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「環境と建築」がテーマ

環境と建築をテーマに長年取り組んできた建築家ユニットSANAA。そのコレクションを紹介する展覧会が、東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間において、20211022日(金)から2022年3月20日(日)まで開催されている。本展は、SANAA、そして妹島和世氏と西沢立衛氏それぞれが、日本および世界各地で取り組んでいる最新プロジェクトを中心に構成されている。

本展では、「環境と建築」をテーマとして、日本、中国、ヨーロッパなど各地で近年取り組んでいるプロジェクトを中心に、住宅、大学、美術館、劇場などを、模型や図形の展示によって紹介。本記事では、2フロアに渡る展示においてピックアップした6つプロジェクトを中心に展示会の様子をレポートする。

adf-web-magazine-enviroment-and-architecture-by-sanna まず来場者が訪れることになる、建物3階部分のフロアでは、SANAA、そして妹島和世氏と西沢立衛氏の事務所が手がける世界各国でのプロジェクトをメインに紹介している。SANAAの設計で2022年末の完成を目指して建設が進められているオーストラリア・シドニーのニューサウスウェールズ美術館の増築計画「シドニー・モダン・プロジェクト」や、ヨーロッパの小さな町から少し離れた広大な敷地に計画されているというホテル《O Project》など、十点弱のプロジェクトがスチレンボード、アルミやスチレンペーパーなど様々な素材を使った模型で紹介されている。その土地の風土を生かして作られることが特徴のプロジェクトが多いため、解説を読みながら鑑賞することで、その土地の風景に溶け込む建築の様子を思い浮かべることができる。

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©︎Sydney Modern Project (オーストラリア、SANNA)

こちらの建築では、既存の文脈に調和して連続するような建築を目指し、一つの大きな空間を作るのではなく、スロープに沿った小さなパビリオンがいくつもつながったようなデザイン上の工夫がされているとのこと。また、元々あるランドブリッジやオイルタンクをあえて隠さず、全部見せることで人々がその土地の全てを体験できるようにデザインされているそうだ。

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HOUSE IN LOS VILOS 展示風景より

西沢立衛建築設計事務所が南米チリにて進めている週末邸宅プロジェクトの模型。自然と建築が寄り添いながらも、一体化するイメージを持ってデザインされたというこちらの建築は、太平洋に面した海岸線の一部の小さな岬部分に建設が予定されているとのこと。

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©︎Suzhou Shinshan Square Art Theater and Museum (中国、SANNA)

透明で軽やかなウェーブの屋根が特徴的な建築。「周辺の岩石と湖と呼応してなびく」がコンセプトとのこと。

このフロアには、模型の他にも、2021/12/10発売予定の作品集「KAZUYO SEJIMA RYUE NISIZAWA SANAA」を手にとって見ることができる。全3巻の作品集では、1987年から2021年までの活動が年代順に紹介されている。これらを通じて、30年余りの活動とそれまでの過程で「環境と建築」の捉え方、実現方法がどのように変わってきているのかといった思考の軌跡を知ることも可能だ。

もう一つのフロアへ移動する途中にある外のエリアでは、妹島和世氏の事務所が中国のプユアンにて手がけるPuyan Design and Event Centerの図面、鉄板とアクリルで作られた模型が展示されている。

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「Puyan Design and Event Center」図面展示風景より

こちらの建物が建設されるのは、画像中央、街全体に流れる川の中にある小さな島の上。島の先頭にある寺院を含み込みながら島全体にガラスの多いをかけて、運河の中に浮かぶ船のような、大きな彫刻のようなワンルームの交流センターとなる予定とのこと。宮城県東松島市にある「宮戸島月浜のみんなの家」のようになるのだろうか。

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©︎Puyan Design and Event Center(中国、妹島和世建築設計事務所)

外の階段を登ると、もう1フロア、内装や雑貨なども含む活動が紹介されているエリアに入る。妹島和世氏がデザインしたフロアスタンドライトのプロトタイプなどもあり、建築以外の活動についても知ることができる。

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「透明な明かり」展示風景より

その造形美もさることながら、感心させられたのは光を活用して変化する仕組み。昼間はアクリルが周囲の光を柔らかく反射し、空間に溶け込むように佇み、周りがだんだん暗くなると明かりとともに形が浮かび上がる仕組みになっているそうだ。

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「SHOCHIKU-CHO HOUSE(京都、西沢立衛建築設計事務所)」展示風景より(2015)

本展示会にて紹介されている多くのプロジェクトは現在進行中のものが多いが、過去のものも展示されている。過去のプロジェクトと現在、どのような思考の変化があったのだろうかと自分なりの解釈を考えて見るのもこの展示会の楽しみ方の一つなのかもしれない。