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ニューヨークでは、代表的なTEFAF New Yorkをはじめとし、数々のアートフェアが年間を通じて行われている。昨今のアートフェアの特徴としては、「デジタルとリアルの融合が進んでいる」という点があげられる。なかでも様々なデジタルツールを活用して顧客獲得に積極的なのは、これから活躍が期待されているようなデザイナーの作品を多く取り扱うアートフェアである。

今回、紹介するのは、ニューヨークのロウアーマンハッタンに位置するトライベッカ(Tribeca)エリアに1,300sq ft、6つのギャラリー、そしてカフェも併設するニューヨークアートセンター(New York Art Center)というアート施設の取り組み。New York Art Centerでは世界各国のコンテンポラリーアーティストの作品を月ごとのサイクルで展示しているだけではなく、毎月一度、VIPだけではなく一般のアートファンを無料で招待するNYAFAIRを開催し、NYAFAIRの参加者は毎回2,000人を超える。

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NYAFAIRのオープン待ちをするアートファン ©️New York Art Center

彼らはギャラリーの顧客層を広く捉え、デジタルテクノロジーをSNSを使った広告だけではなく活用することで、より多くの人から注目が集まるような取り組みをしている。そこで今回はNew York Art Centerのジェネラルマネジャー、ソニー・シェンハン(Sonny Shenhan)氏に彼らのデジタルテクノロジーを駆使した取り組みについてインタビューを行った。

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写真:右 ソニー・シェンハン(Sonny Shenhan)氏

ニューヨーク、ギャラリーマップアプリにより幅広いアートファンにリーチ。

8年前、スマートフォンのモバイルアプリ機能が世の中に出た時に「今後、普及していくであろうこの媒体を自分たちのビジネスに活用する方法はないか」と思い、考えついたのが「無数にあるニューヨークのアートギャラリーの位置情報をオンラインで得ることができ、自分たちの施設内にあるギャラリーの作品については閲覧して事前に、また遠隔から作品を確認できる」という機能をもつアプリだったという。今ではNew York Art Centerのモバイルアプリnewyorkart.comは、App Store、Google appのNew Yorkアート検索でNo.1、ニューヨーク全てのギャラリーの情報が登録されているのだという。ユーザーは、ニューヨークの在住者だけではなく、アートに興味をもち、ニューヨークを訪れる観光客までと幅広い。アプリの開発により幅広いアートファンにリーチできるようになったという。

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NYA | newyorkart.com UI

リアルな場所でその良さを体感してもらい、購入はストレスフルに。

NYAFAIRで展示された作品は全てNew York Art Centerのウェブ、モバイルアプリケーションを通じて簡単に購入が可能。キーワードにアーティスト名などを入れて検索し、欲しいアートを選択すれば、アプリ内での決済が完了する。なお、New York Art Centerのように自社のアプリをもつアート施設もあるが、小さなギャラリーなど自社アプリを持たないギャラリーでも活用できるArtfareというアプリもある(現在はニューヨーク内で活動しているアーティストやギャラリーがメイン)。このアプリに展示作品を登録することでユーザーはアプリからギャラリーの展示作品を閲覧、購入が可能。プラットフォームユーザーが実際のアートを見るため、ギャラリーに直接足を運びギャラリーのファンになることも考えられた広告の一つと捉えることもできるかもしれない。

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ArtfairアプリのUI

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昨年Artfair主催のopen studioイベントで披露されていたマグダ・ビエルナット(Magda Biernat)氏のAdrift Project “glacial floes”

今後もデジタル技術の特徴を生かした様々な試みにもチャレンジしたい。

「今後も、顧客も、そして自分たちもまだ他社が行っていないような取り組みをしてみたい」と語るソニー氏。近々、彼が行おうと考えているのはNYAFAIRのライブストリーミング。New York Art Centerにて展示しているアートは世界各国のアーティストによるものであることから、アーティストの地元のファンや観光で訪れた際にアプリを活用し、帰国後もアプリ経由でNew York Art Centerに展示されている作品をフォローしているファンの期待にも応えられるのではないかという考えからこの企画を考えたという。インタビューにて印象的だったのは、販売もデジタルへ移行しているかという質問に対しては、まだまだ実際に話をして、購入していくのがほとんどだという回答であった。こうしたデジタルツールはカスタマーエクスピリエンスを高めるために取り入れながらも、実際には顧客とサービスプロバイダーが直接話をするチャンスを作ることが大切なのだとあらためて感じた。

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2020年1月2日に行われたNYAFAIR” TWENTY20 Group Show”の様子

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Shane Townley, “Our World”, 36”X48”, Mixed Media, 2017.