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高い芸術性を意識した同時代の画家による取り組み「新版画」

茅ヶ崎市美術館にて、企画展「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」が2022年11月6日(日)まで開催する。新版画を世に送った渡邊庄三郎の挑戦の軌跡をたどりながら、モダンな精神に彩られた瑞々しい表現の魅力を観ることができる。江戸時代に確立された浮世絵木版画(錦絵)は、明治以降の西洋の写真や印刷技術導入の影響で衰退の一途をたどる。

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チャールズ・W・バートレット《ホノルル浪乗競争》(部分) 大正8年(1919)

その中で、あえて伝統的な絵師、彫師、摺師による分業体制の浮世絵木版画技術を使い、高い芸術性を意識した同時代の画家による取り組みが、「新版画」の始まりとされている。これを牽引したのが渡邊版画店(現在の渡邊木版美術画舗)・渡邊庄三郎(1885-1962)であった。渡邊庄三郎は17歳で浮世絵商・小林文七の輸出の出店(横浜店)に勤め、そこで出会った浮世絵の、とりわけバレンで摺る木版画特有の美しさに魅了され木版画の復興と新しい木版画制作を志す。その後独立し、1909年に東京・京橋に渡邊版画店を構え、浮世絵研究と販売を行うかたわら、1915年から来日した外国人画家の作品の版画化を試み、鏑木清方門下生を中心とした新進気鋭の画家たちを絵師に起用。絵師、彫師、摺師の協業のもと、高品質な材料を用い、それまでにない複雑かつ華麗な彩色に「ざら摺り」など手摺りならではの技法を駆使するなど、庄三郎の創意工夫と優れた審美眼に支えられた新たな「浮世絵木版画」を世に送り、昭和の初めに国内外で巻き起こる“新版画ブーム”の火付け役となった。本展覧会では、その「新版画」の精神を今もなお受け継ぐ渡邊木版美術画舗の全面的な協力のもと、残存数が少ない貴重な初摺の渡邊版をとおして渡邊庄三郎の挑戦の軌跡をたどりながらモダンな精神に彩られた瑞々しい表現の魅力が紹介される。

※すべて株式会社渡邊木版美術画舗蔵

「THE新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」開催概要

会期2022年9月10日から11月6日まで
時間10時 ~ 17時
観覧料一般800円(700円)、大学生600円(500円)、市内在住65歳以上400円(300円)