワーベースになったり、スマートフォン用スピーカーになったりすることも。World Design Impact Prize受賞。
TPCreative | 電力設備廃棄物から生まれるサステナブルなグッズ
台湾電力は発電の過程で発生する副産物や廃棄設備を生かし、実験的な研究開発と高度なデザインプロセスを通じて、コースターなどのグッズを制作。火力発電で発生する灰や、不要となった路上変圧器、あるいは台湾南部の湖、日月潭の浚渫(しゅんせつ)泥などをアップサイクルしている。
台湾デザイン研究院(TAIWAN DESIGN RESEARCH INSTITUTE)について
2020年に創設された台湾デザイン研究院は、政府のデザイン政策の策定をサポートし、その有効性を高める役割を担う。分野横断的な知識や資源を統合することで、政府として有益なデザイン思考を導入することに繋げている。またデザインによって企業の国際的な競争力を高め、台湾に世界をリードするデザイン企業を創出することも目指している。
SHIBAURA HOUSEについて
2011年にスタートしたコミュニティスペース。建築家・妹島和世氏によって設計された透明感溢れる建築空間が特徴。新しい地域社会をつくることをミッションに、海外の大使館や地域の行政機関、ステークホルダーと協働しながら多くのプロジェクトを実施。台湾とは2013年から「東京‐台北 社區交往」というプロジェクトを展開している。