舞踊団メンバーや作曲家三宅純からのエール
ピナ・バウシュ『春の祭典』/『PHILIPS 836 887 DSY』が、東京国際フォーラム ホールCで2024年9月11日(水)から9月15日(日)まで上演される。この公演に先駆け、新たな動画や写真が公開されピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団のメンバーや作曲家三宅純からのエールコメントが寄せられた。
ピナ・バウシュの「春の祭典」はストラヴィンスキーの力強い音楽とピナの独創的な振付が融合した現代ダンスの頂点とも言える作品で、今回はアフリカ13か国から選ばれた35名のダンサーがこの名作に挑む。この来日公演に寄せ、ピナ・バウシュと共に多くの作品を手掛けたダンサー市田京美や瀬山亜津咲、そして数々のピナ作品に楽曲提供を行ってきた作曲家三宅純が、それぞれの思いを語った。
来日公演に寄せてのエールコメント (※50音順)
1977年、私は初めてピナ・バウシュの作品に出会う。
ヴッパタール・オペラハウスで”春の祭典”と題された3部作(Wind vom West, Der zweite Fruhing, Das Frulingsopfer)からなる公演。
3作品目の”春の祭典”で魂を揺すぶられ、あまりの衝撃に涙が止まらず暫く観客席から立ち上がることができなかった。
そして先ず思ったのは、日本のダンサー達にも観てもらいたい!
4年後の1981年、ゲストダンサーとして”春の祭典”を踊る機会を得それを機にピナより勧誘され舞踊団に入団。
さらにその4年後1986年、初の日本公演で”春の祭典”の上演。
それから38年という歳月を経て今回のアフリカンダンサーによる”春の祭典”
作品に秘められたピナのスピリットは間違いなく観客を魅了することでしょう!市田 京美 (ダンサー、元ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団)
ピナ・バウシュ「春の祭典」は、ストラヴィンスキーの作曲とピナの振付構造が融合し、強力な化学反応を生み出します。この作品は、儀式、犠牲、豊穣、生、死、人間の感情のスペクトルを深く探求します。私にとって、「春の祭典」は特別な作品です。曲を聴くと鳥肌が立ち、予測できない舞台に逃げられない恐怖やエキサイティングな感情が湧き上がります。ピナが私に植え付けてくれた、嘘のない飾らない芸術性と諦めないダンスへの探究心の原点です。ダンサーと観客に計り知れない感動と体験を与えるこの公演を、多くの方々にご覧いただければ幸いです。
瀬山 亜津咲 (ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団)
ストラヴィンスキーの強靭なスコア、それに呼応・対峙する、ピナのダイナミックな群舞。生贄の儀式という題材とも相まって、観るたびに戦慄が走る。かつてフェリーニが評したように、それは優しく痛みにも満ちた慰めである。全くの余談だけれど、2016年、舞踊団の音楽監督マティアス・ブルカートさんから、「ニームのフェスティバルで「春の祭典」を生オーケストラと演るから来ない?」と誘われて狂喜、先行してパリで行われたオーケストラ単体のリハーサルを覗かせてもらったことがある。しかし、公演当日はフランスの国技(ストライキ)に阻まれ、現地に到達できず・・・どちらも今となっては懐かしい思い出。
三宅 純 (作曲家)
また、セネガルで行われた「春の祭典」リハーサルの模様を捉えたメイキング映像や日本初上演となる「PHILIPS 836 887 DSY」の舞台写真も新たに公開。「PHILIPS 836 887 DSY」はピナ・バウシュが生前に自ら踊ったソロ作品であり、世界的にも希少な上演となる。今回の来日公演では、ピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団のゲスト・ダンサーであるエヴァ・パジェがその役を務める。
ピナ・バウシュ プロフィール
ピナ・バウシュ(1940年~2009年)は、ドイツのゾーリンゲン生まれ。エッセンのフォルクヴァンク芸術学校でクルト・ヨースに師事し、舞踊の技術を磨いた。1973年、ヴッパタール・バレエ団の芸術監督に就任し、「タンツテアター・ヴッパタール」として活動を開始。彼女の作品は、詩的でありながら日常の要素を組み合わせた斬新なスタイルで、国際的な評価を獲得する。
ジェルメーヌ・アコニー プロフィール
セネガル系フランス人ダンサーであり、「コンテンポラリー・アフリカン・ダンスの母」と称される。アフリカ伝統舞踊と西洋舞踊を融合させた独自のスタイルを築き、ダカールに設立したダンススタジオを拠点に活躍を続けている。彼女の作品「オマージュ・トゥ・ジ・アンセスターズ」は、祖先への敬意を表したもので、日本初演となる今回の公演で新たな一歩を踏み出す。
ピナ・バウシュ「春の祭典」開催概要
日程 | 2024年9月11日(水)から9月15日(日)まで |
会場 | 東京国際フォーラム ホールC |
URL | https://tinyurl.com/3vun86yd |