「ホモ・ファベール」イベント 工芸が導く人類の未来2022 年:ヨーロッパと日本の人間国宝
2022年に2度目の開催となる「Homo Faber Event(ホモ・ファベール・イベント)」が、ヴェネチアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ島にあるジョルジョ・チーニ財団の4,000㎡もの敷地で2022年4月10日から5月1日まで開催される。15の展示を通じて職人文化に触れる貴重な機会であり、世界の名匠の見事な技の数々に加え、今回は特に日本の工芸にフォーカスし、日本で古来より大切に守られてきた伝統技法と、ヨーロッパのものづくりに与えた影響に焦点を当て、消失の危機にある伝統技巧から現代的なものづくり手法、多様な素材、専門知識を紹介する。
なかでも、深澤直人、内田篤呉をキュレーターに迎える展示「12 Stone Garden」は、国から重要無形文化財認定を受ける12名の人間国宝を招待し、雅やかな磁器、漆塗のハープ、手染めの着物など、名匠による作品群を紹介する。また、写真家の川内倫子が、12名の人間国宝の制作の様子を撮り下ろした写真展示「The Ateliers of Wonders」も開催。
「Homo Faber Event」の目的は、世界中の優れた職人たちの存在を守り、ものづくりの知恵、作品の裏にある物語や地域性を丁寧に伝えることである。匠と来場者が直接触れ合う機会が生まれ、来場者は、現代的工芸がアートやデザインとつながっているかを感じられる。ある会場では、世界トップクラスのブランドの製品の裏に隠されたものづくりの技術の高さを紹介。また、別の会場で は、美術監督のロバート・ウィルソンが手がけたプッチーニのオペラ、蝶々夫人の美術セットが展示される。さらに次世代のオートマタ(からくり人形)や日常と工芸の接点を見出すティールームなども登場。デザインの発展においていかに職人技が重要な役割を担っているかに触れます。
ヨーロッパの工芸、デザイン学校の学生たちがガイドツアーを行う「ヤング・アンバサダー・プログラム」も開催され、世代を超えたインタラクティブで有効な教育活動を通じて、未来に必要な守るべき工芸の重要性にも光を当てる。