「海」を中心に「移民」「旅」や「人間の儚さ」などをテーマにした作品
キューバ出身のアーティスト、マベル ポブレットの国内初の展覧会「WHERE OCEANS MEET」が東京、銀座のシャネル・ネクサスホールで2023年4月2日(日)まで開催している。「海」を中心に、島国キューバに住むポブレットにとって身近な現象である「移民」、「旅」「人間の儚さ」などをテーマにした作品34点が展示される。
マベルポブレットは、写真、ミクストメディア、ビデオアート、キネティックアート、パフォーマンスアートといったさまざまな手法を取り入れて多彩な制作活動を行い、キューバの現代アートシーンで活躍する若手アーティストの一人。2017年のヴェネチア・ビエンナーレで《SCALE OF VALUES》が展示され注目を集める。ポブレットは、フィデルカストロ政権下のキューバで育った若い世代のアイデンティティや、世界とのつながりといった彼女自身の経験に基づいて創作活動を行い、その作品を通してキューバ社会と今日の世界を語ることで、観る者に自身の体験を共有し、さまざまな問いを投げかける。
本展は、マベルポブレットの大切なテーマである「水」、そして「海」を、さまざまな表現を通して体感できる展覧会で、「海」は、ともに島国であり、海と共存するキューバと日本の共通点を示すモチーフでもある。海は人々を隔てると同時に、結びつける存在でもある。海を渡り国境を越える移民は、現代のキューバ社会において身近な現象で、マベルポブレットの作品でも重要な位置を占めている。時には救い、また時には災いをもたらす存在である海。その本質的な役割について、彼女は良し悪しを判断することなく、観察し、語り、問いかける。人間の儚さを考察し、ピラミッド型の折り紙で構成された「My Autumn」シリーズ、移民をテーマにした「Homeland」シリーズ、旅先で撮影した写真のイメージを断片化し、再構成した「Travel Diary」シリーズに加え、映像作品《SUBLIMATION》(「Buoyancy」シリーズ)といった、写真や映像、インスタレーションなど様々な手法で表現した新作34点が紹介される。
マベルポブレット(Mabel Poblet)
1986年キューバ・シエンフエゴス生まれ。キューバの現代アート・シーンにおける新星の一人として高く評価される彼女は、ミクストメディアおよび、写真やビデオ、キネティックアート、パフォーマンス、パブリックアートなど、多彩な技法・手段を用いて創作。また、ポブレットの作品はフィデル・カストロ政権下のキューバで育った若い女性としてのアイデンティティや、より一般的には世界との関係といった、彼女の人生経験と直接的に関係している。世界の主要な芸術祭に参加、各国で開催した個展は20以上を数え、また150以上のグループ展に出品してきた。2017年にはヴェネチア・ビエンナーレのキューバ館でインスタレーション作品《SCALE OFVALUES》(〈Homeland〉シリーズ)を展示している。作品はタンパ美術館やフォンタナルス=シスネロス美術財団(CIFO)、ラテンアメリカ美術館(MOLA)、およびクライスラー美術館等に収蔵されているほか、最近ではパブリックアート作品《Genesis》が米国ノースカロライナ州のスティーブンタンガー舞台芸術センターに落成した。
「WHERE OCEANS MEET」マベルポブレット展開催概要
会期 | 2023年3月1日(水)から4月2日(日)まで |
時間 | 11:00 ~ 19:00 (最終入場18:30) |
会場 | シャネル・ネクサス・ホール |