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自然と人がつくりあう美を体感する“泊まれる民藝館”

水と匠が、北陸の浄土真宗信仰の中心寺院であり、550年の歴史を持つ名刹・城端別院善徳寺の敷地内に、宿泊を中心とした複合施設「善徳寺 杜人舎(ぜんとくじ もりとしゃ)」を2024年3月15日(金)にオープンした。富山県西部・砺波地方の自然に育まれた精神風土を「土徳」と呼び、土徳に満ちた土地の暮らしに民藝思想のあらわれを見出していた民藝の創始者である柳宗悦もかつて善徳寺に逗留。民藝思想の集大成となる論文『美の訪問』を執筆した。

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善徳寺外門

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館内と民藝品

民藝と土徳に共通するのは「自然と人がつくりあう美しい暮らし」の在り方。杜人舎では、柳の愛弟子・安川慶一が設計した善徳寺内の研修道場を改修してホテル、講堂、カフェとショップ、テレワークスペースを配置。美術館のように民藝の品をしつらえ、建物からも調度品からも民藝美を体感できる空間を作り上げた。宿泊だけでなく、土徳に触れる講座やアクティビティも開催、滞在体験や土地の人々との関わりから、これからの美しい暮らしのヒントが得られる場となることを目指している。

建物、しつらえ、食事、五感で民藝を体感

杜人舎の2階は長期滞在も可能な全6室のホテルとなっている。総檜風呂を備えたトリプルが1室、全て違う間取りのツインが5室。朝食には郷土食であるなれ鮨や赤蕪の漬物など発酵保存食を主とした“民藝”的な食事が用意される。

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客室(ツイン)

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朝食

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コワーキングスペース

1階は宿泊者以外も誰でも利用できるカフェとショップ、講堂、テレワークスペース(善徳寺内書院)があり、カフェでは地域の食材を使ったメニューを民藝の器で楽しめる。

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水と匠「民藝ショップ」

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ショップには濱田庄司や芹沢銈介、安川慶一ら民藝巨匠の作品から、全国の民藝産地の器や杜人舎セレクトの物産世界各地のさまざまな民藝品が置かれている。展示品も一部購入可能で、館内全体を暮らしを豊かにするものとの出会いの場として位置付けている。改修設計は、富山出身の建築家でteamLabArchitectsパートナーの浜田晶則(あきのり)率いる浜田晶則建築設計事務所が手がけた。

土徳に触れるアクティビティ

杜人舎では土徳を体感する様々なプログラムやツアーも提供される。善徳寺の僧侶、発酵食など地域に残る郷土料理(善徳寺内で作られる名物「さば鮨」など)を伝える地域の女性たち、伝統産業を担う職人や工芸作家、有機農業にとりくむ農家など、地域の方たちも講師として参加。善徳寺内だけでなく、職人の工房や農林漁業の生産者を実際に訪問し、地域の中で体験的な学びを深めることができる。

安川慶一(やすかわけいいち、1902~1979)

木工家・建築家。1902(明治35)年、富山県立山町に生まれる。昭和2年、京都に柳宗悦を訪ね、以降、濱田庄司、河井低次 郎、芹沢銈介、バーナード・リーチ、棟方志功らとの親交が始まる。昭和7年に外村吉之助と書簡を通じて民藝運動の交友を 始め、昭和20年、富山民藝協会を組織する。昭和23年から松本民芸家具の製作指導に協力、北陸銀行の家具一連の仕事をプロデュースする。昭和40(1965)年、岐阜県の板蔵を移築改修して富山市民芸館を建設、初代館長となる。生涯に数多くの建築設計の仕事を手掛け、高く評価されている。

城端別院善徳寺

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城端別院善徳寺

今から約550年前に本願寺第8代 蓮如上人によって開基され、現在は東本願寺(真宗大谷派)の城端別院。浄土真宗の開祖、親鸞聖人 直筆の「唯信抄」をはじめ、什宝物・法宝物・古文書
など、約1万点の寺宝を有し、7月の虫干法会ではその一部が展示公開される。柳宗悦が『美の訪問』を書きあげた部屋も当時のまま保存されている。現在も365日法話が行われており、地域の人々が集う場としてのお寺の姿を伝えている。

浜田晶則(建築家・teamLab Architectsパートナー)

AHA 浜田晶則建築設計事務所代表。1984年富山県生まれ。コンピュテーショナルデザインを用いた設計手法で建築とデジタルアートの設計を行い、人と機械と自然が持続的に共生する社会構築をめざしている。グッドデザイン賞2019、Iconic Award 2019、Best of Best、the 2AContinental Architectural Awards 2017、Second Placeなど国内外で受賞。

善徳寺 杜人舎 概要

所在地富山県南砺市城端西上405 善徳寺内
運営水と匠
URLhttps://moritosha.jp/