NFTが生んだデジタル・アート売買の新たな生態系を探る『美術手帖』12月号
2021年11月6日(土)に発売された雜誌『美術手帖』12月号では、「NFTアート」を特集。NFTを活用したデジタル・アート=NFTアートとそれを支えるコミュニティの実態を取り上げ、コピー可能なデジタル・アートがなぜ高値で売れるのか?その仕組みを解き明かす。NFTアートのブームは一過性のものなのか?デジタル・アート販売における新たな技術基盤は、既存のアート界をどのように変革するのか。「NFT×アート」でいま起きていることを分析し、これからの展開を予想する、盛りだくさんの内容だ。
デジタルデータの唯一性を担保し、半永久的に遺り続ける(と言われる)デジタル資産、NFT。この技術基盤の誕生によって、従来コピー可能であったデジタルデータにも価値がつき、仮想通貨により売買が可能になった。NFT元年とも言える2021年、NFTを活用したデジタル・アートは驚くような高値で取引され、大企業がNFTを活用した様々なサービスやコンテンツを生み出し、いまもなおNFT市場は活況を呈していると言えるだろう。
イントロダクションでは、NFTアートの基礎知識、その始まりと歴史、そして2021年3月から9月までの間に起きたNFT×アートの事件簿を掲載。「基礎知識」では、今さら聞けないNFTアートの基礎の基礎を、8歳のNFTアーティスト Zombie Zoo Keeper のイラストに乗せて易しく解説。またNFTアートの始まりから現在に至るまでの歴史を、NFTアートのご意見番・コレクターでもあるジェイソン・ベイリーが解説。
Part 1は「NFTがつくる新たなアートの生態系」と題し、今年の8月に発売し、2時間で1万点を完売し話題を読んだ「Generativemasks」について、制作者である高尾俊介のインタビューを始め、国内外のNFTアーティスト、コレクターへのインタビューを掲載。
国内外で乱立するマーケットプレイスの比較記事では、それぞれのプラットフォームの特徴、選ぶときの基準などを解説。また、NFTアートの買い方や売り方を知るための「How to」記事、そしてアートと法を専門とする弁護士よる、所有・展示のための法律的課題などを掲載。既存の美術業界に比べて、より直接的でオープンな、NFTアートを支えるアーティストやコレクター、それらのコミュニティの実態が分かる内容になっている。
Part 2では「アート×NFTのルール設計とその未来」と題し、NFTに積極的に取り組むメディア・アートの先駆者たち、現代美術作家によるNFTを利用した作品、メガギャラリーのNFTアートを使ったコレクター開拓の戦略などを紹介。
ネットアートで有名なラファエル・ローゼンダールが、NFTアートへの取り組み、ライゾマティクス/真鍋大度が立ち上げたNFTアートのプラットフォーム、そして現代美術のメガギャラリーであるPaceGalleryのNFT戦略など、それぞれにNFTへの考え方や関わり方を語る。
最後には1990年代のネットアートの黎明期から活動を続ける、アーティスト・エキソニモと真鍋大度と高尾俊介による座談会が掲載。デジタルアート販売の歴史からみたNFTアートのポジティブな側面と未成熟な面、NFTアートのコミュニティの独自性や可能性、日本国内と海外の反応の違いなどが語り尽くされる。
『美術手帖』2021年10月号
発売日 | 2021年11月6日(土) |
定価 | 1600円+税 |
発売 | 美術出版社 |
『美術手帖』公式サイト | https://bijutsu.press/books/4892/ |