フィレンツェ マリーノ・マリーニ美術館で発表した作品と新作を含む15作を展示・販売
Gallery NAO MASAKIは、イタリア、フィレンツェで活躍し、日本人初のビスポークシューズ(靴のオーダーメード)メゾンを設立した靴職人の深谷秀隆のアート作品の展覧会「IL SOGNO / 夢」を2023年5月20日(土)から6月4日(日)まで開催する。
2015年にフィレンツェ、マリーノ・マリーニ美術館で発表された作品、2017年に東京表参道GYRE(ジャイル)での「靴の彫刻」巡回展で発表された作品、また未発表の新作品を展示販売する。
足元は人の世界を現す、或いは靴の見る夢。
イタリア、フィレンツェで研鑽を積み、日本人初唯一の靴職人マエストロである深谷秀隆は、著名人含む数多くの人々の足元をみつめてきた。2015年、自身の高級紳士靴ブランド il micio設立10周年の折に、フィレンツェ縁の彫刻家、マリノ・マリーニ美術館『Museo Marino Marini』(フィレンツェ美術館)にて彫刻作品を発表した。
制作の工程は自身の靴作り同様、木型を彫り、それに合わせて革靴を縫製していく。大きく違うのは、採寸作業がはいらず、深谷自身の趣くままそのフォルムを生み出すこと。日々人の足元をみつめ、そこに自身の美学を形作る深谷は、その培われた技術と独自のアーティズムに基づき、より自由で深い表現の世界へと足を踏み入れることとなる。
深谷が生み出す靴の彫刻たちは、人格をもって存在する。あるものは軽やかに歩き、あるものは苦しみ傷つき立ち尽くす。彼らはユーモアやシニカルさを合有した人間そのものを端的な表現で現しているようだ。日本では2017年に東京表参道のGYREで開催された展覧会を通じて彼の才能を間近に見た人々もいるであろう。
それから6年、この世界全体の変容に伴うように、この鋭い感受性をもったアーティストの世界はより抽象度と表現力をもち深まっている様に感じる。それは個人の足元を越え、人間社会全体が向き合う足元へと変化し、圧倒的な存在と世界観を我々に見せつけるに至る。ここで映し出される世界は、混沌なのか或いはおおいなる靴の夢みた世界なのか。日本で誕生し、フィレンツェにて発信を続けるアーティスト深谷秀隆のさらなる表現を紹介する今展を多くの方にご覧頂きたい。
Gallery NAO MASAKI 正木なお
深谷 秀隆(Hidetaka Fukaya)
1974年愛知県東海市に生まれ。幼い頃からもの作りが大好きだった深谷は1993年高校卒業後、名古屋モード学園に入学。在学中より靴づくりに興味を抱き、名古屋のシューズメーカー松田繁太郎に師事し、靴作りの基本を学ぶ。同学園クリエイター・オブ・ザ・イヤーを受賞、首席で卒業後、上京し「Kensho Abe」ブランドデザイナーを務める。「誰にもまねできない、自分にしかできないもの作りがしたい」と考え、ビスポーク(木型のオーダーメイド)の靴職人になることを決意、1998年単身イタリアに渡る。シエナのアレッサンドロ・ステッラに師事。卓越したセンスと探究心の強さで腕を上げた。1999年自身のブランド「il micho(イル・ミーチョ)」を立ち上げ、自らの靴づくりをスタートさせる。やがてその才能をフィレンツェの老舗ショップ「Tie Your Tie」のオーナーであるフランコ・ミヌッチに認められ、2003年より同店シューズデザインを手掛ける。2005年日本人として初めて海外にビスポークのショップをオープン。2018年にはトゥモローランド(TOMORROWLAND)創立40周年記念のプレタシューズのデザインも手がけるなど、国内でも注目を集める。近年はアーティストとして、自由な表現性を追求した彫刻作品を制作、2015年に店舗10周年にフィレンツェにある「Museo Marino Marini」(マリノ・マリーニ美術館)にて作品展を開催。
「深谷 秀隆 _ IL SOGNO / 夢 Hidetaka Fukaya」開催概要
会場 | Gallery NAO MASAKI |
会期 | 2023年5月20日(土)から6月4日(日)まで |
時間 | 13:00 ~ 19:00 |
在廊 | 5月20日(土)、21日(日) |