国指定重要文化財の食堂に、「存在とは何か」を問う光の球体が浮かび上がる
アート集団チームラボは、兵庫県姫路市の書寫山圓教寺(しょしゃざんえんぎょうじ)にて、物理空間には存在せず人々の認知上にのみ存在する現象をコンセプトに、「存在とは何か」を問う展覧会「チームラボ 圓教寺 認知上の存在」を2023年4月29日(土)から12月3日(日)まで開催する。2階建の仏堂としては日本の指定文化財の中で最大規模である食堂(じきどう)の1階、全長約38mの奥深い空間がチームラボによるアート空間にかわる。
本展では物質的には存在しないはずの光の造形や輝きを見る者に知覚させる作品《我々の中にある巨大火花》と《質量のない巨大太陽》を展示。《我々の中にある巨大火花》は、細い光の線が中心から放射状に無数に広がり、球体を形作る。球体に触れようとすると球体は反応するが、物理的な境界がないため、手は球体の中に入る。また、《質量のない巨大太陽》は、光が凝固してできたかのような光だけでできた塊として、空間上にはっきりと知覚されるが、物質的な境界面が存在しない。球体と身体との境界の認識は曖昧である。
展覧会コンセプト
あらゆる次元においてボーダレスな世界観を追求しているチームラボは近年、「生命とは何か?」そして「存在とは何か?」という大きな問いをテーマに制作に取組んでいる。例えば、海外で発表され注目を集めている作品例に、物理的には何もないはずの空間に光の球体が浮かんで見えるというものがある。今、目に見えている世界がそこに存在しているとは限らないということ、つまり見えている世界とはそれを見ている者の認知の中にだけに存在しているということを鑑賞者に気づかせてくれる作品である。
会場は平安時代から1千余年の歴史を刻む名刹・書寫山圓教寺の三之堂を構成する伽藍のひとつで、後白河法皇の勅願により創建された「食堂」(国指定重要文化財)。現在の建物は室町時代のもので、僧侶の学問や寝食の場であった。2階建の仏堂としては日本の指定文化財の中で最大規模となる建物の1階、全長約38mの奥深い空間がチームラボによる最新の作品空間となる。本展では物質的には存在しないはずの光の形や輝きが環境と認知の作用によって現象として生み出されるというチームラボ独自の作品が鮮烈に表現される作品が発表。「総合芸術の聖地」を提唱する書寫山圓教寺で、投げかけられるチームラボの光の球体は「生命」そして「存在」という普遍的な問いをめぐる思索へと導く。
「チームラボ 圓教寺 認知上の存在」開催概要
会期 | 2023年4月29日(土)から12月3日(日)まで |
会場 | 書寫山圓教寺 食堂(兵庫県姫路市書写2968) |