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香川・岡山で開催される瀬戸内国際芸術祭2022と岡山芸術交流2022

今年2022年は、香川・岡山の2つの港と12の島々で開催される瀬戸内国際芸術祭2022と、岡山城・後楽園周辺で行われる岡山芸術交流2022という現代アートの大きなイベントが同時に開催されます。

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直島

しかし、この記事を書いている3月末時点ではまだ瀬戸内国際芸術祭2022の公式ガイドブックや岡山芸術交流2022に関する詳細発表がされていないため、まとまった資料が見当たらず、どのように予定を組もうかと困っている人もいるかと思います。

そこで、瀬戸内国際芸術祭と岡山芸術交流の両方を楽しみたいという人のために、岡山在住の筆者が現時点で分かっている情報をまとめました(新型コロナウィルスの感染状況等によって、現在発表されている情報が変更される可能性もあります)。

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瀬戸内国際芸術祭2022のメインビジュアルポスター(上)と岡山芸術交流のロゴマーク(下)

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まず、それぞれの会期は以下の通りです。

瀬戸内国際芸術祭2022

春会期:04月14日~05月18日
夏会期:08月05日~09月04日
秋会期:09月29日~11月06日

岡山芸術交流2022

09月30日~11月27日(月曜休み。月曜が祝日の場合は翌火曜休み)

両イベントが重なっている期間は9月30日~11月6日の38日間になります。

したがって、できる限りまとめて作品を鑑賞したいという方はこの期間に合わせて予定を立てることになると思いますが、この期間は特に混雑することが予想されます。

できればゆっくりと作品を鑑賞したいという方は、瀬戸内国際芸術祭の作品を春会期や夏会期に見てまわり、秋会期のみに展示される本島・高見島・粟島・伊吹島の作品を見たあと岡山芸術交流の作品を見るという行程を組むと良いでしょう。

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瀬戸内国際芸術祭2022の会場の一つである香川県の沙弥島は春会期のみの展示となっているので、全作品の鑑賞を目指す人はまずこの沙弥島の作品を押さえておく必要があります。

また、直島・豊島・犬島のミュージアムに展示されている作品や各島の常設作品など、瀬戸内国際芸術祭の期間外でも鑑賞できる作品も多くあるため、鑑賞するための滞在期間が限られている方は、芸術祭期間中のみしか鑑賞できない作品にあらかじめ狙いをつけて見て回ることをおすすめします。

どの作品に狙いをつけておくべきかは瀬戸内国際芸術祭2022公式ガイドブックが発売されてからその内容を参考にして検討することをおすすめしますが、今から作家についてリサーチしておきたい場合は瀬戸内国際芸術祭2022のホームページプレスリリースで公表されている作家一覧主な作家の略歴等を参照して調べることができます。

また、地中美術館・杉元博司ギャラリー 時の回廊・豊島美術館など、鑑賞に予約が必要な施設もありますので、常設作品も併せてご覧になりたい方は Benesse Art Site Naoshima ホームページにて予約の必要な施設をチェックし、早めに予約を行っておくと良いでしょう。

芸術祭期間中は美術館も混雑するので、直前だと予約がとれないことがあります。

同様に岡山芸術交流に展示する作家についてリサーチしておきたい場合は、岡山市ホームページの「岡山芸術交流2022の開催について」に発表されている「岡山芸術交流2022 実施計画」を参照して調べることができます。

ちなみに、岡山芸術交流の特徴として、アーティスティックディレクターに海外の著名なアーティストが招聘され、そのアーティストの志向が展覧会の内容に強く反映される傾向があります。

前回の岡山芸術交流2019ではフランスを代表するアーティストであるピエール・ユイグがアーティスティックディレクターを務め、「IF THE SNAKE もし蛇が」と題した独特の展覧会を展開しました。

今回の岡山芸術交流2022ではアルゼンチン生まれのタイの現代アーティストであり、鑑賞者にタイ料理を振舞うというインスタレーション作品がニコラ・ブリオの「関係性の美学」で評価されたことで有名な、リクリット・ティラヴァーニャがアーティスティックディレクターを務めます。

今展覧会ではリクリット氏がアートバーゼル2015やLUMA Arles、CHAOS表参道などで行ったインスタレーションによるシリーズ作品と同じタイトルである「Do we dream under the same sky 僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか」が岡山芸術交流2022のタイトルとして付けられました。

岡山芸術交流は世界的な作家による質の高い現代アート作品が見られる反面、難解で意味がわからないという反応も多い、ハイアートな展覧会です。今回の展覧会がどのようなかたちになるかはまだわかりませんが、ルールを知らずにスポーツ観戦をするよりもルールを学んでから観戦した方が面白いのと同様に、リクリット氏の過去作品やステイトメントに目を通し、選ばれている作家の傾向などについてひとしきり考察してから鑑賞した方がより展覧会を楽しむことができるでしょう。

次に瀬戸内国際芸術祭と岡山芸術交流を巡る際の移動についてですが、瀬戸内国際芸術祭の会場となっている島々を巡る場合、主に岡山側の宇野港か香川側の高松港からフェリーや旅客船を利用して巡ることになります。

また、岡山市の京橋港・新岡山港と小豆島の土庄港の間にも航路があるので、島々を渡って鑑賞しながら小豆島まで向かい、小豆島から京橋港に向かって岡山市街に入るルート、もしくはその逆に岡山芸術交流を見てから小豆島に渡り、島々を巡るルートもあります。

春会期のみの沙弥島や秋会期のみの高見島・粟島・伊吹島は香川県側から巡る必要があるため、高松や丸亀を拠点にして鑑賞して回るのが良いでしょう。(本島は岡山県側の児島観光港からも訪れることができます。)

瀬戸内国際芸術祭2022の各会場への詳細なアクセス方法は公式ホームページの「アクセス」ページからご覧になれます。

その他の瀬戸内国際芸術祭2022に関する詳細や、鑑賞用パスポートの購入などについても公式ホームページをご参照ください。

最後に注意事項となりますが、瀬戸内国際芸術祭2022の会場となっている島の中には、医療設備が十分に整っていないところもあります。

したがって、観光に訪れた人が新型コロナウィルスなどを持ち込んで感染が拡大した場合、持ち込んだ本人や島の住民が必要な治療を受けられないなどの問題が起こる可能性があるので、観光に訪れる場合は感染対策をしっかりおこなってウィルスを持ち込まないように、くれぐれもお気をつけください。

また、コロナ禍以降、外国人観光客が減って観光に訪れる客層が変わり、マナーの悪い日本人観光客が増えたという悩みも宿泊施設経営者や島に住んでいる人から聞くようになりました。島にはゴミ処理施設がないところも多く、ゴミの処理は本土に住んでいる人が考えるよりも大変です。ゴミはポイ捨てせずにできるかぎり持って帰る、展示されている作品を傷つけない、写真を撮るときは周囲の迷惑にならないように気を付ける、私有地や家に勝手に入って行かない、住民に配慮するなど、節度ある行動を心がけながら鑑賞を楽しみましょう。