「新潮」3月号 ヴァージル・アブロー最後のロングインタビューを掲載
文芸誌「新潮」3月号は、2021年11月に心臓血管肉腫のため41歳で急逝したファッションデザイナー、ヴァージル・アブローの生前最後のロングインタビュー「黒人の正典(ブラック・カノン)を定義する」を掲載する。西洋の価値基準の中で、黒人アーティストとして闘うことの孤独と誇りーー自らを〈思想家〉と位置付けるヴァージルの哲学が結晶化したインタビューは必見。2022年2月7日より全国の書店で販売。
ときどき〝たった独りだ〟と感じることがあります。はぐれ者か村にひとりでやってきた異邦人のような気分になるんです。パリの上流社会にいても、シカゴのサウスサイドにいても。ですが、疑うことは私の原動力にもなっています。
ヴァージル・アブロー(誌面より抜粋)
「新潮」3月号掲載インタビューより
2021年11月28日、ヴァ-ジル・アブローが心臓血管肉腫のため41歳の若さで急逝した。ヴァージルは盟友カニエ・ウェストのクリエイティブディレクションで頭角を現したのち、2013年に自身のファッションレーベル〈Off-White オフホワイト〉を創業。2018年には黒人初となる〈ルイ・ヴィトン〉メンズウェアのアーティスティック・ディレクターに就任した。ヒップホップ的な手法をファッションに取り入れ、〝ストリートウェア〟の美学と精神をラグジュアリーの世界に持ち込んだ彼の功績は計り知れない。
ここに紹介するのは昨年秋、パリを拠点にしたファッション批評誌『Vestoj』に掲載されたヴァージル最後のロングインタビューである。聞き手を務めたのは同誌の創刊者/編集長のアンニャ・アロノウスキー・クロンバーグ。彼女はこれまでにもシカゴ現代美術館で開催されたヴァージルの大規模個展Figures of Speechの公式インタビューをはじめ、何度もヴァージルと対話を重ねてきた人物である。そうしたふたりの信頼のうちに語られるのは、ヴァージルが人知れず感じてきた孤独と葛藤、アフリカ系クリエイティブ・コミュニティに残そうとしている遺産(レガシー)についてだった――。
私が後世に残すものは、物や美学ではあってはいけないと思っています。後進のためにすべきは、現代のクリエイティブのあり方とその可能性を再定義することです。私にとってオブジェクトは考え方を指し示すための手段なんです。
ヴァージル・アブロー(誌面より抜粋)
著者紹介
語り手:ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)
1980年9月30日、イリノイ州ロックフォード生まれのアーティスト、建築家、エンジニア、クリエイティブ・ディレクター、デザイナー。ウィスコンシン大学マディソン校で土木工学の学位取得後、イリノイ工科大学に進み建築の修士課程を修了。2012年、自身のブランド〈Off-White オフホワイト〉を立ち上げ、翌年にシーズンごとのメンズおよびウィメンズのファッションレーベルとして本格的に始動し、のちに家具の製作も手がけている。2018年、〈ルイ・ヴィトン〉メンズ・アーティスティック・ディレクターに就任。2021年11月28日、心臓血管肉腫のため41歳でこの世を去る。
聞き手:アンニャ・アロノウスキー・クロンバーグ(Anja Aronowsky Cronberg)
『Vestoj』創刊者・編集長。セントラル・セント・マーチンズでファインアートの学士号を、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートでデザイン史の修士号を取得。2009年にファッション批評誌『Vestoj』を創刊した。
「新潮2022年3月号」書籍概要
発売日 | 2022年2月7日(月) |
体裁 | 332ページ、A5判 |
本体価格 | 1200円(税込み) |
ISBN | 4910049010327 |
ウェブページ | https://www.shinchosha.co.jp/shincho/ |