解体予定の10階建老朽ビルをアート空間に
東京建物、デジタルアートギャラリー「NOXGALLERY」を運営するエフ広芸、およびニューヨークを拠点とするSuperchief Galleryが共催した没入型アートイベント「アートゴールデン街 by NoxGallery × Superchief × Brillia」が、2025年度グッドデザイン・アワード(GOOD DESIGN AWARD 2025)を受賞した。「アートゴールデン街」は2025年1月に東京都渋谷区恵比寿西のセゾン代官山ビル一棟全体を活用して開催され、延べ20日間で約7,000人の来場者を記録した大規模アートプロジェクト。老朽化し解体を控えた空間に国内外約70組のアーティストが集結し、建物内の全50室と共用部までもクリエイティブに彩ることで、従来閑散としていた地域に新たな色どりと活気をもたらした。今回の受賞は、同プロジェクトが「コミュニティづくりの取り組み・活動(カテゴリ19-02)」において優れたデザインと評価されたことを意味している。
イベント開催の背景と『アートゴールデン街』誕生の経緯
渋谷・恵比寿・代官山の中間に位置する地上10階建ての賃貸マンション「セゾン代官山」(1986年竣工)は、老朽化のため2025年2月に解体が予定されていた。大規模建築物では建て替え計画決定から実際の解体着手までに時間を要し、その間に建物が空洞化して周辺のにぎわいが失われることや治安悪化などが地域課題となりがちであるが、NOXGALLERYとhttps://noxgallery.art/東京建物は解体までの空白期間を地域に還元する暫定利用策として、この建物を活用したアートイベントを企画。いわば建物の「終活」として最後の期間を有意義に活用する取り組みが、アートイベント「アートゴールデン街」につながった。イベント名の「アートゴールデン街」は、芸術家や作家、映画監督などクリエイティブな個人が集う文化的な街として知られる新宿ゴールデン街に由来し、50もの小さな部屋それぞれが独自の表現空間となり、多様なサブカルチャーやアートがひしめく様子は、新宿ゴールデン街のようにディープで刺激的な文化の集合体を彷彿とさせる。解体前で現状回復義務が無いことを逆手にとり、壁面への大胆なペイントや部屋全体を使ったインスタレーションも可能となり、ビル一棟が丸ごと実験的なアート空間へと生まれ変わった。こうした「期間の空白」を価値化する挑戦的な試みが、地域の活性化策としても大きな注目を集めている。
「アートゴールデン街」プロジェクトの詳細
- 期間:2025年1月9日(木)から1月28日(火)まで
- 場所:セゾン代官山ビル(東京都渋谷区恵比寿西二丁目)
参加アーティスト
国内外の約70組のアーティストが参加し、各居住区画(3階~10階の全50室)およびエントランス・廊下等の共用部をそれぞれ異なるテーマで演出。デジタルアートや映像、音楽、インスタレーション、ペインティングなど多彩な表現形態の作品が一堂に会し、フロアごとに「サイバーパンク」「ジャパニーズヴィレッジ」「デコトラ」など異なるコンセプトで空間を構築した。
AMANDA HAGY 5HUN / ALLIGATOR JESUS / ANCORA / ANDREA BORES / ARMYANYAN / imaginary friend - asami / ATSUSHI / CARINA MASK / CLAIRE SILVER / CLOWN VAMP / COLORCOLOR / DANO / DIRK KOY / DOOOO / ELENA KNOX / EMA GASPAR / EMI KUSANO / ESPO / EVENTYR VERDEN / FDSTASKI / FUSE-QĀSIM / HARTO / HAYASHIRENA / HIBICURE / HSP99 / IDERECH / ITTI+MISOLA / TAKAKURAKAZUKI / KAORU TANAKA / KOTA NOKAZONO / KENICHI YONEDA( KYND ) / KEITA KOJIMA / KENJI YANOBE / KENTA COBAYASHI / MANAMI SAKAMOTO / MARIMOSPHERE / MASAKO HIRANO / MIKE IRAK / MIQ / NAKA RENYA / OMEGA / OTO / OUI25 / PARKER DAY / PEPELANGELO / POL KURUCZ / QINGYI / RAX / ROBERT MALLARY / SAEKO EHARA / SCRYBZ / SHINTARO KAGO / SHOJONO TOMO / SNIPE1 / SOTA SOSA / SPENCER STERLING / TOD SEELE / TOMORO KINOSHIT / TOVGO / VANDALO / VMO / YU MAEDA 


NOXGALLERY
NOXGALLERYは日本初のIRL(現実空間)NFTアートギャラリーとして2022年に渋谷区富ヶ谷にオープン。デジタルアートを駆使した映像演出による音楽イベントや展示会などを通じ、これまでに国内外1,000以上のアーティストやプロジェクトを支援している。2023年には東京建物の協力のもと恵比寿に「NOXGALLERY EBISU」を開設。同年より、日本のポップカルチャーやデジタルアートをテーマとしたオリジナルアートイベント「TOKYO SOLID」の海外展開を開始し、これまで世界7か国9都市で約10万人にデジタルアート体験を提供してきた。こうしたダイナミックかつグローバルな活動により、NOXGALLERYは世界中のデジタルアーティストやコレクターから大きな注目を集める存在となっている。

Superchief Gallery
2012年にニューヨーク・ブルックリンで設立。多様なジャンルのアーティストのグローバル展開をサポートしてきました。2021年には世界初のIRL(現実世界の)NFTギャラリー「Superchief Gallery NFT」をニューヨークにオープンし、以来、Christie’s初のCryptoPunkオークションやOpensea、UNICEF、NFT/LAなどのIRL NFTイベントを手がけるなど、業界をリードしてきた。また、ヴェネツィアのNFT Art Biennialや韓国のNFT KOREA FESTIVALを設立するなど、NFTアートとカルチャーの最前線で新たな可能性を切り拓いている。Superchief Galleryは、多様な分野を横断するプラットフォームとして、カルチャーの最前線に立ちながら、オリジナルなスタイルを発信し続けている。
Brillia Art Award Cube/ Brillia Art Award Wall
Brillia Art Awardは、東京建物が次代を切り開く先進性をもったアーティストとの出会い・応援を目指し、2018年より開催している公募展。入選者への制作補助金の支給や作品の展示スペース提供などにより、2024年までの7年間で22人のアーティストを支援してきた。2024年からは平面作品を対象としたBrillia Art Award Wallの新設に伴い、従来のBrillia Art Awardを立体作品のみを対象とするBrillia Art Award Cubeに名称変更し 、 2つの公募展を開催している。
エフ広芸
エフ広芸は創業45年。商業施設サイン、デジタルサイネージ、LEDビジョン等の設計から施工までを行うサインの総合メーカー。1977年8月に創業し、全国チェーン店や大型モール、ホテル、公共施設、有名ブランドなど、品質に厳しい案件を多数手掛けている。

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