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言葉とアイコンで描くユートピアのかたち

YUGEN Galleryでアートディレクター八木秀人の個展「A life in utopia」が2025年8月29日(金)から9月15日(月・祝)まで開催される。本展では、「理想のライフスタイル」をテーマに、自由に生きる女性像と日常の中から紡がれた言葉を組み合わせた半立体作品19点を展示。これまでのタイポグラフィ主体の作風から一歩踏み出し、アイコンとテキストの融合による新たな表現に挑んでいる。素材には紙やスチレンボードを用い、積層構造によって言葉の多層的な意味と存在感を造形化している。adf-web-magazine-hidemo-yagi-4

展示作品とコンセプト

今回の出展作におけるインスピレーションの源は、作家の日常とパートナーの姿だという。ポップでカラフルなファッションに身を包み、軽やかに生きる女性のアイコンは、八木が「女性が幸せに暮らすことができれば、世界は変わる」と考えた思いから生まれた。作品に記された“I JUST DO WHAT I LIKE(好きなことをやるだけ)”などの言葉は、妻との会話の中で得た気づきがもとになっている。画面構成は秩序だった色面とグリッドをベースに、スクリーンプリントの偶発的なズレや重ねによってリズムが生まれている。構造の一層ごとに手描きと印刷の技法を組み合わせ、視覚的にも触覚的にも強い印象を残す作品となっている。adf-web-magazine-hidemo-yagi-1

言葉のリアリティと批評性

八木のアートは、造形化された「言葉」が主役となっている。積層による物理的なボリュームが、言葉のリアリティと深さを視覚化し、単なるキャッチコピーではない、読むべき「存在としての言葉」を提示している。このアプローチは、バーバラ・クルーガーやエド・ルシェといったアーティストにも通じるが、八木の作品に漂うのは、よりポジティブで希望に満ちたメッセージである。社会的枠組みやジェンダーの既成概念を軽やかに超えていく女性像は、現在の「〜ファースト」的な価値観に対して包括的かつ個を尊重する視点を示している。adf-web-magazine-hidemo-yagi-3

感覚をゆさぶるユートピアのかたち

スクリーンプリントによる偶然性と、アートディレクターとしての設計的精密さ。その両方を併せ持つ八木の作品は、幻覚的なリズムと秩序が交錯する世界観を形成している。現実と理想、個と社会、情報と感情、そのすべてが重なりあって立ち現れる造形は、ヒッピーカルチャーやサイケデリックアートとも共鳴する知覚の開きが感じられる。言葉とイメージ、秩序と偶発。仮想のユートピアではなく、手と感覚によって積み上げられる現実のユートピア。それが八木秀人の目指す世界である。adf-web-magazine-hidemo-yagi-2

八木秀人 / Hideto Yagi プロフィール

1975年埼玉県所沢市出身。2001年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。広告代理店のマッキャンエリクソン、電通でアートディレクター、グラフィックデザイナーとしてマイクロソフト、ジョンソン&ジョンソン、ユニクロ、Honda等を担当。デザインでの受賞歴はJAGDA新人賞、NY ADC賞、カンヌライオンズ金賞・銀賞、ロンドン国際広告祭金賞、アドフェストグランプリ等。アーティストとしては2011年「CUTTER ART OF OLFA」展。2012年文房具メーカー〈ステッドラー〉キャンペーン。2017年「ART BY THE HAND EXHIBITION」(東京・スパイラルギャラリー)。2018年クリエイティブカンパニー、Hand Inc.設立。adf-web-magazine-hidemo-yagi-5

八木秀人 個展「A life in utopia」開催概要

会期2025年8月29日(金)から9月15日(月・祝)まで
会場YUGEN Gallery
時間平日:13:00〜19:00 / 土日祝:13:00〜20:00
URLhttps://tinyurl.com/52m6uau7