ボタニカルアレンジメントショップTSUBAKI
目黒区・八雲の閑静な住宅街に佇むのは、ボタニカルアレンジメントショップ「TSUBAKI」のアトリエ。山下郁子・宮原圭史氏が主賓されている「TSUBAKI」では海外メゾンのイベントから個人邸に至るまで様々な「場」作りを行っている。アトリエの名前の由来は、花の椿から。椿の持つ「潔さ」や「凛とした様子」がTSUBAKI の表現したい世界観に合致していると感じたからだそうだ。華美ではないがダイナミックな作風からは、そんな名前に込めたTSUBAKIらしさが感じられる。今回はアトリエにお邪魔させていただき、彼らの作品に込めた思いや仕事・自然との向き合い方、今後の取り組みについて聞かせていただいた。
植物で場の空気を変える
彼らの代表な作品シリーズといえば、「OYAMA」と名付けられた屋内ビオトープ。自然を身近に感じながら暮らすことが難しい都会の人々でも、日本の山々の景観を身近に楽しめるようにと考案されたそうだ。ご訪問させていただいたアトリエの1階、コンクリート打ちっぱなしの壁のお部屋に飾られたOYAMA。窪みを覗いてみるとメダカも泳いでいる。無機質でスタイリッシュな空間を落ち着く場所へと変える「OYAMA」の不思議な魅力を感じた。
フローリストの役目は、植物に「ちょっと」手を加え、人々の心に残る空間の演出をすること、と語るお二人。植物本来の姿を生かしつつ、空間にマッチする形に作られるオーダーメイドの「OYAMA」は、植物のことを熟知した二人らしい作品といえる。
「どんな気持ちになってほしいか」を追求
彼らはフラワーアレンジメントのみならず、空間のデザインも依頼されることが増えてきているという。どんな仕事であっても、作品制作前に「この空間をどのように感じて欲しいか」という点をクライアントと談論するのがTSUBAKIの仕事に対するこだわりだ。例えば、コンセプト開発から建築事務所Puddleと取り組んだ、「IWAI OMOTESANDO」。人生のさまざまな“祝い”の場にふさわしい、全員が主役になるセレモニーの空間というコンセプトで作られたこの施設の「場づくり」に取り組んだ際は、コンセプト開発からプロジェクトに参画した。クライアント・建築事務所・TSUBAKIのみんなが対等な立場で話し合いを重ね作り上げた、とても印象深い仕事になったと振り返る。
自然本来の姿を生かす
開業した当初はフラワーアレンジメントが中心だったTSUBAKI 。その後、植物のデザインを得意とするご主人の宮原さんが加わり表現できる幅が広がっていった。昨年2019年には彼らの世界観を改めて表現したいと展示会を開催。同時に作成された動画からは、「自然本来の姿を生かす」というTSUBAKIの自然との向き合い方がよくわかる。
YouTube: TSUBAKI 5TH ANNIVERSARY 2019 "TSUBAKIの場づくり" ©︎伊藤徹也
最後に今後の活動目標についてお伺いすると、もっとさまざまな人と共に「人と空間のしつらえ」に取り組んでいきたいと意気込みを語ってくれた。TSUBAKIの場づくりは今後も幅を広げていくことだろう。