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日本での巡回も決定

福島生まれ、アメリカでアジア系ディアスポラとして生活する作家、荒川ナッシュ医による個展「草の赤ちゃん、月の赤ちゃん」が、国際交流基金主催の第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館で2026年5月9日(土)から11月22日(日)まで開催される。

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第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館

本展は2024年に双子の親となったクィアアーティストの荒川ナッシュ医の子育ての体験から生まれた展示で、アメリカでアジア系ディアスポラとして生活する作家自身のアイデンティティや母国の歴史への省察、個人的な育児体験を起点に、来館者が未来の象徴である赤ちゃんを育成する「ケア」の営みを体験しながら、彼らが将来生きるであろう世界のありかたを問いかける空間へと日本館を変容させる内容となっている。

タイトル「草の赤ちゃん、月の赤ちゃん」は、吉阪隆正が設計した日本館の庭と建物の「回遊性」に着目し、庭を象徴する「草」と時間や心に関係する「月」に由来すると同時に、荒川ナッシュがニューヨークでの学生時代に刺激を受けた草月アートセンターへのオマージュでもある。。アートや音楽、詩、パフォーマンス、生け花などのジャンルを超えた実験の場であった同センターのように、日本館は多彩なコラボレーターとともにジャンルを横断し融合する場となる。

日本館では、来館者が赤ちゃん人形を抱えながら展示を巡る参加型インスタレーションが展開される。ミラーレンズのサングラスと色鮮やかなベビー服をまとった200体の人形が登場し、来館者は約5キロの重さを持つ赤ちゃん人形を預かることで、「ケア」の身体感覚を伴う鑑賞体験を行う。

会場では、荒川ナッシュ医の家族の物語を反映したベビー服や、アジアのアートスペースに関する展示、若手キュレーター向けワークショップなども実施される。館内は実験的な託児所のような空間となり、双子の赤ちゃんの声を用いたサウンド作品をはじめ、崔在銀(チェ・ジェウン)やイサム・ノグチ関連作品など、世代や時代を超えた作品が共鳴する構成となっている。

展示の最後には、来館者が赤ちゃん人形のオムツを替える行為を通じて具体的なケアを体験。QRコードを読み取ると、その人形の誕生日に合わせた「オムツの詩」が贈られる。歴史的な日付を誕生日に持つ赤ちゃん人形を介して、展示は過去と未来、命の継承、そして世代を超えた責任と希望について問いかける。

本展はその後ドイツへ巡回したのち、東京のアーティゾン美術館で2027年6月19日(土)から9月20日(月・祝)まで巡回される。

荒川ナッシュ医

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撮影: ricardo nagaoka

1977年福島県生まれ。日系アメリカ人。アメリカ合衆国ロサンゼルス在住のクィア・パフォーマンス作家。様々な人物との共同作業を続け、「私」という主体を揺るがしながら、アート作品や作家の主観の不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現している。ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン、大学院アートプログラム教授。近年では、ハウス・デア・クンスト(ミュンヘン、2025年)、国立新美術館(2024年)、CHATセンター・フォー・ヘリテージ・アーツ・アンド・テキスタイル(香港、2024 年)、東京都写真美術館(20242 年)、クンストハレ・フリアール・フリブール(2023年)、ミュゼイオン・ボーツェン(ボルツァーノ、2023年)、アーティスツ・スペース(ニューヨーク、2021年)、テート・モダン(ロンドン、2021年)、ジャン大公近代美術館(ルクセンブルク、2021年)、ホノルル・ビエンナーレ(2019年)などの展覧会に参加。

荒川ナッシュ医個展「草の赤ちゃん、月の赤ちゃん」開催概要

会期2026年5月9日(土)~11月22日(日)
会場ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館
URLhttps://tinyurl.com/3a6shc56