展示概要
かつての紡績工場をリノベーションした建物の中にオープンした香港のアートセンター CHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile) が日本のテキスタイルデザインの第一人者である須藤玲子の過去最大となる展示会「須藤玲子の仕事―NUNO のテキスタイルができるまで」を2019年11月24日より開催。アーティスティック・ディレクターにライゾマティクス・アーキテクチャーの齋藤精一を迎え、貴重な資料、作品の展示に加え、映像や音を組みあわせたインスタレーションによって、須藤のクリエイションの全貌に迫る。
会場は紡績工場跡地にオープンしたアートセンターCHAT
CHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile) は、香港の荃湾 (チェンワン) に2019年3月にオープンした紡績工場跡地をリノベーションした文化とビジネスの複合施設The Millsの中にあるアートセンター。企画展第3弾としてテキスタイルデザイナーの須藤玲子の個展を開催。本展は須藤がデザインしたテキスタイルが、どのような製造工程を経て作り出されるのか、映像や音をとりいれたインスタレーションで見せるほか、須藤の手書きのスケッチやドローイング、テキスタイルの原料や作品のプロトタイプなども公開。また、東京六本木にある国立新美術館で2018年に展示され大きな反響を呼んだ、須藤のテキスタイルによるこいのぼりも、フランスのデザイナー、アドリアン・ガルデールの新しい展示デザインで公開される。
職人・工場との協働作業が可能にするNUNOのクリエイション
六本木にあるテキスタイルデザインアトリエNUNOのデザインディレクターとして、須藤はユニークなテキスタイルを日本の職人や工場と共に作り上げてきた。コットンやシルク、ウールやポリエステルといった従来の繊維に加え、和紙を使用したり、実験的な製造工程を職人と開発するなど、その独自の試みによって生まれたテキスタイルの数々は、ニューヨーク近代美術館 (MoMA) やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館といった主要な美術館、博物館で展示、コレクションをされている。
須藤はデザインの仕事を通じて、現場の職人とともに、存続の危機に瀕している日本のテキスタイル生産の技術や機械の可能性を拡張してきた。近年とりわけ注目が高まっているテキスタイルの再利用についてもユニークな方法で取り組み、廃棄される予定だったテキスタイルを新たに加工しなおし、新しいデザインとして発表。このような須藤のテキスタイルは、ファッションやインテリア、ホテルや公共施設にいたるまで、幅広く用いられている。
初めて公開されるアイデアの源泉から制作のプロセスまで
須藤はこれまでも世界各国の美術館で展示を開催してきたが、アイデアの源泉からスケッチ、素材、製造過程までをつまびらかにする試みは初となる。展覧会は布と映像、音が織りなす、織り機によるパフォーマンスが行われているような内容となり、テキスタイルの展覧会としても画期的な展示方法となる。展覧会オープンから2週間は、一般来場者が参加できるNUNOのファブリックを使ったワークショップや、布の染色のワークショップも開催される。
アーティストプロフィール 須藤玲子
茨城県生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科テキスタイル研究室助手を経て、株式会社「布」の設立に参加。現在取締役デザインディレクター。英国UCA芸術大学より名誉修士号授与。2019年より東京造形大学名誉教授。2008年より良品計画のファブリック企画開発、鶴岡織物工業協同組合、株式会社アズのデザインアドバイスを手掛ける。2016年無印良品アドバイザリーボードに就任。毎日デザイン賞、ロスコー賞、JID部門賞等受賞。日本の伝統的な染織技術から先端技術までを駆使し、新しいテキスタイルづくりをおこなう。作品は国内外で高い評価を得ており、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館、東京国立近代美術館工芸館等に永久保存されている。2018年に国立新美術館にて個展「こいのぼりなう!」を開催。代表作にマンダリンオリエンタル東京、東京アメリカンクラブのテキスタイルデザインがある。
展示情報
展覧会名 | 須藤玲子の仕事―NUNOのテキスタイルができるまで Sudo Reiko: Making NUNO Textiles |
会期 | 2019年11月24日 - 2020年2月23日 (毎週火曜日閉館) |
開館時間 | 11:00 - 19:00 |
会場 | CHAT並びにThe Mills内The Hall(南豐紗廠,香港荃灣白田壩街45號) |
入場料 | 無料 |
URL | https://www.mill6chat.org/ |