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ドイツでのコロナの影響と個展報告

コロナの影響で、自らの個展が突然1年先に延期になった2020年12月 。私は、ドイツのベルリンにあるアパートの一室でこれから先行きが見えないコロナの状況と昨今開始され始めたワクチン接種に関してソワソワした気持ちでいた。ロックダウンで、閉ざされた世界。自分もなぜかこの部屋と共に閉ざされ、大半が座ったままで1日を過ごす。まるで椅子が体の一部になってしまったかのように、これが夢だったら、またそれはそれでリアリティーがあるな・・・、そんなことを考えていたのを覚えている。

2020年9月、Kunstverein Wolfenbüttelから1通のメールが届いた。それは嬉しくも個展の受理連絡(合格通知?)だった。先に、Kunstverein(クンストフェラインと読む)は何か少し説明しておこうと思う。ドイツには300箇所以上のKunstvereinが存在する。通常、非営利団体と登録団体でドイツの各州にいくつもの施設があったりする。現代アーティストと文化、芸術に関心のある人々を結びつける役割を果たし、活動の場が広がっている。ドイツはそういう意味では文化を推進する活動が活発に行われている。そのなかのひとつKunstverein Wolfenbüttelでの展覧会。ドイツに来てから2回目の個展。とてもありがたく感じた。

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Wolfenbüttelの街並み

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建物線がまっすぐでないところが、またチャームポイント

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外観は立派な石造り。中は天井高く、部屋は広い。

Kunstverein Wolfenbüttelを訪れてみた。ベルリンから特急列車で2時間ほど離れたLower SaxonyにあるWolfenbüttelという街は昔の面影を残す古くて小さな街だ。 建物や家々を見回しても、大半が木材と漆喰壁で建物線にまるで直線がない。それがどこかとてもチャーミングで親近感が持てる。日本で言う侘び寂びとでも言うのだろうか。

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Kunstvereinの隣にあるコンサートホール。木の重いドアを抜けると、中は薄暗いロビー

Kunstvereinは広場の大きな教会の前に面していて、街の中心的位置にある。その隣には木材で建てられたコンサートホール。何か中世時代を思い出させるように、何百年も立っているのだろう、中は薄暗く、ホコリと古い木材が混ざったような匂い。階段も木材。当然屋内での喫煙は禁止。そのサイドドアから直でkunstvereinにも繋がっていて、とてもユニークな施設だ。 主催者の話では、石造りのKunstvereinは一昔まで銀行だったらしい。何世代にもわたってその建物はいろいろな用途で使われてきたのだろう。高さと幅の大きな壁のある部屋が三つ。展覧会会場としては大きい方だ。私自身、これまで大きな会場で個展をすることは無かった。 ワクワクした気持ちが湧いてくると共に展覧会のアイデアを張り巡らせていた。 その日から延期の通知を受けるまで約3ヶ月、ベルリンで制作に没頭した。

12月に入り延期の通知があってから、予定が先送りとなったと同時に、時間もゆっくりと過ぎていった感覚がする。2021年へとカレンダーは代わる。春になり、夏が来てドイツでは感染数がグッと低くなった。私はアクセルを踏む。

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作業二日目。2室目の”Musical Garden”の作業中

夏からオープニングまで時間が経つのが速かった。11月初めに出来上がった作品を梱包し、搬入する。オープニングの1週間前に会場に入り、そこから1週間で内装、展示を終えてしまわなければならない。これを聞くと、ゆとりがあるようにも聞こえるのだが、会場3室の壁絵と塗装、絨毯変え、棚の差し込み全てをパートナーと二人でしなければならない。ギリギリのペースだった。
オープニングは日曜日。毎日、朝の9時スタートで夜は9時半までの作業だったが、会場が着実に出来上がってくる様子を見て, 手応えも感じられるようになった。ただ、思っても見なかったアクシデントが起こる。2室目の緑の絨毯が足りない。主催者がオンラインで同色のものを見つけようとするが、在庫なし、急送便なしでプラン変更を余儀なくされた。壁絵の同系色のグリーンが見つかり、そこだけを違うグリーンで埋めることにした。もしかすると結果的に予定していたグリーンよりも良くなった可能性がある。

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作業四日目。メインルームの”Yellow Room”カーペット貼りが地味に時間がかかる。

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角の三角コーナーが深緑になった。それでもプラン変更でなんとか間に合った(ホッと)。

ようやく作業が完了した土曜日午後9時。オープニング前夜ギリギリだった。

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“Wunderhaus”- the Main Room “Yellow Room” Installation View @ドイツでのコロナの影響と個展報告 2021.

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“Wunderhaus”- 2nd Room “Musical Garden”, Installation View @Kunstverein Wolfenbüttel 2021.

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“Wunderhaus”- 2nd Room “Musical Garden”, Installation View @Kunstverein Wolfenbüttel 2021.

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”Big Coffee Mug”, paper mache and hanging with string 2021.

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“Wunderhaus” -3rd Room “Living Room”, Installation View @Kunstverein Wolfenbüttel 2021.

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“Abandoned Field”, Watercolor on paper, 76.5x56.5cm 2021.

オープニングの様子は割愛することにする。簡単に言えば、予想以上に反応がよかったと感じている。ドイツで、日本人である自分の文化やアイデアをアートを通して伝えると言う作業は人の繋がりや人の理解を深めることになると地元の人々を話してまた実感した。デジタル化が進んだ現代だからこそ、マニュアルや手作業、体験、ぬくもり、対面というものに価値を見出す。12月初旬現在、ドイツでは新型に加えコロナ患者数が増加の一途を辿っている。そんな中でロックダウンにはならずオープニングができたことだけでも幸運だったと思う。これからコロナウイルスがどの位アート界に影響し、私たちの活動を左右していくのだろうか。これを機会に作品や展示方法も進化していくかもしれない。

INFO

”Wunderhaus” @Kunstverein Wolfenbüttel November 21-December 19th

Wed-Fri: 16:00-18:00, Sat+Sun: 11:00-13:00

kontakt@kunstverein-wf.de(予約制)

オンラインアーティストトーク: The artist talk with an art historian Jan-Phillip Fruehsorge December 12th (現地時間11:30am 日本時間19:30~オンラインで英語とドイツ語のみ) Instagram: @goldspooon @kunstverein_wolfenbuettel