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「クールベと海 フランス近代 自然へのまなざし」展

山梨県立美術館にて特別展「クールベと海 フランス近代 自然へのまなざし」が、2020年9月11日(金)より2020年11月3日(火・祝)まで開催される。19世紀のフランスで活躍したギュスターヴ・クールベ(1819-1877)の絵画を中心として、故郷を描いた風景画や狩猟画、またモネやミレーなど他の画家たちが描いた海など約90点を一堂に展示し、クールベの風景画にみられる同時代性と特異性を紹介。

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ギュスターヴ・クールベ《波》1869年 愛媛県美術館蔵

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クロード・モネ《アンティーブ岬》1888年 愛媛県美術館蔵

19世紀のフランスで活躍したギュスターヴ・クールベ(1819-1877)は、伝統的な美術や旧来の政治体制に反発した前衛的な画家として知られている。理想化したり想像上の物を描くのではなく、自らの目で見た「あるがまま」の現実の姿を絵に描きとめたレアリスム(写実主義)の画家として、時に政治批判を含む作品やスキャンダラスな内容の作品を発表し、人々の注目を浴びた。

一方、クールベは、故郷であるフランシュ=コンテ地方の山間の森や、フランス北部のノルマンディーの海を繰り返し描いた。特に1860年代以降、海の情景を好んで描き、当時の人々から賛辞を得た。クールベの海は、それまでの時代に描かれた物語性や感傷性に富む海とも、後の世代が描いたレジャーとしての海とも異なる視点で描かれている。

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ギュスターヴ・クールベ《波》1869年 ふくやま美術館蔵

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ギュスターヴ・クールベ《エトルタ海岸、夕日》1869年 新潟県立近代美術館・万代島美術館蔵

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ギュスターヴ・クールベ《フランシュ=コンテの谷、オルナン付近》 1865~70年頃 茨城県近代美術館蔵

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ギュスターヴ・クールベ《雪の中の鹿の戦い》1868年頃 ひろしま美術館蔵

クールベの海

フランスとスイスの国境にあるジュラ山脈の渓谷で育ったクールベにとって、海は身近な存在ではなかった。1841年、22歳にして初めて「地平線のない海」を見た彼は、「谷の住民には奇妙なものです」と両親に書き送っている。1869年の夏には、ノルマンディー地方のエトルタに滞在し、海の広大さと激しさ、光、気候の変わりやすさ、白亜の岸壁の明るい色に魅了され、多数の海の情景を描いた。パレットナイフを用いたクールベの作品には、躍動感に満ちた海が写実的に表現されている。海の風景画はクールベの作品の中でも当時から人気が高く、総点数は100点以上にもなる。本展では、クールベが描いた様々なヴァリエーションの海の絵画を展示する。

クールベの自然・動物

クールベは、故郷の自然や、鹿や猟犬など狩猟をテーマにした作品を多く描いた。それまでの絵画の伝統では、古代ローマを思わせるイタリアの風景など、理想化された風景画がしばしば描かれたが、19世紀に入ると、画家たちは自分たちの目の前にある身近な風景を描こうと試みた。パリ近郊のフォンテーヌブローの森へと写生に出かけたバルビゾン派の画家たちは、その代表的な存在。クールベもまた、故郷の特徴的な山々や、生命力にあふれた動物たちを、自らの目を通して描いた。

さまざまな画家の海

18世紀頃までの西洋絵画では、海は何らかの物語や比喩と結びつけて描かれたり、人間の力ではどうにもならない恐ろしい存在として描かれた。しかし、19世紀になって身近な風景が絵画のモチーフとして見られるようになると、海に対する見方も変わる。19世紀半ば以降、フランスに鉄道が走ると、海もレジャーの場となり、モネやブーダンといった画家たちが海の風景画を多く描くようになった。

「クールベと海 フランス近代 自然へのまなざし」展概要

会期2020年09月11日(金)〜2020年11月03日(火・祝)
会場山梨県立美術館
住所山梨県甲府市貢川1-4-27 Google Map
展示室山梨県立美術館 特別展示室
時間09:00〜17:00(最終入館時間 16:30)
休館日月曜日(9月21日・11月2日を除く)、9月23日(水)
観覧料一般:1,000円(840円)、大学生:500円(420円)