世界各国の歴史と文化を彩る椅子の魅力を紹介
家具の博物館で展覧会「日本と世界18カ国の椅子展」が2024年10月20日(日)から11月24日(日)まで開催される。本展では日本をはじめとする世界各国で製作された約30点の椅子を展示し、椅子の機能性や美しさはもちろん、地域や文化の違いによるデザインの変遷を感じ取ることができる。イギリスの伝統的なウィンザーチェア、オランダのデ・ステイル運動に代表される「赤と青の椅子」、そして昭和時代の日本を象徴する剣持勇の「籐丸椅子」など、世界18カ国にわたる多様なデザインの椅子を展示し、各国のデザインの潮流とその影響を探る。
世界各地で生まれた多彩なデザインの椅子
欧米ではイギリスのウィンザーチェアやドイツのト―ネット社が開発した曲木技術を用いた曲木椅子、さらにはチャールズ・イームズやハリー・ベルトイアなどのデザイナーによる機能的で優れたデザインの椅子が生まれた。また、中国では明の時代に製作された椅子が近代デザインに大きな影響を与え、独自の美的感覚を確立した。一方、日本では明治時代以降、欧米の椅子デザインを取り入れ、次第に日本独自の工芸技術や美意識を反映した椅子が登場するようになる。こうして各国で発展した椅子のデザインは、その時代の生活様式や文化的背景を色濃く反映し、単なる家具を超えた芸術品として人々の生活を彩ってきた。
主な展示作品
籐丸椅子(日本、1960年)
剣持勇が1960年にホテルのラウンジ用にデザインした休息椅子。曲面を編めるという籐の性質を生かし、太くて軽い太民籐(たいみんとう)を用いて構造を作り、芯籐を編み込むことで、ボリューム豊かな形態を実現している。
赤と青の椅子(オランダ、1917〜1918年)
オランダのデザイナー、ヘリット・トーマス・リートフェルトがデザインしたこの椅子は、シンプルな形状と原色のコントラストが特徴。細い木のフレームと合板の背や座面が交差し、機能性と美しさを兼ね備えたデザインとなっている。フレームは黒、木口は黄、背は赤、座は青に塗り分けられており、デ・ステイル運動の理念を体現している。
これらの椅子は家具デザインがその地域の文化的、歴史的背景をどのように反映してきたかを理解する上で貴重な資料となり、各地域で生まれたデザインの異なるアプローチや、歴史を経てどのように椅子のデザインが進化してきたのかを知ることができる。
家具の博物館
家具の博物館は歴史的価値のある家具の収集・保存を通じて、家具の伝統を後世に伝え、新しい時代の家具の創造と研究を推進することを目的として設立される。主要なコレクションをはじめ、地域に関連する人物や文化を紹介する展覧会などを通じて、家具の「伝統-継承-創造」という視点を重視した博物館活動を行っている。
「日本と世界18カ国の椅子展」 開催概要
会期 | 2024年10月20日(日)から11月24日(日)まで |
会場 | 家具の博物館 展示場 |
時間 | 10:00~16:30(入館は16:00まで) |
URL | https://www.kaguhaku.or.jp/ |