岡山大学新工学部の設立を記念して特別招聘教授の隈研吾が建設する「共育共創コモンズ」 - 新建材CLTを全面活用
岡山大学は新工学部の設立を記念し、津島キャンパス内に、地域・企業との協働を一層充実させることを目的とした施設『共育共創コモンズ』を建設する。この「共育共創コモンズ」は、カーボンニュートラル・脱炭素社会に貢献する、環境に優しい木質系材料CLT (Cross Laminated Timberを活用した木造建築で、2020年4月より特別招聘教授に就任している隈研吾が、設計から施工監理までを監修。今年度中に着手予定で、2022年11月の完成を見込んでいる。コンセプトは、地域の産業活性化のための新たな交流と共創の場。延べ床面積約810平米の木造2階建てで、300名収容の大規模講義室と、共同研究拠点としての「共創ラボ」機能を重点的に設計している。最新のデジタル技術に関する講座やワークショップ、社会人と学生がともにアイディアを競いあうハッカソンなどの開催をはじめ、オープンな共同プロジェクトから機密性の高い共同研究まで、幅広い活用が可能だ。
これまで岡山大学は、「岡山から世界に、新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」をキーワードに、地域や企業とのパートナーシップをもとに、岡山県からの寄付講座による IoT・AI・セキュリティのリカレント教育(社会人の学び直し)などさまざまな協働活動に取り組んできた。また、急激な技術の進歩と課題の複雑化に対応できる工学系人材を育成するため、2021年4月には、これまでの工学部と環境理工学部を再編・統合し、実践的工学教育に取り組む新工学部を設立。新工学部の教育プログラムでは、Society5.0の実現によりSDGsに貢献することを目標に掲げており、幅広い視野をもち、社会課題を発見・解決できる創造的な人材を育成するカリキュラムとなっている。新たに立ち上げた建築教育プログラムには特別招聘教授に隈研吾が就任している。
この「共育共創コモンズ」に活用された木質系材料CLT (Cross Laminated Timber)はひき板を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料。これまでの木造建築は戸建住宅等の小規模建築が主だったが、CLTは大規模建築を可能とし、都会を森のような温かみと清々しさを感じる空間にする。また、森林はCO2を吸収して温暖化防止に貢献するが、木は老いると吸収力が落ちてしまうことから、木を植え替える森林リサイクルの視点でも木材利用は重要だ。国内森林資源の蓄積やSDGsの観点から、CLTを積極的に活用することが求められている。
2階の講義室は300名の大講義室であり、新工学部の新しい学びの場となるばかりでなく、地域企業の皆様に向けてデジタル技術の講座やワークショップを開催、社会人と学生がともにアイディアを競いあうハッカソンなどを実施する。また、1階は「共創ラボ」であり、オープンな共同プロジェクト用のスペースや、機密性を高く保てる共同研究用のスペースとなっている。さらに、海外からの招聘教授、滞在研究員が学生らとともに研究するスペースにも活用する。
岡山大学は、この「共育共創コモンズ」の建設を機に、アフターコロナ時代に向けて、「ありたい未来を共に育み共に創る共育共創の研究大学」を目指す。