新たなフェーズに移行したAXISの挑戦
アクシスはデザイン誌『AXIS』vol.234を2025年10月1日に発売した。表紙を飾るのは、Stockholm Design Lab代表であり、数々の企業ブランディングを手がけてきたビョルン・クソフスキー。戦略とデザインを不可分なものとして捉える彼の哲学が、特集のテーマとも響き合う。
特集「最適化された世界で、グラフィックデザインは何を語るのか」
効率化と標準化が進む現在において、グラフィックデザインが果たすべき役割を再考する。AIによる生成や自動化が進む一方で、倫理や物語、感情といった非効率な要素が、人間的な視点を取り戻す鍵になるという視点から、多様な事例を紹介している。アメリカのアートディレクター、ジェシカ・ウォルシュが立ち上げたフォントファウンドリー「Type of Feeling」は、感情に基づく書体開発を行い、AppleやNetflixといった企業とのプロジェクトを展開している。韓国・ソウルを拠点に活動する「Everyday Practice」は、デザインを倫理的実践として位置づけ、社会への応答を込めたポスターやインスタレーションを制作している。台湾のクリエイティブスタジオBitoは、大阪・関西万博2025でIT企業・玉山デジタルテックが出展するパビリオン「TECH WORLD」の映像とモーショングラフィックスを担当。デザインによって体験そのものを構築する彼らの仕事に迫る。

さらに、パリを拠点とするc-albumのプロジェクトでは、都市と歴史、記憶をつなぐグラフィックの在り方を紹介。Z世代のグラフィック表現の現在地を論じる批評や、グラフィック界における最適化以後の思想と実装をめぐる鼎談(加藤賢策×室賀清徳×米山菜津子)も収録されている。


誌面後半では、世界のデザイン動向を俯瞰する特集や連載が続く。アートセンター・カレッジ・オブ・デザインで継承される建築家リチャード・ノイトラの教育哲学、日本の伝統工芸に潜む“tech”の本質、Z世代によるアフリカとアジアの文化実践、さらには植物進化とデザイン思考を結びつける論考など、ジャンルを横断したコンテンツが並ぶ。
AXIS
1981年に創刊され、バイリンガル編集と高品質なレイアウトで、国内外のクリエイターやオピニオンリーダーから支持を得てきた。2024年7月には季刊誌としてリニューアルされ、より深い洞察を持つコンテンツへと進化している。
デザイン誌『AXIS』vol.234 autumn 書誌情報
| 発売 | 2025年10月1日 |
| 判型 | A4変型(274 × 210mm) |
| 定価 | 2,500円(税込) |
| URL | https://www.axismag.jp/ |

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