イタリア国立21世紀美術館にて「MAXXI BVLGARI賞」第3回 ファイナリスト作品展が開催
ブルガリとMAXXI(イタリア国立21世紀美術館)が若手アーティストの支援とプロモーションを推進するプロジェクト「MAXXI BVLGARI賞」の第3回エキシビションが、MAXXIにて2022年11月20日まで開催されている。ファイナリスト3名が本プロジェクトにおいて創作した作品が展示されている。
MAXXI 3階のガレリア5で行われるこの展覧会では、本プロジェクトのファイナリスト、アレサンドラ・フェリーニ、シルビア・ロッシ、ナムサル・シエドレッキらの作品にスポットが当てられている。この中より、MAXXI芸術監督のホウ・ハンルー、MAXXI館長のバルトロメオ・ピエトロマーチ、シャルジャ芸術財団代表兼ディレクターのハリド・アル・カシミ、ポンピドゥー・メッツディレクターのキアラ・パリージ、WIELS現代アートセンターディレクターのダーク・スナワートらにより優勝者が決定され、作品はMAXXIのコレクションとして所蔵される。
展示概要
アレサンドラ・フェリーニによるビデオインスタレーション『Gaddafi in Rome:Notes for a Film』
イタリアとリビアの友好パートナーシップ協力条約の調印のため2009年にイタリアを初めて公式訪問したカダフィ大佐を、ノンフィクション映画特有の自己言及的なアプローチで分析した作品。複雑な地政学的事象に対するコミュニケーションのスピードと効果的な理解との関係、メディアによる演出、イタリアとその植民地時代の過去との複雑な関係といった複数のテーマを提示する作品。アレサンドラは、1984年、フィレンツェ生まれ。芸術大学の博士課程に在籍中で、ロンドンを拠点に活動している。
ナムサル・シエドレッキによる『Nuovo Vuoto』
オンラインで購入した手形のブロンズ彫像の中にある空間への興味から生まれたアートで、3Dスキャンと3Dベクトルを組み合わせさらにロボット技術も駆使し、異なる素材を用いた彫像と台座からなる6部作を制作。人力が介入しない機械が生み出すフォルムが変容していく流れを通して、私たちが私たちであるために必要な一連の経験を表している。作品に込められたメッセージは「過去への認識があってこそ新たな共存の道を歩み始めることができる」。ナムサルは、1986年、アメリカ グリーンフィールド生まれ。2010年にイタリアのカッラーラの美術アカデミーの彫刻家を卒業後、セッジャーノを拠点に活動している。
シルビア・ロッシのプロジェクト
トーゴ系イタリア人のアーティスト、シルビア・ロッシによる本プロジェクトは、写真により記憶をリサーチする方法を見いだし、記憶をしたのちに忘れることついての考察へと導く。ビデオと写真を駆使し、彼女の家族の歴史とアイデンティティの経緯を描く。集団や個人のアイデンティティを主張する過程における言語の重要性に焦点をあて、トーゴで起こった植民地支配のプロセスによって常態化した構造的な問題を考察し、言語政策で先住民を改変しようという植民地プロジェクトの不確かさを強調している。シルビアは、1992年、スカンディアーノ生まれ。ロンドンとモデナを拠点に活動している。
MAXXI BVLGARI賞について
2000年に「Premio per la Giovane Arte」として創設。ローマの旧モンテロ兵舎(現在のイタリア国立21世紀美術館)で開催後、2003年、2005年、2007年はヴェネツィア・ビエンナーレで、そして2010年にザハ・ハディド建築事務所設計の美術館がオープン後、再びMAXXIで開催されるようになった。2001年から2022年までに開催された11回の賞に、これまで48名のアーティストが参加している