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記憶と風景が交錯する沖縄の今を描く

MISA SHIN GALLERYでは石垣克子個展「見なれた風景」が2025年2月22日(土)から3月22日(土)まで開催される。石垣克子は米軍基地や米軍用住宅、戦後変化を遂げた建築や街並みなど、沖縄の風景を描き留めるアーティストで、彼女にとって基地のある風景は、幼少期を過ごした石垣島のイノー(珊瑚礁に囲まれた礁池)の原風景と並行して存在する。

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石垣克子, 喜舎場テラスハイツ(米軍海兵隊施設)I, 2018, Oil on canvas, 72.7×90.8 cm石垣克子, 喜舎場テラスハイツ(米軍海兵隊施設)I, 2018, Oil on canvas, 72.7×90.8 cm

2008年石垣は極東最大の米軍基地・嘉手納飛行場に隣接するコザ(現・沖縄市)にスタジオを移転。那覇市の自宅とスタジオを往復する中で目にする基地の風景は、日常の一部となり、約10年を経て描き始める。沖縄県の国土面積は日本全体の0.6%に過ぎないが、在日米軍専用施設の約70%が集中している。返還が進む地域もある一方で基地を巡る風景は刻々と変化を遂げている。「米軍基地がもし返還される日が来るならば、その風景をなかったことにはしたくない」という思いから、石垣は基地施設やフェンス越しの外人住宅、開発に取り残された民家、剥げかけたペンキが塗られたコンクリート住宅などを、フラットな色彩と筆致で描く。

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石垣克子, 道すがら・豊見城, 2023 Oil on canvas, 27.3×22 cm

石垣の作品は沖縄の現実に内在する哀惜と明るさという相反する感情を呼び起こすと同時に、日常風景の持つ喚起力について再考を促すものである。本展の初日には東京オペラシティアートギャラリーのチーフキュレーター・天野太郎を迎え、アーティストとの対談も予定されている。事前予約不要で参加可能となっている。

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石垣克子, ホテルからの眺めⅤ, 2023 Oil on canvas, 27.3×22 cm

石垣克子 (Ishigaki Katsuko)プロフィール

1967年沖縄県生まれ、沖縄県立芸術大学美術工芸学部絵画専攻卒業。主な展覧会に「今もゆれている」(あざみ野市民ギャラリー、2018年)、「マブニピースプロジェクト」(沖縄、2019年)、「沖縄アジア国際平和芸術祭」(沖縄、2020年)、「琉球の横顔」(沖縄県立博物館・美術館、2021年)、「『復帰』後 私たちの日常はどこに帰ったのか」(佐喜真美術館、2022年)、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、2022年)、「海・島・山 ちつづきの暮らし」(つなぎ美術館、2023年)、「The 11th Asia Pacific Triennial of Contemporary Art」(ブリスベン、オーストラリア、2024年)など。

MISA SHIN GALLERY

2010年東京都港区白金の元鉄工所の建物に開廊。2018年、南麻布に移転。国内外の優れたアーティストによる展覧会を開催し、建築や演劇など他分野との関連性を探求。特に1960〜70年代の日本のコンセプチュアルリズムに焦点を当て、戦後日本美術の新たな視点を提示している。adf-web-magazine-ishigaki-katsuko-4

石垣克子個展「見なれた風景」開催概要

会期2025年2月22日(土) から3月22日(土)まで
会場MISA SHIN GALLERY
時間12:00 – 19:00
URLhttps://tinyurl.com/5957k49m