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ビデオカメラやスチルカメラで撮影した日常の風景を「ロトスコープ」と呼ばれる技術によって映像化

水戸芸術会館は、佐藤雅晴「尾行-存在の不在 / 不在の存在」展を2021年11月13日(土)から2022年1月30日(日)まで開催。佐藤雅晴は、ビデオカメラやスチルカメラで撮影した日常の風景をパソコン上でペンツールを用い、なぞるようにトレースしてアニメーション化する「ロトスコープ」と呼ばれる技術によって映像作品を制作してきた。東京藝術大学大学院美術学科絵画専攻修了後、ドイツに渡り、国立デュッセルドルフ・クンストアカデミーに研究生として在籍したのちドイツを拠点に活動、2010年に帰国し茨城県取手市に居を構える。その直後に上顎癌が発覚、以後、闘病生活を送りながら制作に励んでいましたが、2019年3月、惜しまれつつも45歳で他界。

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彼の作品は、現代美術、映画、アニメ、メディア・アートの表現領域を越え、国内外で高い評価を得てきた。佐藤自らが撮影した身近な人々や身の回りの風景を忠実にトレースすることによって生み出される佐藤の作品には、現実と非現実が交錯する独自の世界観が描かれている。生前、佐藤はトレースという行為について、描く対象を「自分の中に取り込む」ことだと語っていた。それは、自身の暮らす土地や目の前の光景への理解を深め、関係を結ぶ行為ととらえることもできる。一方、佐藤の作品を見る私たちは、実写とのわずかな差異から生じる違和感や、現実と非現実を行き来するような知覚のゆらぎを覚える。本展では、1999年に渡独し初めて制作した映像作品《I touch Dream #1》から、死の直前まで描き続けた「死神先生」シリーズまで、映像作品26点、平面作品38点の計64点を通じ、佐藤の画業を振り返る内容となっている。

佐藤雅晴 プロフィール

1973年大分県臼杵市生まれ。1999年東京藝術大学大学院修士課程修了後に渡独し、国立デュッセルドルフ・クンストアカデミーに在籍する。ドイツに10年間滞在したのち、2010年日本に帰国。以後、茨城県取手市を拠点に活動。2019年3月9日、同地にて逝去。主な個展に「バイバイカモン」(imura art gallery、京都、2010)、「ハラドキュメンツ10 佐藤雅晴─東京尾行」(原美術館、東京、2016)、「TOKYO TRACE 2」(Firstdraft Gallery、シドニー、2017)、「死神先生」(個展、KEN NAKAHASHI、東京、2019)。主なグループ展に「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」(森アーツセンターギャラリーほか、2017-)、「霞はじめてたなびく」(トーキョーアーツアンドスペース、東京、2019)、「六本木クロッシング 2019展:つないでみる」(森美術館、東京)、「DOMANI・明日展2020 傷ついた風景の向こうに」(国立新美術館、東京、2020)、「ヨコハマトリエンナーレ2020」(横浜美術館、プロット48、日本郵船歴史博物館)、「距離をめぐる11の物語:日本の現代美術」(オンライン展覧会、2021)、「温情の地: 震災から10年の東北」(コンポジット、メルボルン、2021)など。