井津由美子『Saul Leiter: In Stillness』出版記念
ニューヨーク発ファッションブランド、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)が手掛けるブックストアBOOKMARCにて、写真家・井津由美子が撮影した故ソール・ライターのアトリエの写真集『Saul Leiter: In Stillness』の出版を記念して写真展を2020年6月19日(金)から7月5日(日)まで開催する。
1980年代に商業写真から身を引いて以後、表舞台に姿を現すことなく淡々と絵を描き、写真を撮り、自分の世界の中で生きていたソール・ライターを日の当たる世界へ引き出すことになったのは、2006年にドイツのシュタイデル社が出版した写真集『Early Color』。この写真集によって、当時80歳を過ぎていたソール・ライターは「カラー写真のパイオニア」として、一躍「時の人」となるが、2013年にこの世を去るまで自分の生活を変えることなく、最も愛する場所であるニューヨーク・イーストヴィレッジのアパートメント兼アトリエで淡々と日常を送った。生前からソール・ライターと親交のあった井津由美子が、この場所の撮影をはじめたのは、彼が亡くなった3週間後のこと。それ以降、断続的に2019年までこのプロジェクトの撮影は続けられた。ソール・ライターへの敬意と、写真家としての冷静な眼差しによって生み出された数々の写真には、通俗的な富や名声より、自分にとって幸せとは何か、を真摯に問い続けたソールの魂に通じる美が映し出されている。写真集『Saul Leiter: In Stillness』は、ソール・ライターの気配が立ち上るような濃密な空間の中で「急がない人生」の多くの物語を浮彫にする。
井津由美子(Yumiko Izu)/ 写真家 プロフィール
1968年大阪府生まれ。ニューヨーク在住。1998年アメリカ、カリフォルニア州のブルックス大学写真学科を卒業後、ニューヨークで広告写真家としてキャリアをスタート。2003年より8x10インチと11x14インチの大型カメラでプラチナ・パラディウム・プリント技法による《Secret Garden(シークレット・ガーデン)》(2011年)シリーズを制作開始。2016年、《Secret Garden》と《Faraway(闇の彼方へ)》(2014年)を収録した写真集『Resonance』をSerindia Contemporaryより出版。2017年から2018年にかけて、微細な鳥の巣と羽根の抽象的イメージで成り立つ《Icarus(イカロス)》(2017年)シリーズを東京、台北、バンコク、サンタフェ、パリのギャラリーで発表。2020年1月に東京のBunkamuraザ・ミュージアムで開催された「永遠のソール・ライター」展において上映されたプロジェクションに作品を提供。写真集『Saul Leiter: In Stillness』を東京、京都で発表予定。2007年にニューヨーク州ウッドストックのセンター・フォー・フォトグラフィー奨学金受賞、サミュエル・ドースキー美術館に作品が収蔵される。
井津由美子 “Saul Leiter: In Stillness” 出版記念 写真展
会期 | 2020年6月19日(金)– 7月5日(日) |
時間 | 12:00~19:00 |
会場 | BOOKMARC(ブックマーク) |
住所 | 東京都渋谷区神宮前4-26-14 |