菅原道真公1125年式年大祭に向けた「御本殿」の“令和の大改修”令和を代表するクリエイターが共演
太宰府天満宮では、学問・文化芸術・至誠の神として広く仰がれている菅原道真公(天神)に縁の深い25という数に因み、25年毎に式年大祭を執り行ってきた。2027年には菅原道真公が薨去してから1125年という大きな節目を迎える。この節目となる式年大祭を前に、約3年間をかけて124年ぶりに重要文化財「御本殿」の大改修を行う。そして今回、御本殿前に3年間限定で使用し、改修期間に参拝客を迎える「仮殿」が完成した。
現代の日本を代表するクリエイターが参画
仮殿のデザイン・設計は、国内外で活躍する建築家であり、大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーも務める藤本壮介率いる藤本壮介建築設計事務所が手がけた。太宰府天満宮周辺に広がる、豊かな自然が御本殿前に飛翔し、仮殿としての佇いを作り上げることをコンセプトに、屋根に青々とした森が現れる新しくも穏やかで美しい仮殿が誕生した。天満宮が紡いできた1100年以上の歴史と伝統を未来に繋げていくことを意識し、御本殿を踏襲した伝統的な造りと現代的なデザイン性が共存した、全く新しい仮殿が完成。特に印象的である屋根の上の植物には、天満宮の花守たちによって境内地で育てられた梅も含まれている。周辺の環境と共に、季節や天候によって様々な移ろいを見せ、訪れるたびに新しい姿を見せる仮殿とともに、天満宮の豊かな自然を感じることができる。
さらに、仮殿のために仕立てられた御帳と几帳は、パリコレクションに参加するなど世界的に支持されるファッションブランドMame Kurogouchiが手がけた。紡いできた歴史に想いを馳せ、社全体を包む生命の景色を伝統的な手法と現代の織機によって表現している。御帳には天満宮を象徴する梅の木が全面にあしらわれ、色・柄ともに左右に向かって美しいグラデーションを成す構図が、天満宮全体がもたらす生命の広がりを表現。几帳に用いられたシルクには、境内で採集された梅と樟の枝や、貴重な紫根を用いた古代染色が施され、現代を象徴する化学繊維と共に織り上げられる。流れる様な糸の飛ばしが特徴的な織りはデザイナー黒河内真衣子が体感した境内に降り注ぐ生命の雨をイメージ。菖蒲や境内に咲く草花といった要素と共に生地の上で融合することで、天神さまと天満宮の歴史が未来へと向かって織り上げられる。
藤本壮介
1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年藤本壮介建築設計事務所を設立。2014年フランス・モンペリエ国際設計競技最優秀賞(ラルブル・ブラン)に続き、2015、2017、2018年にもヨーロッパ各国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。国内では、2025年日本国際博覧会の会場デザインプロデューサーに就任。2021年には飛騨市のCo-Innovation University(仮称)キャンパスの設計者に選定される。
黒河内真衣子
長野県生まれ。2010年に黒河内デザイン事務所を設立。自身のブランド「Mame Kurogouchi」をスタート。2018年秋冬コレクションよりパリファッションウィークで発表を行う。2023年には旗艦店Mame Kurogouchi Aoyamaがオープン。
太宰府天満宮
太宰府天満宮は、全国天満宮の総本宮であり、菅原道真公の御墓所の上に御社殿を造営し、その御神霊を永久に祀る神社。 「学問・文化芸術・至誠の神」として、日本全国はもとより広く世の御崇敬を集め、年間に約1000万人の参拝者が訪れる。