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自然素材を巡る技術や手仕事の継承

書籍『Savoir & Faire 金属』がエルメス財団より、岩波書店から2025年10月24日(金)に出版される。本書は自然素材を巡る職人技術や手わざの再考、継承、拡張を試みるプログラム「スキル・アカデミー」の一環で、『木』(2021)、『土』(2023)に続く3冊目。仏語版『Savoir & Faire le métal』(2018、アクト・スッド社とエルメス財団の共同編集)から精選したエッセイやインタビューの邦訳を軸に、日本語版オリジナルとして専門家やアーティストによる論考やインタビュー、ポートフォリオから編纂された。

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本書の刊行を記念し、金属の属性を考えるグループ展「メタル」展が銀座メゾンエルメス ル・フォーラムで、2025年10月30日(木)から2026年1月31 日(土)まで開催される。

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Élodie Lesourd | 《Walking Through the Land of Falsity (courtesy K.Smolenski) 》| 2016 | Acrylic on MDF|           165.8×102.7㎝ ©Élodie Lesourd

スキル・アカデミーのフランスにおける監修者である社会学者・歴史家のユーグ・ジャケは、書籍の中で金属の特徴を両義性と呼んだが、展覧会「メタル」ではこの両義性について、メタル音楽を記号論的に解釈するエロディ・ルスール、日本古来の朱と水銀を媒介に内的宇宙と外的象徴を創造する映画監督の遠藤麻衣子、そして鉄球としての地球に人間活動を重ね合わせ、廃材を用いた作品を作る榎忠が、音楽、映像、造形の側面から金属を読み解き、再考を試みる。

参加アーティスト

榎忠(Chu Enoki)

1944年、香川県善通寺市生まれ。現在は、兵庫県神戸市を拠点に活動。60年代後半から関西を中心に活動を始める。前衛グループ「JAPANKOBEZERO」での活動(1970―76年)を経た後、街中での会場探しからはじめ、自ら展覧会全体を作り上げることを行ってきた。半身の体毛を全てそり落とした《ハンガリー国へハンガリ(半刈り)で行く》(1977年)、自ら女店主に扮した《BarRoseChu》(1979年)など型破りなパフォーマンスや、銃や大砲などを扱った作品、金属の廃材に新しい生命を吹き込んだ作品など、独自の世界を展開。また榎は専業美術家ではなく、金型職人として働き、定年まで勤め上げた。その生きざまは、多くのアーティストに強い影響を与えている。

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榎忠 | 《RPM-1200》| 2011年 | 鋼鉄 | サイズ可変 | 兵庫県立美術館 | 写真:豊永政史 ©Chu Enoki

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榎忠 |《ベロ耳 / End Tab》 | 2015年| 金属 | (17-21.5)×(10-13.7)×(2.3-7.2)、86個 | 高野山真言宗総本山金剛峯寺 奥殿 | 写真:阪田隆治 ©Chu Enoki

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榎忠 | 《Bar Rose Chu》 | 1979 年 | 写真:米田定蔵 ©Chu Enoki

遠藤麻衣子(Maiko Endo)

ヘルシンキ生まれ。ニューヨークでの創作活動を経て、東京を拠点に活動。2011年、日米合作長編映画『KUICHISAN』で監督デビューし、翌2012年、イフラヴァ国際ドキュメンタリー映画祭メインコンペ OpusBonum(オプス・ボヌム)で、最優秀ワールドドキュメンタリー賞を受賞。2016年、日仏合作で長編2作目となる『TECHNOLOGY』を発表。中編『TOKYOTELEPATH2020』は、2020年ロッテルダム国際映画祭正式出品作となる。2021年、初の美術作品となる映像インスタレーション《ElectricShopNo.1》を東京のTakuroSomeyaContemporaryArtで発表。2022年、第14回恵比寿映像祭でオンライン映画『空』を発表し、東京都写真美術館に収蔵。2023年、同作が東京都写真美術館「風景論以後」展に参加。2024年、JSTERATO*稲見自在化身体プロジェクトと協働した短編映画『自在』が世界各国で上映された。

*科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業総括実施型研究(ERATO)

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遠藤麻衣子 | 《識 》| 2025年| 映像作品からの静止画 ©Maiko Endo

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遠藤麻衣子 | 《自在》 | 2024年 | 映像作品からの静止画 ©3 EYES FILMS, JST ERATO稲見自在化身体プロジェクト

エロディ・ ルスール(Élodie Lesourd)

1978年 、サン=ジェルマン=アン=レー生まれ。現在はパリを拠点に活動。音楽を通じ、哲学 、文学、社会学、美術史 、建築 、自然科学など 、多岐にわたる分野の探求に取り組んでいる。ルスールの創作活動は、他のアーティストによる音楽関連のインスタレーションをモチーフとしたハイパーリアリズム絵画とロック音楽文化特有の記号や符号などを分解、変容、再解釈した作品群という、二つの異なりながらも補完し合う要素によって構成されている 。 共通の概念構造によって結びつけられ、形而上学的な目的を共有するこれらの作品を通じ、有限性とは何かを問いかけている。

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ÉlodieLesourd | 《The BreatheOf The Death Is The Only Sound(courtesy N.Gale)》 | 2024 | Acrylic on MDF | 73.4 x 55 cm ©ÉlodieLesourd

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Élodie Lesourd | 《The Half of Half-and-Half (courtesy T.Blass) 》| 2014 | Acrylic on MDF | 35.2 x 52.9 cm ©Élodie Lesourd

『Savoir & Faire 金属』書籍概要

発売日2025年10月24日(金)
仕様A5変型上製函入448ページ
定価本体2,900円+税
ISBN978-4-00-061724-6 C0070

「メタル」展 開催概要

会期2025年10月30日(木) ~ 2026年1月31日(土)
時間11:00~19:00(入場は18:30まで)
会場銀座メゾンエルメス ル・フォーラム8・9階
URLhttps://tinyurl.com/uu4uyhrw