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地域文化を再発見する新たな建築ムーブメント

文化庁は2025年10月18日から11月9日までの期間、京都市内の複数会場において建築イベント「LinkArchiScape ― 建築ツーリズムをつなぐ」を初開催する。本イベントは、全国各地で広がりを見せる「建築祭」の魅力や意義を多角的に紹介し、地域文化資源の活用や観光との連動による新たな価値創出を目指すものである。adf-web-link-archi-scape-1

近年、歴史的建築や近現代建築を期間限定で一般公開する「建築祭」が、地域発の自主的な取り組みとして各地で実施されている。これらは単なる建築見学にとどまらず、地域の記憶や風景を再発見する機会を提供し、アート、ツーリズム、教育などと連携した複合的な文化活動として注目を集めている。文化庁は、こうした動向に注目し、それぞれが個別に展開してきた建築祭をつなぎ、横断的に紹介するプラットフォームとして「LinkArchiScape」を立ち上げた。

イベント3つの柱

「建築祭展」

全国の建築祭の紹介を通じて、建築祭そのものの魅力と意義を発信する。京都の旧立誠小学校跡地「立誠ガーデン ヒューリック京都」を会場に、写真や映像、インタラクティブなデジタル展示によって、京都モダン建築祭、なめりかわ建物フェス、ひろしま国際建築祭、マツモト建築芸術祭の4つの祭典を特集。元番組小学校という歴史的文脈を持つ空間が、建築と地域のストーリーを立体的に浮かび上がらせる。

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国立京都国際会館(設計: 大谷幸夫、1966年)|京都モダン建築祭

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養照寺(設計: 宮大工 岩城庄之丈、1916年)|なめりかわ建物フェス

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神勝寺 松堂(設計: 藤森照信、2014年)|ひろしま国際建築祭

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まつもと市民芸術館(設計: 伊東豊雄、2004年)|マツモト建築芸術祭

「アート展」

会場には、安藤忠雄が設計した世界初の屋外絵画庭園「京都府立陶板名画の庭」や、竹内緑設計による「重信会館」など、京都の個性的な建築空間が選ばれている。これらの空間に、6名の現代アーティストの作品を展示することで、アートと建築の対話を生み出す。通常、ホワイトキューブで展示されることの多い作品が、異なる文脈や空間の中で再解釈され、建築そのものの新たな魅力も引き出される構成となっている。

「トークイベント」

建築祭の楽しみ方や、建築ツーリズムの未来について議論を深める。会場は高松伸設計の「東本願寺視聴覚ホール」。第1部には、広島大学で建築を学び、建築好きを公言する田中卓志(アンガールズ)が登壇し、建築に親しむ視点を語る。第2部では、国の重要文化財に指定された「大丸ヴィラ」や、登録有形文化財の「葉山加地邸」の関係者が、建築遺産と地域文化の接点を軸にトークを展開する。モデレーターは、ひろしま国際建築祭チーフキュレーターである前田尚武が務める。

「LinkArchiScape」は建築と地域、文化と観光、記憶と未来をつなぐ試みとして、建築の新たな可能性を提示している。文化庁による初の全国建築ネットワーキングイベントとして、今後の建築ツーリズムの展開にも大きな影響を与える契機となるだろう。

「LinkArchiScape ― 建築ツーリズムをつなぐ」開催概要

会期2025年10月18日(土)から11月9日(日)まで
会場立誠自治会館(立誠ガーデンヒューリック京都 1F)、京都府立陶板名画の庭、重信会館、東本願寺視聴覚ホール
URLhttps://tinyurl.com/y5bsv54b