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レフィーク・アナドール(Refik Anadol)

テクノロジーと新たなスタイルでクリエイティビティを表現する革新的なアーティストの作品を展示するアートスペースとしてワシントンDCに2017年に誕生したARTECHOUSE。ARTECHOUSEはマイアミ、2019年にはニューヨークにもそのスペースをオープンし話題を集めている。今回は、ARTECHOUSE ワシントンDCそしてニューヨークでも展示を行い、ARTECHOUSEの代表的なアーティストとしても有名なトルコ出身のメディアアーティスト、レフィーク・アナドール(Refik Anadol)を紹介する。

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レフィーク・アナドール ©︎Serge Hoeltschi

レフィーク・アナドールは、自分のスタジオディレクションを手がける傍ら、UCLAのデザインメディアアート部門の講師兼研究員も勤めている。彼は作品を通じて、全てがデジタル化していく世界の課題を伝えるとともに、デジタル技術のアートへの活用という新たな可能性を人々に伝えている。彼のアートはこれまでにインスタレーションからライブプロジェクションに至るまで世界各国のさまざまな空間で公開されている。

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ウォルト・ディスニー・コンサートホールの外観に投影されたライブプロジェクション ©︎レフィーク・アナドール・スタジオ

Walt Disney Concert hallの外観に投影されたライブプロジェクション(Refik Anadol studio提供)

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アナドールの代表的な移動インスタレーション《infinity room(インファニティ・ルーム)》は2015年から4年間で7ヵ国24ヵ所で披露され、各地で話題を呼んだ。《Infinity Room》は三次元空間にコンピューターンアルゴリズムを活用して動く光の波を映し、鏡を使用することで一見すると無限の空間のように見えるようにデザインされた異空間。さらに音を合わせることで鑑賞者をストーリーの中に入り込ませる工夫がされている。昨年、草間彌生の同様の技法を用いた《Infinity mirror room》が大きな話題を呼んだことも記憶に新しい。アナドールは「この空間に入ることで日常世界から解放され、たとえそれが一時的であったとしても、鑑賞後に新たな気持ちで自分自身と周りの世界を見つめるきっかけになって欲しい」と語る。

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《Infinity Room》の様子。©︎レフィーク・アナドール・スタジオ

ARTECHOUSE NYCのオープンから2020年2月2日まで公開していた《Machine Hallucination(マシーン・ハルシネイション)》はマシーンラーニングの技術を活用したインスタレーション。ARTECHOUSE ニューヨークのためにデザインされた、ニューヨークの今と昔、そして未来をテーマにした30分間の体験型ムービーシアターである。

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《Machine hallucinattion》の様子 ©︎Rika Ito

この30分の映像コンテンツを作り出すため、まずアナドールが行ったことは、世の中に公開されている100億枚以上のニューヨークの写真を集めることだったという。このデータ量はアートエクシビジョンで使われた過去最大のデータ量である。その後、ニューヨークのアイコンと考えられている建物または景観の写真8億枚を選定。データをマシーンラーニングアルゴリズムによって処理し、映像を創り出した。《Machine Hallucination》はこういった新しいテクノロジーがなければ見ることができなかった「ニューヨーク」の姿を見ることのできる、革新的なアート作品と言えるだろう。

空間のスペシャリストでもある彼が単に映像を見るのではなく観客がストーリーの中に入る感覚を生み出すためにここでも施した工夫は、正面壁、側面壁、床に映像が投影するということ。スペースには小さなクッションも用意されており、床に寝て映像を鑑賞することもできるようになっている。

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《Machine hallucinattion》の様子 ©︎Rika Ito

レフィーク・アナドール・スタジオの広報担当者によると、2020年3月中旬、レフィーク・アナドール・スタジオがポートランドのために作った巨大3Dプリント彫刻《Data Crystal: Portland(データクリスタル:ポートランド)》が公開予定とのこと。《Data Crystal: Portland》はポートランド市の900万枚の写真とデジタル化されているアーカイブ文書データをマシーンラーニングアルゴリズムにより分析し、その結果導き出されたポートランド市の姿を最新のロボット3Dプリンターを使用し出力した半透明の3Dプリント彫刻だという。今後も新しいデジタル技術をアートという形で活用し人々を楽しませるレフィーク・アナドールに注目したい。