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ダンボールで宇宙生活を想定した検証環境を民間主導で実現

東洋製罐グループと極地建築家として知られる村上祐資が代表を務めるフィールドアシスタントは、共同で開発を進めていた組立式ダンボール製テント「DAN DAN DOME」を活用した宇宙開発向け生活環境検証ユニット「DAN DAN DOME EXP. STATION」を開発した。本事業は、東洋製罐グループが2020年より参画している地球と宇宙の食の課題を解決する共創プログラム「SPACE FOODSPHERE」のプロジェクトの一環として取り組んでいる。

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「プロダクト内装イメージ」撮影:FIELD assistant / Yosuke Kashiwakura

「DAN DAN DOME EXP. STATION」誕生の背景

近年、民間企業における有人宇宙飛行や宇宙資源法の成立、月面への有人宇宙飛行計画「アルテミス計画」の進行、新たな日本人宇宙飛行士の選抜など、宇宙開発における様々な動きが国内外で加速しており、その関係人口も年々増加している。月面や火星への着陸が現実的な未来となってきているなかで、ロケットやステーションなどハード面の開発のみならず、宇宙環境下での生活をより深く検証することの重要性も高まっている。一般的にこうした検証は、専門施設や自然の洞窟などで行われており、多くの時間とコストがかかってしまうため、非常に限られた機会となっているのが実情である。

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「プロダクト内装イメージ」撮影:FIELD assistant / Yosuke Kashiwakura

利便性・拡張性・耐水性を兼ね備えた検証空間を実現

このような背景から、フィールドアシスタントが東洋製罐グループのサポートを受けて開発した組立式ダンボール製テント「DAN DAN DOME」をコアモジュールとして、宇宙開発向け生活環境検証ユニット「DAN DAN DOME EXP. STATION」が新たに誕生。EXP.とは、「EXPEDITION(探検)」、「EXPERIMENT (実験)」、「EXPERIENCE(経験)」を意味しており、失敗をなくす / 失敗を洗い出す / 失敗にふれるといった目的に対して、トライ & エラーを実行できる場となってほしいという思いから名付けられた。本プロダクトは、「DAN DAN DOME」シリーズの「アートモデル」、「インナールーフ」、「エントランスパーツ」、「スペースユニット」を組み合わせた合計9棟のドームで構成され、ネジや釘を一切使用せずパーツを簡単にドッキングさせる利便性、宇宙を想定した生活にも充分耐えうる拡張性を備え、様々な「想定外」のシミュレーションをこれまでにない簡易さで行うことが可能となる。また、東洋製罐グループの独自ラミネート技術を用いた高い耐水性も実現。さらに、フィールドアシスタントが長年培ってきた模擬実験のノウハウを提供し、宇宙と地上管制の現場を想定した検証を可能にしている。複数人の仲間と会話や協力を必要とする組み立てプロセスや実際の使用シーンでは、月や火星での基地建設作業を想定した船外活動におけるチームビルディングや訓練の検証方法としても有効。また、閉鎖的な空間を簡単に作り出すことが出来るため、宇宙飛行士だけではなく地上管制官やプロジェクトに関わるあらゆる人にも宇宙生活を想定した体験を提供でき、プロジェクト推進の加速をサポートする。

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「プロダクト構成イメージ」

「DAN DAN DOME」シリーズadf-web-magazine-cardboard-for-life-in-space-7

①アートモデル

屋外使用に対応した耐水モデルである「スタンダード」をベースに、 印刷やペイントにも対応したホワイトモデル。

②インナールーフ

アートモデルにオプションとして加えられた、内外とも突起(リブ) がほぼなくなる内装壁ドームユニット。プロジェクター投影等を可能にしている。

③エントランスパーツ

「DAN DAN DOME」の開口部に上下にぴったりとはめ込むことで壁面に、下半分なら窓に、用途を変更することを可能にするオプションの扉ユニット。

④スペースユニット

2棟以上の「DAN DAN DOME」を連結して、複数の部屋がある空間として使用することが可能になるオプションの通路ユニット。adf-web-magazine-cardboard-for-life-in-space-5adf-web-magazine-cardboard-for-life-in-space-3

フィールドアシスタント

「厳しい環境にこそ、美しい暮らし方がある」。南極や北極をはじめ、地球上の厳しい環境で営まれる人々の暮らしを見てきた極地建築家・村上祐資を中心に人の暮らしの意味を考えようとさまざまな専門性を持ったメンバーが集まり、2018年に設立。人は集団で生きていく生き物であるが、長く一緒にいることで様々な問題が発生する。将来の月面滞在や有人火星探査などでも大きな課題となるとみられている。2019年に元南極観測船を使い模擬宇宙船生活実験「SHIRASE EXP.」を実施。また、さまざまな分野で活躍する方々に暮らしやコミュニティを持続させるヒントについて聞く「ネイティブ」を、ポッドキャストやウェブメディアで発信している。あらゆる人が暮らしの中で起き得ることを知り、少しでもそれを回避し、暮らしをつなぎ続けるための知恵を届ける活動をしている。

SPACE FOODSPHERE

SPACE FOODSPHEREプログラムは、地球と宇宙の共通課題である「食」の課題解決を目指す共創プログラム。多種多様な40以上の企業、大学、研究機関等のキーマン、プロフェッショナルが集い、分野横断的、かつ有機的な連携による研究開発や事業創出に向けた活動を推進している。