近年の代表作約50点を一挙収録
美術出版社が、世界的に活躍するアーティスト山口歴の初となる作品集『OUT OF BOUNDS』を2023年10月6日(金)に発売する。近年の代表作約50点を大判の紙面で収録し、さらに書き下ろしの論考から、既存の美術史の枠組にはおさまらない、作品の魅力に迫る。なお、銀座 蔦屋書店 の店頭、アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by美術⼿帖」では、9月23日(土)より先行販売中。
精緻な技で構成される迫力ある作品群を、B4の大判の紙面に収録。拡大図も多数掲載し、ダイナミックなブラッシュ・ストローク(筆致、筆あと)、絵具の立体感、作家独自の鮮やかで深い色味も楽しめる。特殊なインキを用いて印刷することで、鮮やかで深みのある色を再現した。さらに、書籍のディレクションは林琢真が担当。スタリッシュなデザインと、躍動感あふれる作品の世界観とが響き合う一冊となった。
作品掲載に加え、美術評論家/キュレーター・南條史生と文化研究者・山本浩貴による論考も収録。南條は山口の作品が生み出されたバックグラウンドと、ダイナミックさと緻密さが共存する技法を丁寧に整理したうえで、西洋の抽象絵画に関連する価値観を参照しながら山口作品の独自性を分析。山本は、キャンバスを使用しない山口作品の特異性を、グリーンバーグの抽象絵画論と比較しながら考察。媒体を重要視してきた従来のモダニズムの枠組みから抜け出し、絵画・彫刻・ファッションといった領域を軽やかに横断する山口の魅力に迫る。
山口歴 / MeguruYamaguchi
1984年生まれ。東京都渋谷区出身。2007年に渡米し、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動している現代アーティスト。絵画表現における基本的要素「筆致/ブラシストローク」の持つ可能性を追究した様々な作品群を展開。代表的作品群 《OUT OF BOUNDS》では「固定概念・ルール・国境・境界線の越境、絵画の拡張」というコンセプトのもと、筆致範囲を制限してしまうキャンバスの使用を止め、筆致の形状自体をそのまま実体化する独自の手法によって、ダイナミックで立体的な作品を制作し続けている。
90年代から2000年代初頭の東京ストリートカルチャーの変遷を経験して育ち、渡米後は、ALIFE、BILLIONAIRE BOYS CLUB、FTC、NIKE等アメリカのストリートカルチャーを代表するブランドの他、ISSEY MIYAKE MEN、LEVI’S、OAKLEY、UNIQLOといった企業とのコラボレーションも行なっている。作品はFENDI財団などに所蔵されている。
『OUT OF BOUNDS』書籍情報
著者 | 山口歴 |
定価 | 9,000円+税 |
仕様 | B4変・上製本・164頁 |
ISBN | 978-4-568-10569-8 |
発行 | カルチュア・コンビニエンス・クラブ |
発売 | 美術出版社 |
発売日 | 2023年10⽉6⽇(金)より順次 |