Sorry, this entry is only available in Japanese. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language.

アートブック『Gold Rush Alaska』Steidl社出版記念個展

石塚元太良個展「Gold Rush Alaska」がKOTARO NUKAGA （天王洲）で2024年3月23日（土）から5月18日（土）まで開催する。本展は2016年、第8回TOKYO ART BOOK FAIRに併せて開催されたSteidl社によるダミーブックアワード「Steidl Book Award Japan」において、石塚のグランプリ受賞により同社から出版されることとなったアートブック『Gold Rush Alaska』と連動した展示となる。

石塚元太良《Gold Rush Alaska#005》2016/2024

ドイツの出版社であるSteidl社は細部にまでこだわり眼の行き届いた仕事によって、世界中のアーティストからの信頼を集め、世界最高峰のアートブックの出版社として知られている。本アワードでは応募のあった4,000冊に及ぶダミーブックの中から創業者ゲルハルト・シュタイデルが直接選び、グランプリが決定された。『Gold Rush Alaska』はグランプリ決定から長い時間を掛けて丁寧に作り込まれ、出版される。

「Gold Rush」は写真表現の空間性の再解釈を試みる石塚が、19世紀末のアメリカ、アラスカに起きた「ゴールドラッシュ」という現象を「歴史として彫塑する」シリーズ。本展では未発表となっていた写真作品の14点（うち3点は2019年ポーラ美術館のグループ展で初出）と、イメージを立体化した写真彫刻の作品3点を展示する。

本シリーズは大きく3つに分類されるイメージによって構成される。大自然の中に遺された建物や機器を今まさに飲み込もうとする姿を捉えた「ランドスケープ写真」。廃墟となった建物の内部に遺された動物の骨や当時の絵葉書など当時の生活に関わる様々なものによって構成された「タブロー写真」。そして、写真家E.A.Heggがアラスカのゴールドラッシュを記録した写真の「複写イメージ」である。大判カメラを抱え、大自然の懐へと飛び込み、精密な描写で世界を切り取ってみせることで知られる石塚だが、この「Gold Rush」シリーズでは「ストーリーテラー」つまり、物語の語り手としての非凡さを前面に出していると言える。

作品例

石塚元太良《Gold Rush Alaska #004》2016/2024

石塚元太良《Gold Rush Alaska #001》2019/2024

石塚元太良《Gold Rush Alaska #010》2013/2024

石塚元太良《Gold Rush Alaska #009》2013/2024

石塚元太良 / Gentaro Ishizuka

1977年東京生まれ。2004年に日本写真家協会賞新人賞を受賞し、その後2011年文化庁在外芸術家派遣員に選ばれる。初期の作品ではドキュメンタリーとアートを横断するような手法を用い、その集大成ともいえる写真集『PIPELINE ICELAND/ALASKA』（講談社刊）で2014年度東川写真新人作家賞を受賞。また、2016年にSteidl Book Award Japanでグランプリを受賞し、写真集『GOLD RUSH ALASKA』がドイツのSteidl社から出版される予定。2019年には、ポーラ美術館で開催された「シンコペーション：世紀の巨匠たちと現代アート」展で、セザンヌやマグリットなどの近代絵画と比較するように配置されたインスタレーションで話題を呼んだ。2022年にはアーツ前橋にて「滞在景色」、新国立美術館に「DOMANI・明日展 2022–23」展に参加(同展メインビジュアルに採用)。近年は、暗室で露光した印画紙を用いた立体作品や、多層に印画紙を編み込んだモザイク状の作品など、写真が平易な情報のみに終始してしまうSNS時代に写真表現の空間性の再解釈を試みている。