シェンゲンビザ(もしくは短期訪問ビザ・ノービザなど)
シェンゲン協定加盟国(ヨーロッパの国々)に6ヶ月の期間内に合計で最大90日間滞在できるもの。申請不要で入国できるため、多くの旅行客や出張者などはこのビザを使用して入国・滞在します。また、ワーキングホリデービザ以外のビザはドイツに入国してからでないと申請できないので、これから他のビザを取得したい人もまずはこれで入国することになります。シェンゲンビザで可能な90日の滞在期間中に、ドイツでアルバイトや有給のインターンなどをしたい場合は労働許可(Arbeitsgenehmigung)が必要となりますが、労働許可の手続きには6~8週間ほどかかるので、あまり現実的ではありません。
ワーキングホリデービザ
18歳以上31歳未満の人が、文化交流などを目的として6ヶ月から最長1年間滞在できるビザです。日本国内のドイツ大使館および総領事館からも申請可能です。一般的に Mini-job と言われるアルバイトも可能ですが、年間450ユーロ(およそ50万円)の収入を超えると税金や健康保険の支払い義務が生じます。また、一つの職場での最長就労期間は6ヶ月までという制限もあります。経済力証明などの要件さえ満たせば、ほぼ確実に取得可能なので、対象年齢の人はまずこのビザで長期滞在してみることをおすすめします。
配偶者ビザ
ドイツ国籍の配偶者もしくはドイツ在住の配偶者がいる場合に、ドイツ国内にて申請可能です。双方の身分証や婚姻証明書等の書類の他に、ドイツ語能力の証明(A1以上相当)なども求められることがあります。ちなみにドイツでは同性婚も認められています。あくまで長期滞在許可なので、滞在許可期間が過ぎれば再申請が必要です。また、当然ながら離婚したら滞在許可は取り消されます。申請の際に要件を満たせば労働可能な滞在許可証を発給してもらうことができます。
学生ビザ
一言に学生ビザと言ってもいくつか種類があります。まず一般的に学生ビザと呼ばれるものは大学や大学院に通う人のためのもので、ドイツの大学の入学証明と在学中であることが必要になります。アルバイトは可能ですが、日数制限があるのであくまで学校に通うためのビザだと考えてください。また、在学期間分のビザが一度に発給されるわけではないので、滞在期間が切れたら再申請が必要です。
次に大学に入るための学生準備ビザというものがあります。前回の藤田美紀子さんへのインタビューにもあったように、例えば、ドイツの美大に入るにしても受験をして合格すれば誰でも入れるというわけではなく、アポを取って教授にマッペを見せてから試験を受けるなど、日本とはまた違った準備が必要になったり、ドイツ語を覚える必要があったりして、シェンゲンビザでの90日間では不足する場合には学生準備ビザを利用することになります。利用にはドイツ語コースの履修をすること、最長2年までなどの条件があり、アルバイトも可能ですが学生ビザと同じく日数制限があります。
そしてその他に語学学生ビザというものもあります。これは大学入学等が目的でなくても、語学学校に通ってドイツ語を学ぶためであれば誰でも取得できます。ただし、最長1年までで、1度しか取得できず、アルバイトなどもできません。
就労ビザ
就労ビザにも学生ビザ同様いくつか種類があります。会社等との雇用関係における就労ビザは雇用主との契約書等必要書類の準備を行い、明記された職種限定で働くことを前提としたビザを発給してもらうことになります。職種が同じであれば雇用主が変わっても有効です。
特定の雇用主がいない場合、自営業・フリーランスビザを申請することになりますが、ハードルは少し高くなります。私はワーキングホリデービザで最初の1年を過ごした後、フリーランスビザを取得して滞在していました。申請には履歴書のみでなく1年分の収支計画書やドイツ語で書かれた推薦状(ドイツにおけるあなたの有用性を書いてもらった書類)や貯金・事業資金の証明なども必要で、現地人のバックアップが全くない状態でフリーランスビザを取得するのは困難と言えるでしょう。現地にドイツ人の協力者がいない人などは、ビザ取得のエージェントを高いお金で雇って必要な書類を用意してもらっていますが、それでもビザが取れない人も少なくありません。例えば一級建築士や大工、板前、プログラマーなどの特殊資格や技能がある人は書類を上手く用意できれば有利です。特にドイツの大学を出てドイツ公認資格を持っている人は比較的取得しやすいでしょう。
ちなみに、ドイツでアーティストビザを取得したという人もよくいますが、厳密にはドイツにはアーティストビザというものはなく、正確には制限付きのフリーランスビザとなります。ドイツの美大や音大を出ている人やスポーツ選手などは比較的この制限付きフリーランスビザを取得しやすいのですが、例えばアーティストは、アートに関する作品の売買やワークショップのみ、音楽家や演奏や楽器指南のみ、スポーツ選手は試合収入やスポーツ指南のみといったように、収入を得て良い労働内容の条件や制限が明記されていて、それ以外で働いた場合ビザが失効されるというかなり自由度の低いものです。それ一本で食べていける一部のプロなら問題ありませんが、副業が一切できないということなので、申請する場合はよく考えて、できる限り制限を受けずに済むようにすることをおすすめします。例えばアーティストとして申請するにしても、できる限り活動内容を幅広く書いて、仕事として認められる範囲を広げる工夫などはしておいた方が良いでしょう。
これからお店や事務所を立ち上げたいという人は、特定自営業者として50万ユーロ以上の投資と5人以上の雇用を創出する場合、申請が通れば最長で3年間の労働用滞在許可証が発給され、3年経過後は無期限の滞在許可を得ることができます。
医師や技術者など、大卒以上で年収が一定(数学・自然科学・技術者・医師は年収3万7,752ユーロ:約450万円、それ以外は4万6,400ユーロ:約550万円)以上ある高度就労者とその家族には、ブルーカードEUという5年間の滞在許可の申請が可能で、これが取得できればドイツ以外のEU圏でも優遇されます。
無期限滞在許可
合法的に5年以上ドイツに滞在し、きちんと働いて納税していた場合申請することができます。取得すればビザ更新の必要なく滞在と労働が可能です。ただし、無期限といっても6ヶ月以上ドイツを離れると滞在許可が失効してしまいます。
EU継続滞在許可
無期限滞在許可を取得後、さらに3年ドイツに滞在し、過去3年間犯罪に関わった経歴がなければ申請できます。こちらも失効することはありますが、12ヶ月間EUを離れるか、もしくは6年間ドイツを離れるまで失効しません。
難民申請など他にも色々な滞在許可はありますが、多くの人はシェンゲンビザかワーキングホリデービザで入国後、次の更新時に学生ビザか就労ビザに切り替えることを目指すことになるでしょう。
まず、ビザ取得には基本的に以下の書類が必要となります。
- 住民登録証(ドイツで住む場所を見つけて市に登録すると貰える)
- 滞在許可申請書(申請書をダウンロードして予め記入しておく)
- パスポート(出国予定日から3ヶ月以上の有効期間が残っていること)
- 写真(ドイツのパスポート用写真の規定に即したもの)
- 申請料(申請するビザの種類や長さによる)
- 保険証券等(滞在期間中現地で有効な医療保険に限る)
- 経済力・資金証明書(英語もしくはドイツ語で書かれた預金証明など)
これに加え、各ビザに必要な書類を揃えます。
例えば学生ビザなら入学許可証、フリーランスビザなら履歴書・雇用契約書・推薦状・納税者番号・1年間の収支予測書などです。法改正などがあると必要書類等が変更されることもあるので、詳しくはドイツ政府や大使館などの公式ページをご参照ください。
ビザの申請はドイツ国内にある外国人局で行いますが、ネットでの予約でも基本的に数ヶ月待ちが当たり前で、急いでいる人は当日のキャンセル空きをこまめにチェックするか、朝早くから並んで申請しに行きます。それでもなかなか申請にまで届かず、予約日の前に今持っているビザが切れてしまうと焦っている人がよくいますが、予約していれば一応それが延長用の仮ビザの代わりとみなされます。ただし、延長用の仮ビザは、あくまで正式なビザが降りるまで一時的に滞在してもいいということであって、その期間労働してもいいというわけではないですので、ビザが切れている期間中に労働許可なしに収入を得ていると違法労働として罪に問われる危険性があるので注意が必要です。中にはワーホリビザも語学学生ビザも簡単に取得できるビザは全て使い果たし、新たな長期滞在ビザが取得できず、予約を繰り返して仮ビザだけで滞在を伸ばし続けている人もいるので、罪を犯して捕まったりしない限りは、ビザが切れたからといって即強制送還になることはまずありません。ビザが切れた後数年間不法滞在しつづけた人も、日本に帰る際、特になにも言われずにパスポートチェックを通ったそうですが、その人がまたドイツに入国できるかどうかは分かりません。
申請において重要となるのが申請者の社会的信用度と、どのような担当者に当たるかという運です。申請を許可するかどうかの判断は、基本的に担当の役人が行うため、同じ条件で挑んだとしても担当者次第で結果は異なります。そして書類の不備を指摘されて再提出に行く場合に、再び審査を行うのも同じ担当者なので、厳しい担当者に当たった人は中々ビザが下りず、不運としか言いようがありません。そこは運次第ですが、社会的信用度は経済力(貯金証明書)や雇用契約書・推薦状の数や質、そしてドイツ語を話せるかどうか(話せない場合は通訳を連れてこられる人脈や財力があるか)などでアピールすることができます。特に貯金の残高はとても重要です。不確実な未来の収支予測と違って預金残高は信頼性が高く、例え予測と違って収入がなかったとしても十分な蓄えがあれば、生活するだけで国に負担や迷惑をかけずに税金を落としてくれるので、受け入れの積極的材料として見てくれます。目安としては1ヶ月あたり720ユーロ(およそ8万5千円)、1年滞在する場合は8,640ユーロ(約100万円、学生の場合は10,236ユーロ:およそ120万円)以上の貯金残高があることが前提ですが、実際にはそれほどの貯金がないにもかかわらず、預金残高証明を発行するときだけ周囲の人から一時的にお金を借りて、証明書を発行したらすぐに返すという不正行為をしている人も少なからずおり、役人の方もその手口を知っているので、実際には目安ギリギリの預金残高だと申請が却下されるケースもあります。今まで申請を通った人達の話を聞いた私の所感ですが、最低でも目安の1.5倍、できれば2倍以上の預金残高があった方がビザは取りやすいでしょう。
私の場合はフリーランスビザ申請当時、運良く優しい担当者だったことと、ドイツにいて仕事を続けて欲しいと言ってくださる人々から多数の推薦状をもらえていたこと、ちょうど預金に余裕があったことが幸いして、1年分のフリーランスビザを申請していたにもかかわらず、最長である3年分のビザをもらうことができました。しかし、ビザを取れたら安心というわけではありません。働いたからには納税の義務があり、社会で生活するには年金等様々な社会保障費用の支払いがあります。務め先が一箇所で、収入が月410ユーロ以下の独身者であれば、確定申告が免除される場合もありますが、それ以外は確定申告の義務があり、特にフリーランスは確定申告の内容が公的な収入証明となり、どれだけ納税しているかがビザ更新時の社会的信用に大きく響きます。
よくドイツの所得税は高いと言われていますが、実際に比較すると以下のようになります。

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